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オフィス移転のポイント

2022.11.03

オフィス移転の費用はいくらかかる?算出の注意点や節約術も紹介

オフィス移転の費用はいくらかかる?算出の注意点や節約術も紹介

新しい働き方が普及したことで、オフィス移転を検討する企業が増えています。その際、気になるのが費用です。

オフィス移転には、住居の引越しとは比較にならないほど多くの費用がかかります。加えて、移転は頻繁に実施するものではないため、どの程度の費用が発生するのか、イメージを掴みにくい方も多いでしょう。

今回は、オフィス移転にかかる費用の目安と、算出時の注意点や節約術について紹介します。最後まで記事を読んで、オフィス移転のための予算計画にお役立てください。

オフィス移転にかかる費用の目安

オフィス移転の費用は面積や社員数により異なるため、会社の規模や従業員数を基準にした目安金額を参考にするとよいでしょう。

次の表は、オフィス移転にかかる費用のうち、5つについて目安をまとめたものです。

費目 費用の目安
引っ越し費用(運搬費) 従業員1人当たり3万円
不用品・廃棄物処理費 ・2トン車:7〜8万円
・4トン車:12〜15万円※リサイクル業者であれば、査定内容により買い取ってくれる場合あり
原状回復費用 ・〜100坪:1坪当たり2万円〜5万円
・100坪以上:1坪当たり5万円〜10万円
工事費用 業者により異なるが、機能性やデザイン性の高いオフィスを目指すと1坪10万円以上の可能性あり
入居費用 ・敷金(保証金):家賃の10〜12ヶ月分
・仲介手数料:家賃の1ヶ月分
・火災保険料:2〜3万円

オフィスの移転では、このほかにも複数の費用がかかります。小規模の企業だとしても2,500万円以上の費用がかかると言われています。オフィス面積や従業員数に応じて、多めに見積もっておくとよいでしょう。

オフィスの移転費用の内訳

オフィスの移転費用は、上記の表で紹介したもの以外にも多数あります。また、勘定科目が多岐にわたるため会計処理の混乱を招きがちです。退去から入居までの間にどういった費用がかかるのかや、会計処理のポイントをチェックしましょう。

退去するときの費用

退去時の費用として考えられるのは、以下の4つです。

  • 不用品・廃棄物処理費
  • 引っ越し費用(運搬費)
  • 原状回復費用
  • 諸経費

退去時の費用は「オフィスを借りる前の状態に戻す」ためのものがメインです。それぞれの費用について解説します。

不用品・廃棄物処理費

1つ目は不用品の処分や廃棄するための費用です。

オフィス移転の際には、使うものと不用なものとに選別する作業が必要です。使うものは新オフィスへ運び、不用なものは処分します。

オフィスの移転ともなれば想定以上の不用品が出てくる場合もあります。物品を処分する費用も頭に入れておきましょう。また、個人情報や機密書類は、取り扱いに注意が必要です。

費用は業者によって異なるため、複数の業者に問い合わせるとよいでしょう。

引っ越し費用(運搬費)

2つ目は引っ越し費用(運搬費)です。
オフィス移転には、引っ越し費用が必ずかかります。先ほど紹介した目安をもとに、引っ越し費用を算出してみましょう。

引っ越し費用は、階段や通路の幅、エレベーターの有無、クレーン作業の有無などで変動します。また、繁忙期と言われる2〜4月には料金が上がる傾向です。

現オフィスの契約期間や会社のイベントスケジュールなどと照らし合わせ、最適なタイミングで移転ができるように業者と調整しておくとよいですね。

なお、内製で引っ越し作業を済ませるのは、物品破損や新オフィスの損傷などのリスクが懸念されます。作業を効率的に終わらせ、新オフィスでスムーズに業務を開始するためにも、プロの業者へ依頼するのがおすすめです。

原状回復費

3つ目は原状回復費です。

原状回復費は、オフィスの引き渡しの際に必ずかかる費用です。原状回復とは、物件を入居時点の状態に戻すことを指し、借主の義務として民法で定められています。
必要に応じて、入居時に締結した契約書の確認や貸主との相談も実施し、スムーズな引き渡しができるように準備しておきましょう。

