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コラム 2021.03.10

賃貸オフィス・賃貸事務所の退去時に造作物を買い取ってもらうことは可能?


賃貸オフィスなどに後からエアコンや建具などを取り付けることも少なくありません。これらの造作物は退去時に買い取ってもらうことは可能なのでしょうか?知っておかないとトラブルにも発展しかねない退去時の造作物の買取について解説します。

【目次】
1.賃貸オフィスに取り付けた造作物は退去時に買い取ってもらえる?
2.造作物と造作買取請求権とは?
3.造作買取請求権は絶対なの?
4.今回のまとめ

賃貸オフィスに取り付けた造作物は退去時に買い取ってもらえる?

賃貸オフィスに入居後に取り付けた造作物を、退去時に家主に買取依頼しようと考える方も少なくないでしょう。しかし、後付けた造作物のすべてが、買い取ってもらえるとは限りません。借主側は買い取ってもらえるだろうと依頼したものの、受け付けてもらえずトラブルに発展するケースも良くあります。具体的にみていきましょう。

造作物と造作買取請求権とは?

賃貸オフィスを退去する際に造作物を買い取ってもらえるかどうかを判断するには、不動産用語である「造作物」の意味合いを理解しなくてはいけません。その上で、造作買取請求権について正しく理解することが必要です。

造作物にはどのようなものが該当する?

造作物について考える際に、借地借家法で規定される「造作」という言葉の定義を知ることが大切です。具体的な例として挙げられているものには、建具や畳があります。
また、次の3つを満たすものが造作に該当するとされています。一つ目は、「建物に付加されたもの」であり、建物に取り付けて初めて意味を持つ、価値を持つものです。二つ目は、「賃借人の所有するもの」となっており、借りている建物の取り付けることで建物と一体なってしまってはいけません。建物とは切り離すことができる、あくまでも賃借人の持ち物であることが大前提です。その一方で、容易に取り外せるものは除外されます。三つ目に、「建物の使用にあたって、客観的に便益を与えるもの」であること。つまり、電灯設備などは建物の付加価値をあげるものですが、特定の用途にしか使えないものを取り付けた場合は除かれる点に注意しましょう。

造作買取請求権とは?

次に、借地借家法で定められた「造作買取請求権」について解説しましょう。この権利を持っているのは、建物を借りている人。その人が、貸主の同意を得て建物に取り付けた造作物について、物件を返却する際に、時価で買い取りを請求できるという権利のことです。造作買取請求権が行使できるタイミングは、賃貸契約が満了するときもしくは解約の申し出があったときに限定される点に注意しましょう。
混同しやすいものに、「有益費償還請求権」があります。これは、建物の価値を客観的にあげるために支出された費用を借主に償還する義務として民法に定められています。たとえば、トイレを水洗式に変えた場合などが該当します。エアコンなどであれば、造作買取請求権が使えない場合、借主は取り外して持ち出すことができますが、トイレの場合は取り外しが不可能です。つまり、「有益費償還請求権」に該当するものは取り外しができないものに限定されると理解しましょう。

造作買取請求権は絶対なの?

残念ながら、造作買取請求権は絶対ではありません。契約書に、造作買取請求権を排除する旨の特約を規定していた場合は、請求することができません。実務上は、借主が建物に後から取り付けたものに対しての、買取や支払い請求が退去時にあった場合、造作買取請求権に該当するのか、もしくは有益費償還請求に該当するのかが判断されます。その上で、造作物であると判断された場合には、貸主の同意があるかどうかを確認し、さらに造作買取請求権に関する特約がないかを確認していきます。

今回のまとめ

賃貸オフィスなどに、入居後に取り付けた造作物がある場合は、まずは取り付けたものが造作物に該当するのかどうかを確認しましょう。その上で、該当するのであれば、取り付け時の経緯をさかのぼり、契約書に特約が結ばれていないかの確認を合わせて行ってください。

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