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償却費?フリーレント?オフィス賃貸契約に関する用語を解説
オフィスの賃貸契約を結ぶ際は、業者の説明でも契約書でも、様々な専門用語が飛び交います。法律に関する用語や普段聞き慣れない用語も多く、よく理解しないまま契約してしまう方もいるかもしれません。しかし、後々のトラブルを避けるためには、内容をしっかりと理解することが大切です。
ここでは、賃貸契約でよく使われる用語の意味を解説します。
お金に関する用語
最も多くの方が気にするのは、やはりお金に関する用語ではないでしょうか。賃貸契約においては、賃料以外にも様々なお金が発生します。何のためのお金なのかよくわからないまま払ってしまうことのないよう、意味をよく理解しておきましょう。
敷金(保証金)
オフィスを破損させたり、賃料を滞納した場合に備えて、契約時に支払うお金です。原状回復(詳しくは後述)にかかる費用も敷金から捻出され、残額は返金されます。オフィスの場合、相場は賃料の6~12ヶ月分ほどです。
礼金
文字通り、貸主に対するお礼として支払うお金です。相場は賃料の1~2ヶ月分ほどで、敷金と異なり戻ってくることはありません。ただ、礼金の文化は地域差が大きく、オフィスの場合は支払わなくて良い場合も多いと思われます。
共益費
エントランスや廊下、階段、エレベーター、水道管など、共用部分の維持管理に当てるお金です。金額は物件の規模や、テナントの入居状況によって異なります。
更新料
賃貸契約を更新する際に支払うお金です。「借主と貸主の信頼関係を確認するために支払うお金」という意味合いが強く、支払いが法律で決められているわけではありません。相場は賃料の1ヶ月分程度ですが、納得がいかなければ契約時にしっかり交渉しましょう。
違約金
契約違反があった場合に支払うお金です。オフィスの賃貸では、借主から中途解約を申し入れた場合に支払うよう、契約内容に盛り込んでいることが多いと思われます。
償却費
オフィスを退去する(解約する)際、返還される敷金から差し引かれるお金です。「後払いする礼金」のようなものと考えていいでしょう。相場は賃料の1~2ヶ月分、もしくは敷金の10%~20%程度です。なお、勘違いされがちですが、会計用語の「減価償却」とはまったく関係ありません。
契約の期間や解約に関する用語
せっかくオフィスを借りても、何らかの理由で移転しなければならなくなったり、貸主から退去を求められたりすることは珍しくありません。突然オフィスを出て行くことにならないよう、契約の期間や解約に関する用語も知っておきましょう。
フリーレント
入居後の一定期間、賃料を支払わなくても良いサービスのことです。期間は1~2ヶ月程度が目安で、入居工事や引越し作業の期間中がサービスとなることがあります。ただし、契約期間の途中で解約すれば違約金が発生してしまうこと、共益費は支払う必要があることなどに注意してください。また、引き合いの多い人気物件や、入居時期が先の場合はフリーレントが付かないことがほとんどです。
解約予告期間
賃貸契約を解約したい場合に、退去予定日から逆算して、貸主に解約の意思を通知しなければならない期間のことです。解約を申し入れたあと、実際に解約が成立するまでにかかる期間と言い換えてもいいでしょう。オフィスの場合は、3~6ヶ月前からの通知が必要であることが多いと思われます。
定期借家契約
文字通り、期間を明確に定めた賃貸契約のことです。通常の契約と異なり、延長することも中途解約することも原則としてできません。オフィスで定期借家契約を結ぶなら、本当に一定期間しか使わない場合に限るべきでしょう。ただし、物件によっては再契約や途中解約が認められることもあるので交渉してみましょう。
その他のわかりにくい用語
ここまで紹介したもの以外にも、賃貸契約には難しい用語がいくつも出てきます。主なものを確認しておきましょう。
重要事項説明(重説)
契約を結ぶ際、不動産会社が土地や建物について書面を交付して説明することです。項目は宅建業法によって定められており、宅地建物取引士が口頭で行う必要があります。なお、賃貸契約の場合、一定の条件を満たせばテレビ電話などで行うことも可能です。
善管注意義務
正確には「善良なる管理者の注意義務」といいます。建物の入居者は、その使用や維持管理において、一般的に期待される程度の注意をしなければならないという義務です。常識を守って使用する必要があり、それを破れば退去を求められたり損害賠償を請求されたりする可能性がある、と捉えていいでしょう。
原状回復
オフィスから退去する際、専有していた部分を借りる前の状態に戻すことをいいます。工事の費用は借主が負担するのが原則です。原状回復の範囲は契約内容次第なので、スムーズな退去のためにもしっかり確認しておきましょう。
今回のまとめ
賃貸契約をめぐるトラブルが発生した時、「そんなこと聞いていない」と主張する借主は少なくありません。しかし、契約書を確認してみると、確かに書いてあるということが多いのです。
専門用語の理解不足はトラブルにつながりやすいので、分からない用語があればすぐに確認し、十分理解した上で契約を進めてください。