COLUMN
お役立ち情報
オフィス・事務所をフリーアドレスで設計するメリット・デメリット
働き方改革が進む昨今では、オフィスでのワークスタイルも変わりつつあります。従来では当たり前だったことを、根本的に見直そうとする企業も現れ始めました。そんな中で登場してきたのが、固定されたデスクを持たない「フリーアドレス」というスタイルです。今回は、フリーアドレスのメリット・デメリットを解説します。
【目次】
1.フリーアドレスは、従業員が自由な席につくスタイル
2.フリーアドレスはスペースコストが削減でき、交流も活発化
3.報連相の混乱や集中力の低下に注意
4.今回のまとめ
フリーアドレスは、従業員が自由な席につくスタイル
フリーアドレスとは、社員1人1人が固定のデスクを持たず、自由な席につくスタイルをいいます。多くの場合、長机と椅子が設置されていて、どこでも使うことが可能です。図書館をイメージするとわかりやすいでしょう。
その性質上、デスクトップパソコンは設置しにくいため、仕事のツールはノートパソコンやタブレットなどのモバイルを使用します。書類や資料は個人用のキャビネットやロッカーにしまい、文房具も同じようにするか、共用のものを置くのが基本です。もちろん、Wi-Fiの整備は必須。各種ツールの購入も含め、導入時にはある程度環境を整える必要があります。
フリーアドレスはスペースコストが削減でき、交流も活発化
フリーアドレスは、スペースコストを削減できるのが大きなメリットです。全員が共用の机を使用するため、個人用の固定されたデスクを用意する場合に比べて、狭い面積でも仕事ができます。むしろ、全員が常駐しているわけではないことを考慮し、あえて全員分の椅子を用意しないことが多いほどです。この方法なら、オフィスが小さくても多くの従業員が働けます。
また、コミュニケーションの活発化も重要なメリットです。フリーアドレスでは毎回違う席に座るので、必然的にさまざまな社員と交流する機会が生まれます。部署を超えた連携も可能になるため、問題の解決速度がアップしたり、密かに抱えていた悩みが解消されたり、新たな発想が生まれたりすることもあるでしょう。
さらに、出社してすぐ「今日はどの席で何の作業をするか」を考えるので、積極性や主体性が身につきます。「今日はあの案件を片付けたいから、企画部のAさんの横にいた方がいいな」「1人で資料をまとめるから離れて座ろう」といった思考が可能になるのです。従業員の意識改革によって、生産性の向上も見込めるでしょう。
そして、実は社内の環境美化につながるというメリットもあります。自分のものを出しっぱなしにしておけないので、片付ける癖がつくのです。無駄なものを持ち込まなくなる人も増える他、清掃の意識も芽生えます。ごく自然に「きれいなオフィス」が実現できるのは大きな魅力です。
報連相の混乱や集中力の低下に注意
フリーアドレスは「現代の優れたワークスタイル」のように語られることもありますが、実はデメリットも少なくありません。よく問題になるのは、誰がどこにいるのか把握しにくいということです。従業員数の多い会社だと、オフィスにいるのかどうかすら確認しにくいこともあります。
また、専用スペースがないがゆえに、集中力が低下してしまう人もいるでしょう。部署をまたいで交流できる一方、本来のチームとの関係の希薄化や、帰属心の低下を招くこともあります。上司とのコミュニケーションが減り、報連相に支障をきたすリスクさえあるのです。一歩間違えば、かえって生産性を低下させることになりかねません。
そして何よりの問題は、非常に形骸化しやすいことです。席は自由といいつつ、毎回同じ場所に座ったり、同じ人の横に陣取ったりする人は高確率で現れます。部下の姿が見えないことを嫌い、上司が「お前はここに座れ」と指定することすらあるのです。これではフリーアドレスにした意味がありません。そのため、座る場所は毎回くじ引きで決めたり、集中したい人向けの専用デスクを設けたりする必要があります。最初は会社全体ではなく、グループやチームごとにフリーアドレスにしてもいいでしょう。
もちろん、業種や職種によっても向き不向きがあります。営業部などの在席率が低い部署では導入しやすく、事務職などの席から離れない部署ではメリットが活かしにくいのです。どこにいても連絡がつくよう、新たな報連相のシステムを構築するなどの工夫もいるでしょう。どうすればメリットを活かせるのか、十分に検討してみてください。
今回のまとめ
フリーアドレスのメリットを生かせるかどうかは工夫次第です。業種や職種によっては、従来のスタイルの方が向いている場合もあるでしょう。フリーアドレスを導入すること自体が目的になってしまわないよう注意し、時間をおいて評価を下すことが重要です。
働き方は組織の数だけありますから、自分たちに合ったスタイルを見つけていきましょう。