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オフィス移転のポイント

2022.11.03

名古屋へのオフィス移転で使える助成金・補助金まとめ

名古屋へのオフィス移転で使える助成金・補助金まとめ

地方移転を検討する企業が増えてきています。名古屋市内へ新たにオフィスを構えようとしている方もいらっしゃるでしょう。
企業が移転する場合、自治体などから助成金や補助金を受けられるケースがあります。今回は名古屋市にオフィスを移転した場合に使える助成金・補助金について紹介します。名古屋市へのオフィス移転を検討する方は、ぜひ参考にしてください。

助成金と補助金の違い

よく同じような意味で捉えられる助成金と補助金ですが、厳密には意味が異なります。それぞれの違いについては次のとおりです。

助成金 補助金
  • 主に厚生労働省が主管で、雇用や設備投資など、労働環境の改善に関することに支給されるもの
  • 要件を満たせば受けられる(相応しくないとみなされれば不支給の場合もある)
  • 受け取るハードルは低い
  • 主に経済産業省が主管で、国や自治体の政策目的のために予算策定され、交付されるもの
  • 要件が厳しく、審査に落ちることもある
  • 受け取るハードルが高い

両者の大きな違いは、受給ハードルの高さだと言えるでしょう。助成金は要件が合致すれば受けられることが多いですが、補助金は申請が多くなれば倍率が上がり、受給するのが難しくなります。
ただし、「助成金」という名称でありながら、補助金と同様に受給ハードルが高く審査が必要な性質を持つものも多く存在します。申請する助成金・補助金の内容や要件を十分に確認しておくことが重要です。

なお、この記事で紹介するものはすべて「補助金」に該当します。(2022年10月現在)

名古屋市の補助金

オフィス移転の際に使える名古屋市の補助金を3つ紹介します。市外企業向けのものと市内企業向けのものがありますので、ぜひ参考にしてください。

名古屋市本社機能等立地促進補助金

補助金情報

  • 対象企業:本社や研究施設を名古屋市に移転・新設する企業
  • 補助限度額:物件賃貸の場合は最大1億円、所有の場合は最大10億円
  • 対象内容:建物の賃借・取得料、設備・備品購入費など
  • 申請期限:各種契約日の30日前まで
  • 必要書類:認定申請書・企業概要書・事業計画書・法人の登記事項証明書など

1つ目は、名古屋市本社機能等立地促進補助金です。名古屋市に本社・研究施設・または調査・企画部門などを移転もしくは新設する企業に対して、経費の一部を補助します。

物件賃貸の場合は最大1億円、所有の場合は最大10億円の補助が出ます。東京23区から移転する場合と、そのほかの地域から移転する場合とで、補助限度額が変動するため注意しましょう。

3年分の賃借料や建設工事費の一部、備品・什器購入費、引越し費用などが補助の対象で、多くの経費を補助対象にできる可能性があります。従業員の移住や本店登記の移転で別途補助額が加算される仕組みもあり、大幅な費用削減ができます。

受給するには一定の正規雇用者数を有すること、法人格取得から5年経過していることなど条件が厳しく複雑です。利用を検討する際は、市の担当者に問い合わせてみるとよいでしょう。

最後に、補助金の詳細を紹介します。

項目 要件等
名称 名古屋市本社機能等立地促進補助金
採択実績 ・令和3年度   0件
・令和2年度   2件
・令和元年度    0件
進出形態 1.事務所の場合
・企業全体を統括する意思決定機関であること
・全社的な業務を担当する調査・企画部門、研究開発部門等を有する事業所であること

2.研究施設の場合
・事業者の研究開発において重要な役割を担うものであること

業種 全業種
種別 ・東京23区内からの移転型
・その他の地域からの移転型
補助対象経費 ・建物賃借料(36か月分)
・建物建設工事費又は取得費(土地を除く)
・機械設備購入費及び什器備品購入費(ただし、取得価額50万円未満は除く)
・移転に係る運搬料等
補助率 10%から50%まで
補助限度額 最大10億円
加算 ・正規常時雇用者の異動に対して 1人あたり最大100万円
・本店登記の移転に対して 最大500万円
その他 ・23区からの移転は正規雇用者15人以上、それ以外からの移転は正規雇用者30人以上
・所有型の場合は最低投資額1億円以上、大企業は5億円以上
・移転対象施設の延床面積150㎡以上、大企業は300㎡以上
・愛知県・岐阜県・三重県に本社を構える企業は対象外
※ほか複数条件あり