なお、居抜きでの退去をする場合は、原状回復費を抑えられます。ただし、貸主との交渉や新たな借主探しなどの手続きが増え、スケジュールがタイトになることが想定されるため、注意しましょう。

諸経費

そのほかにかかる経費としては、以下のようなものがあります。

  • 現オフィスの契約満了までの費用(賃料・保険料など)
  • 住所変更にともなう封筒・パンフレットなどの修正費用
  • 取引先へのお知らせ文書の作成費用
  • 移転にかかる広告費(新聞広告等での告知が必要な場合)

現オフィスは契約が終わるまで費用がかかります。一時的に現オフィスと新オフィス両方の賃料を負担することになるため、忘れずに計上しておきましょう。

また、住所が変わると印刷物の差替えが必要です。特に、名刺や封筒などは量が多く費用がかさみがちなので、注意しましょう。

さらに、取引先へのお知らせや移転広告の掲載料がかかることも想定されます。事務手続きも増えるため、費用と作業量を照らし合わせて検討しましょう。

入居するときの費用

入居時は、工事費用や物品購入などの移転先への準備費用がメインです。主に次の5つとなります。それぞれの費用について解説します。

  • 不動産の契約費
  • 内装工事費
  • 什器購入費
  • ネットワーク工事費
  • 諸経費
不動産の契約費

1つ目は不動産の契約費です。次の4つが該当します。

  • 敷金
  • 礼金
  • 仲介手数料
  • 火災保険料

先述の費用の目安のとおり、敷金・保証金はそれぞれ家賃の10〜12ヶ月分、仲介手数料で家賃の1ヶ月分の賃料がかかり、さらに火災保険へ加入することで、火災保険料が上乗せされます。

内装工事費

2つ目は内装工事費です。

該当するのは、壁・床・間仕切りなどの工事や、内装の設計費用などです。実現したいレイアウトやデザインによって大きく費用が変動するため、工事業者へ綿密に相談しておきましょう。

オフィスの内装は、企業コンセプトを体現したり、従業員のモチベーションや人材採用にも大きな影響を及ぼしたりするなど、重要な役割を担います。移転の目的や企業の将来像と重ね合わせながら、オフィスデザインを作成したいですね。

ただし、デザインにこだわるほど費用はかさみ、1坪当たり10万円を超えてしまうこともあり得るため、予算に合わせて調整しましょう。

什器購入費

3つ目は什器購入費です。

移転に併せてオフィス家具の新調を考える方も多いでしょう。オフィスのコンセプトに沿った什器を購入すると、一体感のある内装になります。また、快適なオフィス環境は生産性向上につながります。従業員のニーズを踏まえて什器を選ぶのも良いアイデアでしょう。

什器の価格は幅広く、種類や個数によって費用が大きく変わります。新たに導入するものや買い換えるものを洗い出し、予め費用を算出しておくとよいですね。

ネットワーク工事費

4つ目はネットワーク工事費です。

インターネットや電話などは、日々の業務で使う連絡手段であり、移設工事費はオフィス移転で必ずかかってきます。内装工事と併せて見積もりましょう。

移転とともに新サーバーを設置したり、セキュリティを強化したりする場合は、早くから業者へ相談をしておくとスムーズに進められるでしょう。

諸経費

そのほかにかかる経費としては、以下のようなものがあります。

  • 官公庁への書類作成費用
  • 通勤手当の金額変更

オフィスを移転すると、官公庁へ多くの書類を提出する必要があります。代表的な書類を一覧にまとめました。

提出書類 提出先
本店移転登記 法務局
異動届出書

給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出

税務署
事業開始等申告書 都道府県税事務所
健康保険・厚生年金保険適用事業所名称/所在地変更(訂正)届 年金事務所
労働保険名称/所在地等変更届 労働基準監督署
雇用保険事業主事業所各種変更届 公共職業安定所(ハローワーク)
防火対象物使用開始届出書 消防署

作成する書類が非常に多いため、行政書士などに依頼するケースがほとんどです。費用について問い合わせてみるとよいでしょう。

また、会社の住所変更により、従業員の通勤手当額も変更になる場合があります。労務担当者に、予め再計算を依頼しておくとスムーズです。

書類の提出は必須なので、関連して発生する費用は、確実に予算計上したいところです。

移転費用はどう会計処理する?

