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オフィス移転のポイント

2022.10.05

本社の地方移転のメリット・デメリットは?注意点やリスクも解説

近年、リモートワークやワーケーションなどの浸透で、オフィスの環境は大幅に変わりました。
都心部にオフィスを構える意味が薄れたと感じ、本社の地方移転を考えている経営者さんもいらっしゃると思います。しかし移転は、経営者だけの問題ではありません。従業員も含めた、会社全体の問題なので慎重に判断する必要があります。

そこで今回は、本社移転のメリット・デメリットについてまとめました。
また、記事の最後には、助成金なども紹介していますので、ぜひ、最後までご覧ください。

 

本社の地方移転が増えている?!

本社の地方移転が増えている?!

地方移転の動きがスタートしたのは、2014年の安倍政権。政府は「地方創生」を掲げ、首都圏への一極集中を打破すべく、様々な施策を打ち出しました。
さらに新型コロナウイルス感染症の影響もあり、近年、地方への移転は注目を浴びています。

最大2億円サポートも!政府や自治体の後押し

2014年から始まった地方移転の施策ですが、2017年からの「地方拠点強化税制」は多くの企業の背中を押しました。これは、東京から地方への移転を決めた企業が特別な税金の控除を受けられるもの。首都圏に本社がなくても問題ないと判断した企業が、続々と地方への移転を決めました。

また、各道府県も、企業を誘致すべくオリジナルの施策を行っています。
例えば広島県で、ITベンチャーやスタートアップ企業を対象に、引っ越しに伴う初期費用を最大で2億円補助する「ずっと広島県」という施策を展開して話題を集めました。

コロナ禍での本社移転も増加

首都圏・本社移転動向調査(2021年)

(出典)帝国バンク:首都圏・本社移転動向調査(2021年)

地方移転の増加には、やはり新型コロナウイルス感染症が大きく影響しています。
実際2021年は、2010年以来11年ぶりの転出超過(地方から首都圏へ移転する企業よりも、首都圏から地方に移転する企業の数が多くなる現象)となっています。

ただ、企業が移転を決める理由としては、ポジティブな理由だけでなくネガティブな理由もあります。

<前向きな理由>

  • リモートワークが普及し、働く場所に囚われる必要がなくなった
  • オンライン会議が普及し、クライアントの物理的距離が問題ではなくなった

<後ろ向きな理由>

  • 業績悪化により、固定費を削減する必要ができた
  • 首都圏一極集中のリスクがあらわになった

人気の移転先は?

首都圏・本社移転動向調査(2021年)

(出典)帝国バンク:首都圏・本社移転動向調査(2021年)

2021年に本社移転を行った企業は、全国で2258社。このうち、首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)から地方へ移転した企業は 351 社でした。転出先としてもっとも多いのは大阪ですが、増加数としては北海道が大幅増。中国、四国地方も増加が顕著です。
北海道は本社機能や研究施設の受け皿として以前より注目を集めていましたが、リモートワークの普及で人口密度の低い、遠隔地の中核都市が台頭してきていることがわかります。

(出典)帝国バンク:首都圏・本社移転動向調査(2021年)

地方移転のメリット

リモートワークの普及が大きな後押しとなっているのは間違いありませんが、もとより、地方移転にはたくさんのメリットがあります。

固定費のコストパフォーマンスが良くなる

首都圏に比べて土地代が安い地方では、オフィスの賃料やパーキング代の相場も低いです。同じ広さのオフィスを安く借りられる、あるいは同じ賃料でもっと快適なオフィスを借りられることになるので、固定費のコストパフォーマンスが上がります。パーキング代も安いので、希望者が車通勤できるようになるかもしれません。
人件費も安いことがあるので、移転先での採用もしやすいでしょう。

政府や自治体の助成金が受けられる

先述した地方移転強化税制や「ずっと広島県」のように、手厚い助成が受けられることもメリット。首都圏内で移転するよりも安価に快適なオフィスを手に入れられます。
お試し移住やワーケーション体験を募集している自治体もあるので、それらを利用すれば下見の費用も抑えられます。

多様な働き方のきっかけになる

近年、急速に浸透したリモートワークですが、移転はそんな多様な働き方をさらに、普及させるきっかけになります。
例えば、「会社としては地方移転したいが、優秀な社員がどうしても引っ越せない」といった場合。引き続き就業してもらうためには、フルリモートを導入せざるを得ません。