最新情報はこちらでご確認ください。
名古屋市:本市に本社・研究所等を開設される企業の方への補助

問い合わせ先:名古屋市経済局イノベーション推進部産業立地交流室産業立地交流係

tel:052-972-2423
fax:052-972-4135
mail:a2423@keizai.city.nagoya.lg.jp

名古屋市フラグシップ企業強化促進補助金

補助金情報

  • 対象企業:50年以上名古屋市内に本社を構える企業
  • 補助限度額:中小企業10億円、大企業5億円
  • 対象内容:建物や機械設備の取得費、新製品の開発費
  • 申請期限:工事着工日の30日前まで
  • 必要書類:工事の見積書・設計図面・会社パンフレット・事業計画書など

2つ目は、名古屋市フラグシップ企業強化促進補助金です。50年以上名古屋市に拠点を置く企業が対象で、オフィス等の新設・増設にかかる費用を補助します。

補助の対象は建物の取得費や設備の導入費で、最大補助率20%、最高限度額10億円の補助が出ます。オフィスの新設では企業形態にかかわらず最大20%の補助が受けられます。工事等の発注が名古屋市内の企業かどうかで補助率が変わる点には注意が必要です。

一方、投資規模は最低1億円以上、正規雇用者人数は25人以上とこちらも条件が複雑です。また法人になってから50年以上経過した企業が対象のため、創業年と法人成り年を確認しておくとよいでしょう。「創業してからは50年、株式会社になってからは30年経つ」といった場合では対象外となりますので注意が必要です。

また、補助金を受けるには床面積の増床や正規雇用者の増員などの目的を達成する必要があります。オフィスを狭くしたい、ただ場所を変えたいというだけでは、対象外の可能性もあるので、市の担当者に相談してみましょう。

最後に、補助金の詳細を紹介します。

項目 要件等
名称 名古屋市フラグシップ企業強化促進補助金
採択実績 ・令和3年度 8件
対象企業 50年以上名古屋市内に本社を有する企業
対象施設 オフィス(本社機能)、工場、研究施設
※ただし、工場の場合は、市内の工業系用途地域に新増設すること
投資額及び雇用要件 1.中小企業の場合
・建物、機械設備に対する投資額の合計が1億円以上
・市内の本社、工場等で勤務する正規常時雇用者が25人以上であること

2.大企業の場合
・建物、機械設備に対する投資額の合計が25億円以上
・市内の本社、工場等で勤務する正規常時雇用者が100人以上であること

補助対象経費 建物、機械設備の取得に要する経費及び新製品開発費
補助率 1. 市内に本社を有する企業に発注する場合 

オフィス(本社機能)
・中小企業   20%以内
・大企業      20%以内

工場及び研究施設
・中小企業   20%以内
・大企業      15%以内 

2. 市外に本社を有する企業に発注する場合 

オフィス(本社機能)
・中小企業    10%以内
・大企業       10%以内

工場及び研究施設
・中小企業    10%以内
・大企業        5%以内

3.新製品開発費 20%以内

1企業あたりの補助限度額 ・中小企業:10億円
・大企業:5億円
受付時期 随時受付
※ただし申請は工事着工日の30日前まで。
その他 ・機械設備のみの取得は対象外
・総務、経理、商品企画開発、社内システム管理などの業務を行う部署の新増設が対象。営業部門の新増設は対象外

最新情報はこちらでご確認ください。
名古屋市:市内に50年以上本社を有する企業の方への補助

問い合わせ先:名古屋市経済局イノベーション推進部産業立地交流室産業立地交流係

tel:052-972-2423
fax:052-972-4135
mail:a2423@keizai.city.nagoya.lg.jp

名古屋市産業立地促進補助金

補助金情報

  • 対象企業:製造業・情報通信業の事業を営む中小企業
  • 補助限度額:10億円
  • 対象内容:建物の取得または建設・機械設備への投資
  • 申請期限:建物の売買契約締結日もしくは建築工事契約締結日の契約締結の前日まで
  • 必要書類:事業認定申請書・企業概要書・事業計画書・定款・損益計算書・貸借対照表など

