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コラム 2021.05.25

賃貸オフィス・賃貸事務所にも賃料の増減額請求権はあるのか

賃貸物件に関する言葉の一つに「賃料増減額請求権」というものがあります。読んで字のごとく賃料改定を請求する権利ですが、この権利は一般の賃貸物件だけでなく賃貸オフィス・賃貸事務所にも認められているものなのでしょうか。今回は、賃貸オフィス・賃貸事務所における賃料増減額請求権についてご紹介します。

【目次】
1.賃料の増減額請求権とは
2.賃料の増減額請求権は行使可能な場合が多い
3.賃料の増減額請求権を行使する場合の流れ
4.今回のまとめ

賃料の増減額請求権とは

賃料の増減額請求権とは、借地借家法第32条に定められている「借賃増減請求権」を指します。近隣物件の賃料相場との比較、経済事情の変化、地価の変動などの事情に基づき、現行の賃料が適当ではないと考えられる場合に、契約相手に対し賃料の増額あるいは減額を請求できる権利です。当然のことながら、貸主からは増額の、借主からは減額の請求がなされるのが基本となります。

賃料の増減額請求権は行使可能な場合が多い

賃料の増減額請求権は、ほとんどの賃貸オフィス・賃貸事務所について認められています。(定期借家契約などでは特約により賃料増減額請求権が排除されているケースもありますので、契約内容の確認が必要です)しかし、実際には、調停や訴訟となると時間も費用もかかるため、賃料の増減額請求権が行使される例はそれほど多くはありません。請求権の行使はいわば最後の手段であり、任意の交渉により合意に至るケースが大半であるのが実情です。
また、賃貸借関係が長期的なものであり、今後も継続されることを考慮すれば、話し合いで円満に解決するのがやはり一番望ましいと考えられるでしょう。

賃料の増減額請求権を行使する場合の流れ

賃料の増減額請求権を行使する場合、いきなり訴訟を起こすことはせず、次のような流れで進めます。

【1】相手方に請求内容の通知を送る

賃料増減額請求は意思表示をした時点から有効となり、増減額が確定したときには通知時点にさかのぼって増減額後の賃料が適用されるため、まず真っ先に行うべきは、賃料増減額を請求する旨の相手方への通知です。配達証明付きの内容証明郵便を利用して送付します。とはいえ、いきなり内容証明郵便が送りつけられれば、誰しも驚き、困惑し、穏やかならざる気持ちになります。
通知を送付することについてあらかじめ何らかの形で相手に伝えておくとよいでしょう。

【2】当事者間同士での話し合い

当事者間同士で任意の話し合いの場を持ち、合意を目指します。「賃料を安くしてほしい」あるいは「賃料を値上げしたい」と考える根拠や事情、適切と思われる賃料について、誠意をもって丁寧に説明しましょう。

【3】調停

当事者同士による任意の話し合いでは合意に至ることができなかった場合、民事調停の申立てをします。これは、裁判所へ訴えを起こす前段階として調停を経る必要があるためです(調停前置主義)。訴訟の場である裁判所の立場としても、貸主と借主との信頼関係を重視し、あくまで話し合いによる解決の道を探るということです。

【4】訴訟

民事調停での話し合いをもってしても合意に至らず調停不成立となると、賃料増減額請求の妥当性の判断を裁判所に委ねるため、訴訟を起こすことになります。裁判所側では不動産鑑定士などの鑑定人を選任し、賃料の鑑定評価を行わせますが、その費用は訴訟を起こす側の負担となるのが一般的です。訴訟に伴いこうした費用も発生することを認識しておきましょう。

今回のまとめ

訴訟となった場合の面倒や金銭的負担、貸主・借主間の今後の関係性の悪化を考えると、当事者同士での協議により解決できればそれが最善です。しかし、どうしても合意に至らなければ、調停や訴訟による解決を図ることになる場合も出てくるでしょう。今後も良好な賃貸借関係を維持していくために、手続きを進めていく中でも最後まで合意・和解の可能性を探る姿勢を崩さないことを大切にしたいですね。

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