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コラム 2021.06.30

特定防火対象物と非特定防火対象物の違いとは?消防法を知って法令順守


多くの人が利用する大規模な建築物であればあるほど、火災発生時には被害が大きくなります。そのため、こうした建築物は消防法により一般よりも厳しい防火対策が義務付けられています。
さらにその用途により「特定用途」と「非特定用途」とに分類されます。それぞれの特性の違いと要求される内容の違いを解説します。

【目次】
1.防火対象物とは
2.防火対象物の「特定用途」と「非特定用途」とは
3.特定/非特定共通の義務と、防火管理者選任基準の違い
4.今回のまとめ

防火対象物とは

防火対象物とは、火災予防行政の主たる対象となる建築物などを指し、広義には一般住宅も含まれます。しかし一般には、政令により一定以上の防火対策が義務付けられているものに限定して「防火対象物」と呼ばれています。
以降この記事では、「防火対象物」という用語を一般的に使われている狭義の意味で使用することとします。

防火対象物の「特定用途」と「非特定用途」とは

防火対象物は、その用途によって「特定用途の防火対象物」と「非特定用途の防火対象物」とに分類されます。

特定用途の防火対象物とは

不特定多数の人が出入りする建築物または火災発生時に避難等が困難であると予想される施設。

(例)

劇場、映画館、ナイトクラブ、遊技場、ダンスホール、百貨店、物品販売店舗又は展示場、ホテルや旅館等の宿泊施設など(以上前者)、病院※、老人ホーム、幼稚園、身体障害者福祉施設など(以上後者)
※診療所については、有床・無床ともに条件により判定されます。

非特定用途の防火対象物

収容人数は多いものの出入りする者が限られている施設や火災発生時の避難等が比較的用意である施設

(例)

勤務する従業員が限定される工場、共同住宅、学校等(小学校、中学校、高等学校、大学、専門学校 )、公衆浴場(蒸気浴場、熱気浴場等は除く)、公会堂、集会場、車庫、倉庫、飛行機格納庫、車両の停車場(駐車場)、船舶・航空機の発着場、美術館や博物館など

詳細及び上記以外の施設については、消防法施行例別表第一を参照してください。
また、2つ以上の異なる用途がある防火対象物(店舗兼住宅など)は「複合用途防火対象物」となり、適用される消防法規制については別途判定されます。

特定/非特定共通の義務と、防火管理者選任基準の違い

防火対象物には消防法により一定の防火管理が義務付けられていますが、「特定用途の防火対象物」と「非特定用途の防火対象物」とでは防火管理者の選任基準が異なります。

共通して求められる内容

  • スプリンクラー、屋内消火栓、自動火災報知器、誘導灯、避難器具などの消防用設備等の設置および維持
  • 一定の防災性能を有する防災カーペット、防災カーテン等の使用
  • 地震等に対応できる防災管理(特に大規模な防火対象物のみ)
  • 防火対象物定期点検報告制度の遵守(主に適切な避難が可能な環境となっているかの点検)
  • 必要に応じた立入検査の受け入れ、違反是正
  • 特定の消防用機械器具等に係る検定制度遵守

防火管理者の選任が必要な基準

特定用途でも非特定用途でも、以下の基準に該当する場合は防火管理者を選任して、消防計画の作成・届出を行い、防火管理上必要な業務を実施しなくてはなりません。

特定用途の防火対象物:
収容人員が30人以上(入所型福祉施設は10人以上)

非特定用途の防火対象物:
収容人員が50人以上
※収容人員とは建物に出入りし、勤務・居住する人数を指します。

今回のまとめ

  • 多くの人が集まる施設は「防火対象物」として一般住宅以上の防火対策が求められる
  • 防火対象物は、不特定多数が集まるかどうか、火災時の避難が困難かどうかによって「特定用途」と「非特定用途」に分かれる
  • 一定の基準をを満たす防火対象物は防火管理者の選任が必要になるが、その基準となる収容人数は「特定用途」は30人以上(入所福祉施設は10人以上)、「非特定用途」は50人以上である

大規模な建築物は火災発生時の被害も大きくなるため、厳しい防火対策が求められるのは当然のことです。施設運営者の責任は非常に重いので、法律を遵守するのはもちろん、常日頃から万が一に備えておくことが大切です。
消防設備や消火器の点検、避難訓練の実施なども定期的に実施しましょう。

【当記事の内容の根拠法】消防法第8条、東京都火災予防条例第55条の3

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