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コラム 2022.04.07

オフィス・テナント・工場の「造作買取請求権」とは?


賃貸借契約において、賃借人には「造作買取請求権」が発生します。これは簡単にいえば、物件を退去する際に、賃貸人に対して所有していた造作を買い取ってもらえるという権利のことです。賃貸借契約を結んだ賃借人に生じるため、オフィスに限らず店舗や工場でも有効となります。
では、具体的に、それらにおける造作買取請求権とはどんなものなのでしょうか?今回は、オフィス・テナント・工場の造作買取請求権について解説いたします。ぜひ最後までご覧ください。

【目次】
1.造作買取請求権とは?
2.造作買取請求権の対象の条件
3.オフィス・テナント・工場の造作買取請求権の対象
4.造作買取請求権は必ず有効になるのか
5.造作買取請求権を行使するメリット・デメリット
6.今回のまとめ

造作買取請求権とは?

造作買取請求権は、賃貸借契約を結んだ賃借人に与えられる権利のことです。具体的には、賃借人が物件を退去する際に、賃貸人に対して建物に付加した造作を買い取ってもらえるという権利になります。通常、賃借人には退去時に原状回復義務が課せられますが、特定の場合にのみ、造作を撤去することなく買取請求が行える例外的な権利となっているのです。
なお、造作の定義は幅広く、建物に取り付けられたもの全般を指します。例えば、畳や建具をはじめ電気・ガス・水道設備、空調設備などが造作の対象になります。逆に、建物に取り付けられていない家具や什器は対象外となります。
また、造作にあたるからといって、全てに造作買取請求権が生じるわけではありません。権利が確実に発生するのは、賃貸人の同意を得て設置したものに限ります。実際に、賃貸借に関する法令の借地借家法では、第33条にて「賃貸人の同意を得て建物に付加したもの」と明記されています。ただし、電気・ガス設備等の確実に利益になり得るものに関しては例外です。
ちなみに、造作買取請求権を行使した場合、賃貸人は造作を時価で買い取る形になります。このため、造作に価値が付けられないと判断されれば請求は認められません。

造作買取請求権の対象の条件

造作に該当するものは多く存在しますが、造作買取請求権を行使するためにはいくつかの前提条件があります。ここでは、そんな造作買取請求権が対象となる条件についてご紹介します。

建物に付加されているもの

造作買取請求を行えるのは、建物に取り付けられたものに限られます。たとえ、購入して間もなく、移転に際して必要がなくなった家具や什器であっても、造作としては認められません。

賃借人が所有するもの

買取請求を行うからには、当然その対象物は賃借人が所有するものである必要があります。仮に、改造工事等で床や天井の改造に支出していたとしても、あくまでも賃貸人の所有物である建物の構成部分とされるため造作買取請求はできません。ただし、この場合は有益費として賃貸人に請求ができる可能性があります。

賃貸人の同意を得たもの

造作の設置には、基本的に賃貸人の同意書が必要です。賃貸人の同意を得ず、勝手に設置した造作に関しては、インフラ設備を除き原則的に造作買取請求権は認められていません。
なお、同意があれば必ず買取請求が行えるわけでもないので、この点は留意しておく必要があります。

客観的な便益があるもの

客観的な便益とは、次の賃借人および事業者の便益に繋がるようなものを指します。あらゆる事業で通常利用され便益となるものとしては、やはり電気・ガス・水道のインフラ設備や空調設備が挙げられるでしょう。
なお、特定の用途にしか利用できない特殊な設備に関しては、通常利用する可能性が低いことから便益があるものには該当しません。例えば、畳敷の客席などがこれに当てはまります。

オフィス・テナント・工場の造作買取請求権の対象

ここまで、造作買取請求権の基礎や条件をご紹介しました。では、その対象としては、具体的にどういったものが挙げられるのでしょうか?
ここからは、オフィス・テナント・工場の造作買取請求権の対象について解説します。

オフィスにおける造作

オフィスではインフラ設備のほかに、エアコンや壁・パーテーションの間仕切りが造作に該当する場合があります。エアコンに関しては、天井に埋め込むタイプの業務用のものが対象です。家庭用のエアコンは取り外しが比較的容易である上に安価であることから、撤去しても建物の利用価値に大幅な減退は見込まれず対象外とされています。
そして、壁・パーテーションにおいては、床と天井に取り付けられ完全な間仕切りの役割を果たすものが対象となります。そのため、例えばパーテーションならば、床や天井にレールを取り付ける施工型である必要があります。床に設置するだけのローパーテーションは該当しません。

