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賃貸オフィス・賃貸事務所は耐震診断記録を確認しましょう
地震の多い日本では、建物が十分な耐震性能を備えているかどうかが非常に重要です。賃貸オフィスを借りる時も、耐震性能を必ず確認しなければなりません。そのためにチェックしておきたいのが、建物の耐震診断記録です。ここでは、賃貸オフィス・賃貸事務所の耐震診断記録の確認方法や、見る時のポイントをご紹介します。
【目次】
1.耐震診断記録の内容は、重要事項説明に含まれる
2.耐震診断記録では「Is値」に注目
3.耐震診断記録がない場合はどうすればいい?
4.今回のまとめ
耐震診断記録の内容は、重要事項説明に含まれる
耐震診断とは、文字通り建物の耐震性能を調査・診断することです。建物の賃貸借契約を結ぶ場合、契約に関する重要事項を説明する「重要事項説明」において、耐震診断記録の有無および内容について説明しなければならないことになっています。重要事項説明の中でも特に大切な項目ですから、賃借人はしっかりと聞いておくのが望ましいでしょう。
ただし、すべての建物に説明の義務が生じるわけではありません。耐震診断記録について説明しなければならないのは、いわゆる旧耐震基準に基づいて建てられた物件のみです。新耐震基準が施行されたのは1981年6月1日からですが、建築確認済証の交付年月日が1981年3月31日以前の建物は、旧耐震基準に基づいています。日付がこれ以降の物件なら、説明の義務はないわけです。
では、新旧の耐震基準は何が違うのでしょうか?まず旧耐震基準は、「震度5強程度の地震では倒壊・崩壊しない性能」を求めています。しかし、震度6~7の地震に耐えることは想定していません。一方、新耐震基準では「震度6~7程度の地震でも倒壊・崩壊せず、震度5強程度の地震ではほとんど損傷しない性能」を求めています。新耐震基準を満たす建物は、十分な耐震性能があるといっていいでしょう。
耐震診断記録では「Is値」に注目
契約したい物件が新耐震基準に基づいているなら、ひとまず安心といえます。では、旧耐震基準に基づいており、耐震診断記録が残っている場合は、その耐震性能をどのように評価すればいいのでしょうか。
まず、耐震診断には第1次診断・第2次診断・第3次診断の3種類があります。賃貸物件や公共建築物の耐震診断では、比較的詳細に調べる第2次診断を行うのが基本です。そして診断の結果、構造耐震指標である「Is値」が算出されます。Is値が0.6以上であれば、震度6~7程度の地震でも倒壊・崩壊する可能性が低く、十分に耐えることが可能です。つまり、新耐震基準と同等の耐震性能を備えていると見なされます。
重要事項説明では、物件のIs値について詳しく聞いてみるといいでしょう。
耐震診断記録がない場合はどうすればいい?
最後に、物件が旧耐震基準で建てられているものの、耐震診断記録がない場合について考えてみましょう。このような物件でも、実際は新耐震基準並みの耐震性能を備えている可能性はあります。しかし、耐震診断の記録がない以上、詳しい性能はわかりません。
ここで注意しなければならないのは、不動産会社には耐震診断を行う義務はないということです。賃借人への義務は、あくまでも「耐震診断記録があった場合に説明すること」でしかありません。耐震診断記録の説明が、調査記録無しの場合、耐震性の問題が無いということではありません。
このような点もふまえ、十分に検討してください。
今回のまとめ
あの東日本大震災から、2021年3月11日で10年が経ちます。震災の記憶の風化が叫ばれる中、私たちは今一度地震への備えを強化しなければなりません。従業員の安全を守るためにも、十分な耐震性能を備えた賃貸オフィスの確保は必須です。重要事項説明を受ける時は、耐震診断の説明によく耳を傾けておきましょう。