オフィス移転にかかる費用の内訳を説明してきましたが、各費目は以下の勘定科目で仕訳します。

  • 雑費(引越し費用)
  • 支払手数料(引越し費用)
  • 差入保証金(敷金)
  • 損害保険料(火災保険料)

費目が増えれば仕訳の項目も増えるので、随時経理担当の社員と相談しておくと円滑な処理につながります。

オフィスの移転費用を概算シミュレーションしよう

オフィス移転は退去と入居の2つの行為を同時に実施するため、大きな費用となり概要が掴みにくくなりがちです。移転でどれくらいの費用がかかるのか、概算で把握しておくと良いでしょう。

今回は以下の条件でシミュレーションします。

費目 想定単価 計算式
引越し費用 1人当たり3万円 引越し費用=従業員数×3万円
内装工事費 1坪当たり10万円 内装工事費=坪数×10万円
設備工事費 1坪当たり20万円 設備工事費=坪数×20万円
ネットワーク工事費 1坪当たり10万円 ネットワーク工事費
=坪数×10万円
什器購入費 1人当たり10万円 什器購入費
=社員数×10万円
原状回復費 1坪当たり5万円 原状回復費=坪数×5万円
不用品・廃棄物処理費 ・2トン車:7〜8万円
・4トン車:12〜15万円
不用品・廃棄物処理費
=15万円

これらの数字を使って、3つの規模の会社で概算費用を算出してみましょう。なお、オフィス面積の目安については、こちらをご覧ください。
<関連記事>
一人当たりのオフィス面積の適正値は?リモートワーク下の算出方法も紹介

50坪・社員10人の場合

まずは小規模の会社を例にシミュレーションします。

費目 計算式 想定費用
引越し費用 引越し費用=10人×3万円 30万円
内装工事費 内装工事費=50坪×10万円 500万円
設備工事費 設備工事費=50坪×20万円 1,000万円
ネットワーク工事費 ネットワーク工事費
=50坪×10万円
500万円
什器購入費 什器購入費
=10人×10万円
100万円
原状回復費 原状回復費=50坪×5万円 250万円
不用品・廃棄物処理費 不用品・廃棄物処理費
=2トン車:7万円
7万円
合計 2,387万円

合計は2,387万円となりました。これらに加えて新オフィスの契約費や諸経費がかかるため、規模の小さな会社では2,500万円程度の費用が想定されます。

100坪・社員30人の場合

続いて、中規模の会社を例にシミュレーションします。

費目 計算式 想定費用
引越し費用 引越し費用=30人×3万円 90万円
内装工事費 内装工事費=100坪×10万円 1,000万円
設備工事費 設備工事費=100坪×20万円 2,000万円
ネットワーク工事費 ネットワーク工事費
=100坪×10万円
1,000万円
什器購入費 什器購入費
=30人×10万円
300万円
原状回復費 原状回復費=100坪×5万円 500万円
不用品・廃棄物処理費 不用品・廃棄物処理費
=4トン車:15万円
15万円
合計 4,905万円

合計は4,905万円でした。新オフィスの契約費などを含めると、中規模の会社では5,000万円程度の金額が想定されます。

200坪・社員80人の場合

最後に大規模の会社を例にシミュレーションします。

費目 計算式 想定費用
引越し費用 引越し費用=80人×3万円 240万円
内装工事費 内装工事費=200坪×10万円 2,000万円
設備工事費 設備工事費=200坪×20万円 4,000万円
ネットワーク工事費 ネットワーク工事費
=200坪×10万円
2,000万円
什器購入費 什器購入費
=80人×10万円
800万円
原状回復費 原状回復費=200坪×5万円 1,000万円
不用品・廃棄物処理費 不用品・廃棄物処理費
=4トン車:15万円
15万円
合計 1億55万円

結果は1億55万円でした。そのほかの費用を含めても、大規模の会社では1億円以上かかることが想定されます。

オフィス移転の費用を抑えるには?

