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コラム 2021.09.18

貸店舗・テナントの原状回復義務の範囲とは?費用相場も解説

今まで借りていた貸店舗やテナントから退去するときは、物件を借りた時点の状態まで戻すことが、借主の義務として課せられます。これを「原状回復義務」と言いますが、費用面や責任の所在など、原状回復義務に関する悩みは尽きません。
実際、貸主・借主間のトラブルも少なくないのが現状です。円満に退去するには、原状回復義務について借主がしっかり理解しておく必要があります。
今回の記事では、原状回復義務の範囲とその費用相場について解説します。

【目次】
1.原状回復義務が借主の義務である理由
2.原状回復義務の範囲とは?
3.原状回復工事費用の相場
4.原状回復工事を行う際の注意点
5.今回のまとめ

原状回復義務が借主の義務である理由

居住用の賃貸物件の場合、経年劣化の範疇であれば入居時に預けた敷金(保証金)は返ってきます。退去時に一定額を差し引く敷引きの特約がある場合でも、それを超えて請求されることはありません。
これは、毎月の家賃の中に補修費用が含まれているから。賃貸物件で勝手なリフォームが禁止されていることが多いのは、補修費用が膨れ上がることを避けるためです。

一方、店舗や事務所は、業種業態によっては大幅な内装工事を行うケースが多く、退去時にどの程度の劣化・消耗が起こっているのか予測がつきません。そのため補修費用を家賃に含めることができず、原状回復を借主の負担で行うことが義務となっているのです。

原状回復義務の範囲とは?

原状回復を行う範囲は、原則100%。「借りたときと全く同じ状態に戻す」ということです。
厨房設備・空調設備、テーブルや椅子、ロッカー、家具類、OA機器類、照明など持ち込んだものはすべて撤去しなければなりません。電源工事や配線工事を行った場合、それも元通りにする必要があります。入居時にスケルトン物件であったのならば、退去時もスケルトンの状態まで戻します。
契約書に、原状回復後の仕上げ工事まで行うよう求められていたら、それも義務となります。

但し、入居時の賃貸借契約書の中に特約事項として原状回復義務の緩和や免除が記載されている場合は、そちらが優先されます。
また、そのまま残すほうが物件の価値を上げ、かつ借主のコスト削減にもなると判断できるような設備や機器がある場合は、適宜貸主に相談してみると良いでしょう。

居抜き物件に入居していた場合の原状回復義務

以前のテナントが使用していた内装や設備がそのまま残された居抜き物件を借りていた場合、「前の入居者が入居した時点の状態」まで戻すのが原則です。
退去時にトラブルにならないよう、入居時に原状回復義務の範囲を明確に取り決め、契約書に記載しておくようにしましょう。

居抜きで退去したい場合の原状回復義務

原状回復工事費用を抑えるには、居抜きで退去するという方法があります。原状回復工事費用が高額になりがちな飲食店の場合は特に、居抜き退去は珍しくありません。
入居時に取り決めた原状回復義務を緩和してもらうことになるので、まずは貸主に交渉が必要です。許可が出たら解約を申し入れ、入居者を募集することになります。
退去日までに決まらなければ原状回復工事が必要になるので、貸主や不動産仲介業者にまかせるだけでなく借主側でも入居者を探す努力をするほうが賢明です。

なお、居抜き退去するからと言って原状回復工事がまったく不要というわけではありません。不用品の処分、厨房設備や空調設備のメンテナンス、壁や床の貼り替えやクリーニングなど、入居する価値のある物件にするための工事は必要です。

居抜き退去の場合の原状回復の範囲については、貸主と相談しながら進めます。また、残す設備等を新しい借主に譲渡する契約を結ぶ場合も貸主の許可が必要になることが多いので、勝手に話を進めないようにしましょう。

原状回復工事費用の相場

原状回復工事の費用は、30坪程度の小規模物件なら約2万円/坪、50坪までの中規模物件なら3~5万円/坪、50坪以上の大規模物件なら5~10万円/坪が相場です。
なお、オフィスよりも飲食店のほうが高くなるのが一般的。大きな厨房設備がある、壁や床、天井の消耗がひどい、入居時に大規模な配線工事をしている、といった場合は多めに見積もっておくようにしましょう。

原状回復工事を行う際の注意点

原状回復義務や工事内容などの取り決めは賃貸借契約書に記載されているので、見落とすことがないよう確認し、その内容を遵守しなくてはなりません。

特に注意が必要なのは、工事業者。
原状回復工事を行う業者は通常、貸主が指定しています。許可を取らずにほかの業者へ依頼するとトラブルになったり、追加工事が発生して費用がかさんだりするリスクがあるので、相見積もりを取りたい場合は予め貸主に相談するようにしてください。

関連記事:オフィス・事務所の原状回復は自分で工事業者を見つけていいの?

今回のまとめ

原状回復工事は、テナントにおける賃貸契約の中でも、トラブルが起こる確率が高いものです。トラブルを防ぐには、契約時に契約書の記載内容を必ず確認し、不安な点は早急に解決しておくことが大切です。
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