また、自然豊かな地域に移転した場合は、「早朝にサーフィンしてから仕事」「夜は星空観察」といった生活スタイルも可能。子育てにおいてもメリットが多く、地方移転は各人の価値観に合わせたワークライフバランスを追求しやすい環境を作れます。

地方移転のデメリット

もちろん、デメリットも存在します。
引っ越しにかかる費用や、取引先へのお知らせなど、通常のオフィス移転時にかかる手間だけでなく、地方への移転だからこそ現れる特有のデメリットが存在しています。

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優秀な社員が退職する可能性がある

優秀な社員が退職する可能性がある

職種によっては、どうしても本社への通勤が必要な場合もあります。そうなると当然、「リモートワークできないなら辞める」と考える人が一定数出てきます。リモートワークを認めたとしても、リモートワークも嫌だという人もいるでしょう。
優秀な人であるほど転職しやすいこともあり、優秀な人ほど退職してしまうリスクは上がります。

取引先との対面の打ち合わせがしづらくなる

コロナ禍でオンラインミーティングが増えたとはいえ、対面での打ち合わせが完全になくなったわけではありません。しかし地方に移転すると、「以前は取引先のオフィスまで1時間もかからず到着していたが、移転先からは5時間もかかってしまう」
といったことが頻繁に起こり得ます。新幹線や飛行機を使う場合は交通費や宿泊費もかさむでしょう。
すぐに駆け付けられることを重視する取引先の場合、関係の継続が難しくなるかもしれません。

求人に弱くなる可能性がある

地方は、人や大学の数が首都圏と比較すると少ないです。仕事を探している人の母数が減るため、従来通りの方法では採用がうまくいかなくなる可能性があります。
フルリモート可として全国から求人する、地元本社の企業であることをアピールするなど、工夫が必要です。

サービスや流通網が整備されていないことがある

首都圏であれば、サービスや流通網は快適そのものです。しかし、地方ではそれらが整備されていないこともあります。
例えば急きょ備品の購入が必要になった場合。大都市圏なら夜中まで開いている大型店舗もありますし、通販も最短当日に到着します。必要な機器が故障しても、すぐに修理に来てくれるでしょう。しかし地方では、2~3日かかる場合もあり、業務が止まってしまう恐れもあります。

地方移転先の選び方

地方移転において、最大のポイントはどこに移転するかです。
ここで、2021年の地方移転先とその移転数をいくつか紹介します。

元の本社所在地へのアクセス

地方に移転したとしても、元の本社近くのお客様との関係が終わるわけではありません。離れる分、より手厚い体制を整えなければなりません。
それを踏まえると、いざとなったらすぐに駆け付けられることも重要。遠くても、新幹線の駅や空港へのアクセスが良い場所なら安心です。

サービス・流通網の整備状況

先述しましたが、場所によっては、サービス・流通網が首都圏のように快適に利用できない可能性があります。大都市圏でない場合、ITインフラや、郵便物など、業務上必要不可欠なことに支障が出ないかどうかを確実に検証する必要があります。
ネットが繋がりにくいほどの田舎や、郵便物や宅配便の到着に2日以上かかるような場合は、避ける方がベターです。

地方移転で使える助成金

自治体によってさまざまな施策がありますので、一例をご紹介します。
募集が終了したり、新たに始まったりすることも多いので、最新情報は各県の公式サイトでご確認ください。

対象地域 助成金名 最大助成額
茨城県 本社機能移転強化促進補助 50億円
愛知県名古屋市 本社機能等立地促進補助金 10億円
岐阜県 岐阜県本社機能移転促進事業補助金 5億円
長野県 本社等移転促進助成金 3億円
広島県 広島県企業立地促進助成制度 合計1億円
北海道札幌市 本社機能移転促進補助金 6000万円

本社の地方移転は従業員とのコミュニケーションが重要

会社の地方移転は、社員全員の人生にかかわることです。
会社が存続できるのは社員のおかげという意識を持ち、日頃から社員の声にしっかり耳を傾けて信頼関係を築いておかないと、移転計画は成功しません。
全員の意見を取り入れるのは難しいかもしれませんが、会社として最善の選択になるよう、社内でコミュニケーションを取っていきましょう。

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