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コラム 2021.05.28

賃貸オフィス・賃貸事務所の賃料における消滅時効の考え方

賃貸オフィス・賃貸事務所の賃料を滞納した場合に、貸主が未払い賃料を請求できる期間にも時効があることをご存知ですか?今回は、賃貸オフィス・賃貸事務所の賃料における消滅時効の考え方についてご紹介します。

【目次】
1.賃料の消滅時効は5年で成立
2.5年で消滅時効が成立する根拠とは?
3.管理費も賃料同様
4.消滅時効が成立するための条件
5.5年で消滅時効とならないケース
6.今回のまとめ

賃料の消滅時効は5年で成立

賃料の消滅時効は5年で成立するため、未払いとなってから5年を超過した賃料は消滅したとみなされ、貸主は借主に対しその支払いを請求できなくなります。そのため、貸主が賃料の徴収を適切に管理せず、滞納に対し何の対策もせずにいると、最終的に滞納賃料を回収できなくなる恐れがあります。
なお、時効が成立するのは支払い期限から5年間が経過した賃料であり、各月分の賃料の時効成立タイミングは異なる点に注意しましょう。たとえば、4月分の賃料と5月分の賃料では起算点となる支払期限日が異なるため、4月分と5月分の2ヶ月分の未払い賃料が同時にまとめて時効を迎えることとはなりません。

5年で消滅時効が成立する根拠とは?

賃料の時効成立までの期間が5年間であることの根拠となっているのは、民法第166条(債権等の消滅時効)に明記されている次の文言です。

「債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。」

行使可能であることを知っている状態での主観的な起点と、知っているかどうかにかかわらない客観的な起点とに分かれていますが、貸主が賃料の支払いを請求できることを知らないとは考えられません。したがって、賃料未払いがあった場合の消滅時効は(主観的な起点から)5年で成立します。

管理費も賃料同様

賃料とは別に毎月求められる管理費についても、賃料同様に5年で消滅時効が成立します。
なお、2020年4月に改正される前の民法では、債権の種類によって時効となるまでの期間が異なったため、管理費については時効成立まで10年とされていました。改正後は一律5年となっている点に留意しましょう。

消滅時効が成立するための条件

消滅時効は5年が経過すると自動的に成立するわけではなく、成立する条件として「援用」があります。援用とは、時効が成立することによって利益を得る者(賃料未払いのケースでは借主)が時効の成立を主張することです。内容証明郵便で「支払い期限日から5年以上経っているので、時効が成立しているはずですよ」と借主から貸主に対し意思表示して初めて時効が成立します。

5年で消滅時効とならないケース

支払期限日から5年以上が経過していても、賃料の消滅時効が成立しない場合もあります。

滞納分の一部について支払いがあった場合

滞納している賃料のうち一部だけでも支払いがあれば、そこで一旦更新され、残額についてはそこからさらに5年が経過しないと消滅時効が成立しません。

貸主が訴訟を起こすなどした場合

貸主が借り主に対し内容証明郵便で催告書を送ったり、裁判所に申し立てたりといった裁判上の請求を行った場合、消滅時効成立までのカウントダウンがリセットされます。

未払い賃料の支払いについて協議を行う場合

当事者間で協議を行うことについて書面などで合意すると、協議期間として合意した期間を経過するまでは時効が成立しません。したがって、滞納してからもうすぐ5年というタイミングで協議の実施について合意したケースでは、5年が過ぎても所定の協議期間が経過するまでは時効とはなりません。

今回のまとめ

貸主が賃料債権に対し有している権利はいつまでも行使できるわけではありません。未払いとなっているにもかかわらず貸主側からの有効なアクションがないまま5年が経過し、滞納している借主側からの時効の援用が行われれば、時効となります。
言うまでもなく、賃料は滞納せずに支払うことが大前提ですが、もしも滞納となってしまった場合のために、貸主・借主の両者とも、ここで紹介したような賃料の消滅時効に関する各規定や条件をよく理解しておきたいですね。

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