3つ目は、名古屋市産業立地促進補助金です。新たに取得した建物や設備のうち、固定資産税・都市計画税分の金額を補助します。

産業立地促進補助金は、数年に渡り税相当額の補助が受けられ、オフィスや工場の開設では3年分、研究施設の開設では5年分となります。総額10億円まで補助が受けられるため、移転後の初期費用を大きく抑えられるでしょう。

一方、投資額の下限や合計額、新規雇用人数の定めなど、受給の条件は複雑です。土地の固定資産税・都市計画税は補助の対象外なので注意しましょう。
補助金の申請は年度ごとに必要です。また、納税後に受給できるため、早めに納税を済ませておくとよいでしょう。

最後に、補助金の詳細を紹介します。

項目 要件等
名称 名古屋市産業立地促進補助金
採択実績 ・令和3年度    2件
・令和2年度    4件
・令和元年度     5件
・平成30年度   14件
・平成29年度   10件
対象企業 1.中小企業(中小企業基本法で規定する。)で、製造業に分類される事業を主に営んでいる企業
2.情報通信業に分類される事業を主に営んでいる企業
  ※原則創業後3年以上の企業が対象。
対象となる場合 1.名古屋市内でオフィス、研究施設を新たに取得又は建築して事業を実施する場合
2.名古屋市内の工業系用途地域に新たに工場を取得又は建築(既存建物の建て替えを含む。)して事業を実施する場合(ただし、中小企業で製造業に分類される事業を主に営んでいること
面積、投資額及び雇用要件 中小企業の場合
・建物、機械設備に対する投資額の合計が5,000万円以上

大企業の場合
・建物、機械設備に対する投資額の合計が10億円以上 かつ 新規常時雇用者が5人以上であること

補助対象経費 新たに取得した建物、機械設備にかかる固定資産税・都市計画税相当額
補助金額 オフィス・工場: 3年間分
研究施設:5年間分
※毎年度4月に補助金の交付申請が必要
補助限度額 総額10億円
受付時期 随時受付。

ただし、以下の日までに事業計画の認定申請が必要
・建物取得:建物の売買契約締結日の前日まで
・建物建築:建築工事契約の締結日の前日まで

その他 ・土地の固定資産税・都市計画税は補助対象外
・設備投資のみの取得は対象外
・創業後3年未満の企業は対象外

最新情報はこちらでご確認ください。
名古屋市:オフィス・工場等を新増設する企業の方への補助

問い合わせ先:名古屋市経済局イノベーション推進部産業立地交流室産業立地交流係

tel:052-972-2423
fax:052-972-4135
mail:a2423@keizai.city.nagoya.lg.jp

商工団体の補助金

続いては、商工関係団体で受付ている補助金を2つ紹介します。全国から多くの申請が寄せられると想定されるため、要件や申請期限などをしっかり確認しておきましょう。
また、補助金は電子申請での受付であることを覚えておきましょう。

ものづくり補助金

  • 補助金詳細
  • 対象企業:中小企業・小規模事業者
  • 補助限度額:750万円〜3000万円
  • 対象内容:設備投資費・運搬費・外注費など
  • 申請期限:公募要領による
  • 必要書類:事業計画書・決算書・従業員名簿など

1つ目はものづくり補助金です。中小企業庁が打ち出している補助金で、革新的なサービスや生産性向上の取組みに対して補助をします。2022年にラインナップの見直しが実施され、「通常枠」「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「グリーン枠」「デジタル枠」「グローバル展開型」の5種類に変更されています。

ものづくり補助金は、生産性向上のためのオフィス移転も補助対象の可能性があります。賃上げや営業利益等の上昇など生産性が上がることを示せるように、、移転に伴う事業計画が重要です。

