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コラム 2023.02.24

オフィスで行われているアスベスト対策とは?社員に及ぼす健康被害


オフィス選びをする際、周辺環境や立地条件などと同様、社員の健康を害するような環境でないかどうか建物自体の安全性を確認する必要があります。
建築資材として幅広く使用されてきた「アスベスト」は、肺がんや悪性中皮腫といった健康被害を及ぼす可能性がある物質。2006年以降は使用が全面的に禁止されましたが、それ以前に建造された建物にはリスクが残っているのが現状です。賃貸オフィスや事務所を検討する際にはアスベストの使用有無や、人体に影響がないように対策工事を行っているかをチェックする必要があります。
ここでは、アスベストに関しての基礎知識や健康被害、オフィスにおいての注意点や対策などについて解説します。

オフィス・事務所でアスベストが使われている可能性がある場所

アスベストは石綿(いしわた・せきめん)とも呼ばれ、天然の鉱山の一種です。石の種類などによって6種類に分別が可能ですが、建築素材として使用されているアスベストは主に「クリソタイル(白石綿)」と呼ばれる鉱山を指しています。
ここでは、アスベストの基礎知識、使われている可能性がある場所をご紹介します。

アスベストの基礎知識

アスベストは繊維が細かく軽量で飛散しやすく、熱や摩擦・酸やアルカリ性にも強く、丈夫で変化しにくい性質を持っています。
この、耐火・耐熱性や絶縁性、防音性などに優れているという性質から「夢の素材」として住宅建材に多く使用されていました。安価で手に入りやすく加工しやすいことも、多く流通した理由の一つです。
人が多く集まるような学校、公民館、体育館、3階建て以上の鉄骨住宅の柱や梁、床面積の合計が200㎡以上の鉄骨建造物の柱、梁などで使用されてきました。
しかし、吸引によって肺がんのリスクが高まるなどの健康被害が明らかになったことで、2006年以降全面的に使用禁止となったのです。そのため、それ以前に建てられた古い建物にはアスベストが使用されている可能性があります。

①吹き付け材

石綿とセメントを一定の割合で水と加えて混合し、吹きつけ施工した物のこと。使用期間は1956年~1975年頃までで、事務所、店舗、倉庫などに多く使用されています。
1975年以降に吹き付けアスベストが原則禁止になって以降は、吹きつけロックウールに切り替わっていましたが、1990年頃までは石綿を混ぜて使用していました。
それ以降に使用されている湿式ロックウール吹き付けは、無石綿化されており、現在製造されている吹き付けロックウールには、アスベストは含まれていません。

②石綿含有保温材

石綿含有保温材は、石綿とその他の天然鉱物などを原料にして成形した珪藻土保温材、バーミキュライト保温材などがあります。これらの保温材は、配管やダクトなどの「エルボー」という曲がり部分に巻かれている保温材が多く使用されており、表面をカバーや養生で覆われている場合が多いため見た目だけでは石綿の使用の確認はできません。

③石綿含有建築材料

石綿含有建築材料は、内装材や屋根、煙突材にも使用されてきました。
アスベストを含む断熱材には、屋根用と煙突用があります。どちらも使用目的は断熱ですが、屋根用には結露を防ぐためにも使われます。石綿含有量が高い点が特徴です。耐火性や不燃性に優れているほか吸音性も高いことから、壁や天井、床材などの内装材や外装材、屋根材など幅広く利用されています。

オフィス・事務所のアスベストが社員に及ぼす健康被害とは?

アスベストは非常に細かい繊維のため、空中に浮遊しやすいという性質があります。アスベストを吸い込んだとしても、咳や痰に混じり排出されますが、全てが排出される訳ではなく、肺の中に繊維はとどまり続けるのです。アスベストの繊維は体内で分解されずに肺の組織に沈着し炎症を引き起こし、様々な疾病を発症する恐れがありますが、具体的にどれだけのアスベストを吸い込むと病気になるのかについては明らかになっていません。大量のアスベストを吸ってしまった場合、肺にアスベストが滞留している可能性がありますが、それらを除去することは難しいのが現状です。
数十年という長い潜伏期間の後発症し、呼吸困難をはじめとする症状を伴いますが、発見が非常に難しいとされています。
深刻な健康被害の代表例は、以下の通りです。

石綿(アスベスト)肺

肺が線維化してしまう症状で「肺線維症」の一つに分類。アスベストの粉塵を仕事で10年以上吸入していた場合に起こるとされており、約20年の潜伏期間があります。
アスベストを吸い込む環境を離れても、症状が進行してしまう可能性があります。

