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コラム 2022.04.08

共有部を修繕・リフォームしてほしい!ビルの修繕に要望を出すことはできるの?


ビルに入居し時間が経てば、建物の劣化など気になる箇所も出てくるでしょう。例えば、トイレの水が流れにくかったり、エレベーターがいつまでも使えない状態だったりすることもあるかもしれません。仮に、共有部がこういった状態になれば、その建物で過ごす以上はやはり不便に感じてしまうはずです。とはいえ、賃借人が賃貸人に対して、修繕・リフォームの要望を出すことはできるのでしょうか?
今回は、この疑問を主軸に解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。

【目次】
1.ビルの共有部とはどの部分のこと?
2.ビルの賃貸人に対して共有部の修繕・リフォームの要望は出せる?
3.賃貸人の修繕義務の範囲とは
4.ビルの賃貸人が修繕・リフォームを拒否する場合の対応
5.賃料の減額請求の方法
6.今回のまとめ

ビルの共有部とはどの部分のこと?

そもそも、ビルの共有部とは一体どの部分を指すのでしょうか?共有部とは、大まかには入居者同士で共有して使用する部分のことを言います。つまり、全ての入居者が出入りするエントランスはもちろん、オフィスまでのエレベーターや階段、その周辺の廊下も共有部に該当することになるのです。他にも、もともと建物に備え付けられているトイレのほか、ビルによっては給湯室や会議室なども共有部となります。
また、似た言葉に専有部というものも存在します。専有部とは、共有部とは逆に一つの入居者だけが使用する部分のことです。そのため、専有部が指すのは賃貸借契約で借りた部屋のことになります。なお、専有部はあくまでも建物に付随する部分を指すため、室内に独自に設けた什器や設備は該当しません。ただし、契約前から備え付けられていた設備に関しては、専有部として扱われる場合もあります。

ビルの賃貸人に対して共有部の修繕・リフォームの要望は出せる?

共有部の明確な定義は把握していただけたと思います。では、共有部に大きな問題が見られる場合、賃貸人に対して修繕の要望を出すことはできるのでしょうか?
結論からいえば、賃借人が建物の修繕・リフォームの要望を出すということは十分可能です。むしろ、共有部に関わらずとも、賃貸人が所有する建物に付随する設備であれば専有部のものでも問題はありません。というのも、そもそも賃借人はビルの入居にあたって、賃料とともに共益費や管理費を支払っています。共益費は賃借人が共有部を利用するための費用のことで、管理費は共有部等の設備を常に利用できる状態にするための維持費用のことです。つまり、共益費や管理費を支払っている以上、賃借人には共有部や設備を利用する権利が与えられており、仮にそれができない状態であれば賃貸人に異議を唱えることができるのです。
なお、民法606条では、賃貸人に対して「賃貸物の使用および収益に必要な修繕をする義務を負う」として修繕義務を課しています。要するに、賃貸人に対する修繕の要望は法律的にも認められていることなのです。ただ、民法606条には「賃借人の責めに帰すべき事由についてはこの限りではない」とも記されており、賃借人によって破損した部分の修繕には義務が課されないとしています。また、必要以上に規模や費用が大きくなる修繕に関しても、基本的に義務が課されるまでにはならないと解されています。

賃貸人の修繕義務の範囲とは

賃貸人には、民法によって建物の修繕義務が課されています。では、その範囲は、具体的にどのように設定されているのでしょうか?ここでは、修繕義務の対象となるものや事象などの範囲についてご紹介します。

修繕義務が生じるもの・事象の範囲

修繕義務の対象となるのは、賃貸人の所有物となるもの全てです。共有部とそのスペースに取り付けられている設備はもちろん、賃借人の専有部でありつつも建物の一部をなす床・壁・天井も修繕義務の対象となります。そのため、例えば共有部となる廊下の照明が壊れていれば取り替えなければならず、専有部の天井や壁から水漏れが発生している場合は修理・リフォームを行わなければいけません。
ほかにも、専有部にもともと設置されている設備も対象となっており、仮にエアコンが設置されていて壊れてしまった際には修繕や取り替えを賃貸人が行うことになります。ただし、契約内容に建物の設備としない旨が記載されていた場合は、この限りではありません。

修繕の規模

修繕の規模に関しては、民法にて「収益に必要な修繕」と明記されています。つまり、今までの賃料に見合う分の必要最低限の修繕規模で良いと解することができるのです。したがって、以前よりも機能性が増し、費用がかかりすぎる改造を施す必要はありません。具体的にいうと、トイレの詰まりであれば、詰まりを解消できる程度の修繕で問題はないのです。

義務が免除されるケース

賃借人による故意の損傷は、民法により修繕義務の免除に該当するとされています。とはいえ、損傷の度合いによっては、結局修繕せざるを得ないこともあるでしょう。その場合は状況に応じて、賃貸人が全ての費用を負担する形、賃貸人が一部負担しつつ賃借人にも修繕費が求められる形のどちらかとなります。
一つの例として、台風が発生している際に、賃借人が部屋の窓の閉鎖を怠り壁や床に損傷が生じた場合は、全面的に賃借人に過失があるとされます。そのため、このケースでは賃貸人に修繕義務は課されず、負担は全て賃借人が負うことになるのです。なお、いずれにおいても、賃借人の故意や過失とするには本人からの申告や証拠が必要になります。

自然災害による損傷の修繕は?