テナントにおける造作

店舗において造作に該当するものは、当然その物件の用途・事業によって異なります。具体的には、小売販売事業ならば陳列棚やショーケース、飲食事業であればカウンター・調理台・食器棚などが該当します。これらに関しても、その事業で便益性が高いものでなければいけません。
なお、同じ事業にまつわるものでも、内装の造作は認められないケースがほとんどです。例えば、畳敷の客席が設けられていれば、同じ事業でもごく限られた業種のテナントしか入れなくなってしまいます。また、店舗の内装は企業のイメージに関わることから、前賃借人の内装には便益がないとされるのが一般的なのです。

工場における造作

工場の造作として挙げられるのは、ボイラー設備・ダクト・リフト・エレベーターなどです。貸工場や貸倉庫を明け渡す際にも、原則的に原状回復義務が生じますが、前記のものに関しては造作買取請求が行える可能性があります。ただし、あくまでも時価での請求となるため、経年劣化が激しく価値が付けられないものは対象外となります。

造作買取請求権は必ず有効になるのか

造作買取請求権には様々な条件がありますが、実はそれら全てを満たしていても必ず有効になるわけではありません。法律上、造作買取請求権は任意規定に属しており、賃貸借契約の特約にて効力を排除することも可能となっているのです。
つまり、契約内容に造作買取拒否の記載がされている場合、いかなる造作も賃貸人に買い取ってもらうことはできません。なお、これは普通借家契約と定期借家契約いずれの契約方法でも同様です。賃貸人としては、この特約を盛り込むことにより、不要なトラブルを避けられるメリットがあると言えます。
また、特約が設けられる以外にも、造作買取請求権が無効となるケースが存在します。それは、契約違反によって賃貸人から契約解除を言い渡された場合です。権利が有効になる条件には、契約期間の満了もしくは賃借人からの解約の申し入れであることも挙げられており、家賃滞納など賃借人の不履行により解約となった場合には無効とされます。要するに、造作買取請求権は賃借人が行使する権利であっても、法律的には賃貸人の立場が強く保護されているものなのです。

造作買取請求権を行使するメリット・デメリット

仮に、契約内容に権利排除の特例を記さずに有効とした場合、賃貸人と賃借人にはどのような影響が考えられるのでしょうか?ここでは、造作買取請求権を行使するメリット・デメリットについてご紹介します。

居抜き物件として貸し出せる

賃貸人のメリットとしては、買い取った造作をそのまま設置し、居抜き物件として貸し出せる点が挙げられます。一見すると、内装が制限されてしまい需要が見込めないように感じられますが、新しい賃借人からすれば内装費用が抑えられるという大きな利点が存在します。つまり、開業や移転に際する費用を極力抑えたい人にとっては、造作が残っている状態が特典になり得るのです。
一般的に、スケルトン状態の内装工事には1坪あたり50万円前後の費用がかかるため、実際に居抜き物件を検討する人も少なくありません。

原状回復の費用を抑えられる

賃借人のメリットとしては、退去時の原状回復の費用を抑えられる点が挙げられます。通常、原状回復では設置されたものを全て撤去しなければいけません。建物に取り付けられた造作ならば、撤去費用も自ずと高くなります。しかし、それらの造作を売却できるとなれば、撤去費用はおろか原状回復全体にかかる費用の足しにすることもできるのです。ただ、修繕が必要な場合には、結局多くの費用がかかってしまうことも考えられます。

トラブルが発生する

お金のやりとりが行われる以上、やはりトラブルが付きものです。実際に、そもそも賃貸人が造作買取請求を認めなかったり、買取価格の相違でもめてしまったりという事例も少なくありません。その結果、裁判にまで発展するケースもあります。最後になって関係が悪くなってしまうというのは、なんとも後味が悪いでしょう。
ちなみに、トラブルを未然に防ぐ方法として、居抜き売却といった手段もあります。これは退去予定の賃借人が新たな賃借人を見つけ、賃貸人の許可を得て造作や什器などを売却するという方法です。この方法ならば、賃貸人の金銭に影響を与えないうえに借り手が付かない不安も払拭できるため、トラブルを防げる可能性が高くなります。
ただ、造作等がすぐに壊れたとなれば、賃貸人と新しい賃借人とのトラブルになりかねないので、この点には注意が必要です。

今回のまとめ

造作買取請求権は、特定の条件を満たした場合にのみ、賃借人が賃貸人に対して造作の買取を請求できるという権利になります。ただ、あくまでも任意規定であり、契約の特約にて事前に効力を排除することが可能です。また、無理に行使すれば、様々なトラブルのきっかけにもなり得ます。造作買取請求を行いたい場合は、これらの点を留意した上で誠実な方法で臨むようにしましょう。
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