DXや環境配慮など、先進的な取組みになるほど補助金額は上がりますが、条件はより狭く複雑になり、緻密な事業計画が必要となります。また、対象となる業種は幅広いですが、資本金や常勤従業員数の下限があり、この条件を満たす必要があります。

補助金の概要や詳細は、こちらの公募要領をご覧ください。
ものづくり補助金総合サイト

問い合わせ先:ものづくり補助金事務局サポートセンター

tel:050-8880-4053

小規模事業者持続化補助金

補助金情報

  • 対象企業:小規模事業者(業種により従業員数の上限あり)
  • 補助限度額:50万円〜200万円(補助率は2/3または3/4)
  • 対象内容:設備投資費・外注費・広報費など
  • 申請期限:公募期間による
  • 必要書類:経営計画書兼補助事業計画書・補助事業計画書・事業支援計画書(商工会または商工会議所が発行)など

2つ目は小規模事業者持続化補助金です。日本商工会議所で受付ている補助金で、規模の小さな事業者の設備投資や生産性向上の取組みに対して補助をします。

オフィス移転の場合は、外注費や広報費が対象になり得ます。補助率は6割以上となっており、費用を大きく抑えられるでしょう。賃上げや雇用拡大を実施すれば、最大200万円まで上限を引き上げられます。

提出書類の中には商工会議所で作成するものがあるため、補助金について不明な点は、商工会議所に相談するとよいでしょう。また、経営計画書の作成が必須となっているため、利用を検討する際は綿密な計画を立てることが大切です。

補助金の概要や詳細は、こちらの公募要領をご覧ください。
小規模事業者持続化補助金HP

問い合わせ先:小規模事業者持続化補助金事務局

電話番号 03-6632-1502

補助金を受け取るメリット

オフィス移転の際に補助金を受け取ることで、どういった利点があるでしょうか?メリットを2つ紹介します。

移転費用を抑えられる

移転費用の一部を補助金で賄うことで、コスト負担を減らせます。浮いた費用は初期費用への備えや新たな設備への投資に活用すれば、より快適なオフィス利用が可能です。

事業の価値が上がる

補助金の採択は厳しい審査を通過する必要があります。補助金の交付が認められれば、周囲は移転事業の質や企業の将来性が評価されたと認識し、事業自体に大きな関心や信頼が寄せられます。事業展開や採用にも影響が及ぶため、補助金の受給は大きなメリットと言えます。

補助金を受け取る際の注意点

補助金を受け取るデメリットはあまりありませんが、注意点は存在します。気をつけたい2つのポイントを紹介します。

確実に受け取れる保証がない

補助金は、国が政策推進のために予算を確保した上で申請を受け付けています。受給要件を満たし、審査基準に合致すると判断されなければ、採択に至りません。申請しても確実に受け取れるものでは無いため、補助金ありきで事業構想を練るのは危険です。
まずは事業計画をしっかりと立て、補助金を受けるための要件をしっかりと確認した上で申請しましょう。

受け取りに時間がかかる

補助金は、事業完了後に最終審査を通過し、初めて受け取れるものです。審査に時間がかかれば受け取るタイミングも遅れるので、費用の精算に間に合わない可能性もあります。補助金を受け取れる時期と費用を精算する時期を把握し、スムーズに資金繰りができるよう備えておきましょう。融資などで手元にある程度資金を用意しておくと安心です。

オフィス移転の費用を抑えるには

オフィスの移転は企業にとっては一大イベントで、多額の出費を伴います。少しでも支出を抑えられるよう、自治体や政府が用意する補助金を上手に活用してください。該当しそうな支援メニューがあれば、補助金の窓口や専門家に積極的に相談してみるとよいでしょう。

補助金は事業コストの抑制に大きな効果をもたらしますが、オフィスの移転には引越し費用や不動産の契約費用など、ほかにも多くの費用がかかります。オフィス移転にかかる費用を少しでも抑えたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。

まとめ

ここまで、名古屋市でのオフィス移転で使える補助金を紹介してきました。それぞれの補助金の詳細については、こちらからご確認いただけます。

オフィッコスでは、オフィスを移転する際のお悩みやご相談を受け付けております。物件情報や手続き、費用についてなど、お気軽にご相談ください。

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