オフィス移転の費用を概算で算出しましたが、想像以上のコストに驚いた方も多いのではないでしょうか。できることなら少しでも費用を抑えたいですよね。

ここからは、移転費用を抑えるための5つのポイントを紹介します。移転案に取り入れてコストダウンを図りましょう。

オフィス家具を流用する

現在使っている家具を新オフィスでも引き続き使用すれば、什器購入費を抑えられます。レイアウトとのバランスや耐用年数を確認し、継続して使えるものは積極的に使用するとよいでしょう。移転前の家具を使用することは、執務環境の変化によるストレスを軽減する効果もあります。

契約する不動産をダウングレードする

面積を拡張する場合や、人気の物件へ移転する場合は、契約費が高くなりがちです。現在よりも狭いオフィスで問題ない場合や、立地条件で妥協できる点がある場合は、契約する不動産のグレードを下げることで敷金や仲介手数料を抑えられます。また、賃料も安くなるため月々のランニングコストも圧縮できます。

予算と相談しながら、物件選びの条件見直しも検討してみましょう。

居抜きオフィス・レンタルオフィスを活用する

居抜きオフィスは、前の借主の内装を引き継いで使用するため、細かな修繕が必要になる場合もありますが、内装や設備の工事費用を大きく抑えられます。

居抜きオフィスを希望する際は、入居後にトラブルに巻き込まれないように、前の借主や不動産オーナーに相談して合意を取るようにしましょう。

また、レンタルオフィスを使う手もあります。レンタルオフィスは、デスク・チェア・インターネット回線など、オフィス設備が予め用意されているため、工事費に加え什器購入費も抑えられます。

レンタルオフィスを検討する際は、料金や利用ルールなどを貸主と十分に相談しましょう。

フリーレントの交渉をする

フリーレントとは、一定の期間家賃が無料になる契約形態です。一般的には1ヶ月無料が多いようですが、物件によっては半月や3ヶ月の場合もあります。新オフィス稼働直後は移転前のオフィスの賃料も負担するため、フリーレントについて貸主へ相談してみるとよいでしょう。

ただし、共益費や管理費などは負担となる可能性もあるので注意が必要です。また、無理な交渉は貸主の心証を悪くするため控えましょう。不景気や空室率が上昇した市況下では融通が利きやすくなるため、不動産市場の動向も抑えておくとよいですね。

複数業者を比較した上で慎重に選定する

オフィス移転の費用は業者によって異なります。不動産の契約費・工事費・什器購入費などは複数の業者に見積もりを依頼して比較しましょう。サービス内容も併せて調査し、不明な点は各業者へ質問しておくとよいですね。移転手続きを安心して任せられる会社を選ぶことが大切です。

また、ワンストップで対応してくれる業者を選ぶと、作業の漏れが防げたり、相談先が一ヶ所で済んだりと効率的です。また、移転にかかるトータルの費用で見積もりを算出するため、全体費用からの値下げ交渉もしやすいでしょう。

業者ごとの特徴を把握し、見積もりを取得した上で、信頼できる会社に移転作業を依頼しましょう。

まとめ

ここまで、オフィス移転の費用の目安・内訳・概算費用・コストを抑えるポイントについて紹介しました。オフィス移転には多くのタスクが発生しますが、移転する目的や移転で実現したい目標などを明確にしておくことで、スムーズに進められます。

オフィッコスでは、オフィス移転をご検討中の企業様におけるお悩みやご希望を丁寧にお聞きし、満足度の高い物件をご提案いたします。また、物件の内覧や契約のサポート、工事業者の紹介など、移転に伴うプロセスをワンストップでお受けいたします。

オフィス移転をご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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