名古屋の賃貸オフィス・貸事務所探し専⾨の不動産仲介業者(株)オフィッコスの「お知らせ・コラム」ページ

お知らせ・コラム

NEWS

コラム 2021.05.25

無償で借りている賃貸オフィス・賃貸事務所は借地借家法の適用外!?

通常、賃貸オフィス・賃貸事務所は、契約で定められた賃料を支払って借りるものです。しかし、何らかの事情により無償で借りるケースも存在します。そうした場合、借地借家法は適用されるのでしょうか。今回は、無償で借りている賃貸オフィス・賃貸事務所と借地借家法の関係について確認していきます。

【目次】
1.無償で借りている場合は「賃貸借契約」ではなく「使用貸借契約」
2.無償で借りている賃貸オフィス・賃貸事務所には借地借家法は適用されない
3.賃貸オフィス・賃貸事務所を無償で借りる際に注意したい点
4.今回のまとめ

無償で借りている場合は「賃貸借契約」ではなく「使用貸借契約」

借主が定められた賃料を支払って物件を借りる契約が「賃貸借契約」であり、対価を支払うことをせず無償で物件を利用する場合は「使用貸借契約」となります。貸主側に経済的メリットがないだけに、貸主と借主との間に血縁関係や雇用関係などの特別な関係性があることが多く、基本的には貸主の善意によって成立している点が特徴です。親子や親戚といった間柄での居住用物件の使用貸借契約の場合は特に、口約束だけで書面が一切ないというケースも珍しくありません。

無償で借りている賃貸オフィス・賃貸事務所には借地借家法は適用されない

借地借家法は、建物ならびに建物の所有を目的とした土地(あるいは地上権)の賃貸借について定められた法律です。無償で借りている場合は賃貸借ではなく使用貸借に当たるため、借地借家法は適用されません。
基本的に借地借家法は立場の弱い側である借主を保護する目的で定められており、貸主側から立ち退きを迫ることは厳しく制限され、借主に不利な特約は無効とされます。無償で借りているケースはこうした借主保護規定の適用外ですので、借主は契約書で定められた時期に必ず返還(つまり退去)しなくてはならないのはもちろん、立ち退きを求められた場合にも権利を主張できません。
また、契約時に物件の利用目的(使用収益)が定められていれば、それが終了すると同時に契約も終了します。

賃貸オフィス・賃貸事務所を無償で借りる際に注意したい点

賃貸オフィス・賃貸事務所を無償で借りる場合に注意したい点には、次のようなものがあります。

トラブルに発展することが少なくない

貸主が無償で貸す理由としてよくあるのは「長いつき合いのある知人だから」といったもので、比較的安易な気持ちで貸すケースが目立ちます。しかし、当事者同士の人間関係が土台となっているだけに、その人間関係がもつれてしまうと使用貸借にも影響が及び、トラブルに発展する例は少なくないのが実情です。近しい間柄であることから「細かいことまで決めておかなくても大丈夫だろう」と考え、権利関係や諸条件を明確にしていないケースは珍しくありませんが、明文化された契約書がないことで解決が大変困難となる可能性があります。

一定の金銭的負担があっても無償利用に相当する場合もある

借主がいくらか支払っている場合でも、無償で利用しているのと同等と捉えられることがあります。たとえば、借主が管理費を負担するという約束で借りている場合、貸主側にとって管理費は「借主が負担すべき実費」でしかなく、貸すことにより利益を得られているわけではありません。そのため、実質的には無償利用に等しく、使用貸借に当たると解釈される場合があります。

借主が死亡すると契約も終了する

無償で借りる使用貸借契約は、借主が死亡すると終了すると法に定められています。これは、無償で貸してもいいと貸主が考えるほどの人間関係がその借主との間にあるのが使用貸借契約の前提であり、当の借主が死亡すれば貸し出す理由がなくなると考えられるためです。

今回のまとめ

賃貸オフィス・賃貸事務所を無償で借りている場合、借地借家法の適用外となるため借主が保護されず、立ち退きを求められた場合にも借主の権利を主張できないなどの注意点があります。また、人間関係がベースとなっているため、トラブルに発展する可能性も高い傾向です。使用貸借契約を検討する際には、無償というメリットだけでなく、無償で借りる場合ならではのデメリットにも目を向けましょう。

kiji_7 kiji_hojo

CATEGORY