肺がん

アスベストの繊維が肺を物理的に刺激することによって肺がんを引き起こすとされています。ただし、正確にメカニズムは解明されていないのが現状です。15~40年ほどの潜伏期間があると言われています。

悪性中皮腫

肺を囲む胸膜、肝臓を囲む腹膜、心臓や大血管の起始部を覆っている心膜、精巣を覆っている精巣鞘膜にできる悪性腫瘍です。20~50年の潜伏期間があります。

びまん性胸膜肥厚

臓側胸膜が慢性炎症によって線維化し、肺を包む胸膜が厚くなっていく病気です。線維化が進行することにより、呼吸機能が低下します。

居住者にも健康被害の可能性

建築素材として多用されていたことから、建設業界や製造業界の従事者には健康被害が多く確認されています。
しかし、飛散しやすい性質を持つため、製造過程で関わった事業者だけに限らず、アスベストを使用した建築物の居住者や利用者などに健康被害が出る場合もあるのです。そのため、賃貸オフィスや事務所を検討する際は、アスベスト使用の有無を確認することが大切です。

オフィス・事務所でのアスベスト対策は除去・封じ込め・囲い込みの3種類

オフィスの建物にアスベストが使われていたとすると、従業員の長期的な健康に影響を及ぼす可能性があるため、放置することはできません。オフィスの移転や新築などの選択肢もありますが、既存の契約を維持することが前提なら、アスベスト対策の有無の確認は必須です。
具体的なアスベスト対策として挙げられる方法は「除去」「封じ込め」「囲い込み」の3種類です。

除去

アスベストが含まれている部分を完全に取り除く方法。別の素材と入れ替える工事を行います。完全に除去することによって、今後のアスベスト飛散のリスクがなくなるため最も効果的な対策です。しかし、長期間工期が必要であり、アスベストが多く含まれる場合は莫大な費用がかかるなどのデメリットがあります。

封じ込め

アスベストが含まれる部分に、溶剤を吹き付けて上から固めることで、アスベストの飛散を防止します。除去する方法よりも、工期が短く低予算で対応可能なことがメリットと言えるでしょう。
アスベストの健康被害は、細かい粒子が飛散し呼吸することで体内に吸収されてしまうことから起こります。そのため、吹き固めることにより飛散を防止することは効果的です。しかし、アスベストそのものは建物内に残るため、リスクがゼロになるとは言えません。

囲い込み

建物内のアスベストが露出している部分の上から、アスベストを含まない他の素材で囲むような形で飛散を防ぐ方法を囲い込みと言います。
封じ込めと同様、従来の建築物に手を加えるのではないため、工期も短く低予算での対策が可能です。しかし、アスベストを除去したわけではないため、再び露出して飛散してしまうデメリットがあります。

建築時期でアスベスト使用有無が推察できる

2006年にアスベストが含まれる建築資材の使用が全面禁止になったため、それ以降に建築されている新しい建築物には、人体に有害な恐れのある範囲でアスベストが含まれている可能性は低いと言えるでしょう。
しかし、2006年以前に建築された建物は注意が必要です。1970年~1990年前半くらいまでは、アスベストは便利な物質としてその危険性が広く認知されていなかったために、多く使用されていた時期なのです。そのため、この時期に建てられた建物は、アスベストの調査や対策状況を確認することが重要です。

賃貸契約時に書類での確認が可能

賃貸物件にアスベストの調査や対策が必要な可能性があった場合、その記録を見ることで簡単に確認することが可能です。
賃貸借契約を取り交わす際、仲介会社が借主に「重要事項説明書」の内容を説明する義務があります。アスベストの調査状況は、重要事項説明書に記載すべき一つとされています。しかし、賃貸物件においてはアスベストの調査をする義務が課せられていないのが現状です。そのため、所有しているオーナーが使用状況を調査していないことが少なくありません。
対象物件でアスベスト調査がされておりその調査記録が残っている場合、重要事項説明書ではその内容を説明する義務があります。しかし、調査自体が行われていない場合には、そのことのみ書面に記載されているという訳です。

今回のまとめ

現在では全面的にアスベストの使用は禁止されていますが、アスベスト含有資材を使用して建てられた物件は多く残っているとされています。そのため、賃貸契約の際は物件の建築時期やアスベスト対策などの確認が必要です。
オフィスや事務所などの契約の際には、アスベスト調査の実態や対策、建築時期などを仲介業者やオーナーに確認してください。事前にリスクを排除できるよう必要な対策をとることは、社員の健康を維持するためにも非常に重要です。

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