地震や暴風、落雷による火災といった自然災害によって生じた損傷も、賃貸人の修繕義務の範囲に入ります。法律上、賃貸人には賃借人に対して収益相応の設備の提供を義務付けられているため、自然災害による損傷であっても修繕義務が発生するのです。ただ、自然災害によって建物が倒壊し建て替えが必要になるなど、規模が大きく高額な修繕費用となる場合は免除となります。

ビルの賃貸人が修繕・リフォームを拒否する場合の対応

ほとんどの場合において、建物の損傷の修繕義務は賃貸人にあります。それにも関わらず、賃貸人が修繕・リフォームを拒否するということもあるかもしれません。そういったときには、賃借人はいったいどのような対応をとれば良いのでしょうか?

独自に修繕を行う

賃貸人が修繕を拒否する場合は、それに代わって賃借人が独自に修繕を行うことができます。賃貸人に連絡をしたのに対応してくれない、損傷が見られるのに一向に改善されないといった状態であれば賃借人による修繕が認められているのです。
もちろん、修繕義務はあくまでも賃貸人に対して課されているため、賃借人が支出した費用は後に賃貸人に請求することができます。

賃料の減額請求をする

修繕を拒否されることにより、賃借人の本来の活動に支障をきたす状況となれば、賃借人は賃貸人に対して賃料の減額請求を行えます。賃貸借契約において、賃借人には賃貸減額請求権が与えられており、特定の事由に際してその権利を行使することができるのです。特定の事由には賃貸人の修繕の拒否も該当しているため、規定通り減額請求ができます。
ただし、減額できるのは、損傷の程度やそれによって生じる支障と相応の額だけです。一向に修繕されないからといって、賃料を全く支払わなくて良いということにはならないので、注意しなければいけません。

契約解除を申し込む

建物の損傷が大きく事業を行える状態ではない場合には、賃貸人に対して契約解除を申し込めます。このケースでは、賃貸借契約における賃借人の目的を果たすことができないため、賃料を支払う義務もありません。なお、賃貸人に修繕の意思があり、一時的な退去を求められた際にはそれに従う必要がありますが、その間の賃料は支払う必要はありません。

賃料の減額請求の方法

事業に支障をきたす損傷の修繕を拒否をされた場合には、賃料の減額請求を行うことも可能です。では、実際に減額請求を行うには、どのような手順を踏めば良いのでしょうか?
ここでは、賃料の減額請求の方法についてご紹介します。

請求の意思表示

賃料の減額請求は、賃借人の意思表示から始まります。意思表示は賃貸人への通知書の送付にて完了しますが、事前に相談をしておくことも大切です。
なお、減額請求を行う上では、法的な争いが発生することも少なくないため、通知書は内容証明郵便にて送付するのが基本となります。

双方による交渉

賃借人の意思表示がされたあとには、双方による交渉が行われます。交渉で重要視される点は、主に減額後の賃料とその正当な理由です。そのため、建物の損傷が原因であれば、減額後の賃料の妥当性を中心に話し合う形になります。双方が妥当とする賃料が一致すれば交渉成立となりますが、合意がなされなければ次のフェーズに持ち越されます。

調停・訴訟

当事者同士で話し合いがまとまらない場合は、調停・訴訟に移行します。なお、賃料の減額請求の申し立てには調停前置主義がとられており、訴訟の前には簡易裁判所にて調停を行う必要があります。そして、調停を経ても双方の合意がなされないときには、再び裁判所にて訴訟・裁判が行われる形になるのです。
ちなみに、調停・訴訟で減額が認められた場合、賃借人はその期間中に支払っていた賃料から減額分を請求することができます。

今回のまとめ

共有部に限らず、建物の所有者である賃貸人には、その一部をなす設備に対して修繕義務が課されます。このため、活動に支障が出る状況であれば、賃借人は修繕の要求のほか賃料の減額請求など様々な対応ができます。とはいえ、全ての損傷に修繕義務が発生するわけではなく、特に賃借人の故意・過失によって生じた損傷では賃貸人の責任は問えないので、この点はしっかり留意しておきましょう。
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