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オフィス個室化のメリットや期待できる効果とは
オフィスに個室を設ける目的は、周囲の視線や物音を遮断し、集中して作業できるスペースを用意することにあります。個室化したオフィスは、広さのある通常のオフィスとは別の目的で使われることが少なくありません。
ここでは、オフィスに個室スペースを設けるメリットや、個室化の方法、注意点などを解説します。
1.賃貸オフィスのオフィス個室化は作業効率を向上させる
2.Web会議で活用できる
3.情報漏洩のリスクも軽減できる
4.オフィスを個室化する方法
5.用途に応じてスタイルを選ぶ
6.オフィスを個室化する際の注意点
7.今回のまとめ
賃貸オフィスのオフィス個室化は作業効率を向上させる
オフィスの一部に個室を設けると、周囲の音や視線を遮断して、より集中して作業に取り組めるようになります。
近年は、従来の島型のオフィス形態に代わり、自由に座席を移動できるフリーアドレスオフィスや、業務内容に合わせて場所を選択するABW型オフィスなど、様々な形態が採用されつつあります。こうした新しい形態のオフィスを導入すると、部署を超えた社内コミュニケーションの増加などのメリットがある一方、「集中して作業を行いたい時に適した環境がない」という課題があるのも事実です。
実際、一般社団法人日本オフィス家具協会の調査によれば、オフィスワーカーはオフィスのスペースやレイアウトに関して「個人業務を集中して効率よく行えるよう工夫されていること」を重視し始めているという結果が出ています。企業側も、集中して作業を行える個室スペースを設けたいと考えるケースが増えました。
アイデア出しや企画、資料作成、レポート作成など、一人で集中して作業したい状況は案外多いものです。フリーアドレスオフィスの社内に個室スペースを設ければ、その間、社員は電話や来客を気にせずそれぞれの作業に効率よく取り組めるようになります。
また、従来の島型のオフィス形態を導入している企業でも、社員が自席で集中力が途切れた際、個人スペースに移動することで気持ちを切り替えられるメリットがあります。その他にも、人材育成を目的として上司と部下が定期的に話し合う1on1ミーティングで個室スペースを利用すれば、部下のプライバシーに配慮しながら、より円滑なコミュニケーションを行える可能性があるでしょう。
Web会議で活用できる
インターネット環境とパソコンがあれば時間や場所を問わず顔を合わせられる点から、最近は取引先や顧客との打ち合わせ、商談をWeb会議で行うケースが増えています。また、Webセミナーへ参加する機会も増加しました。
しかし、いざオフィス内でWeb会議やWebセミナーに参加するための場所を探そうとしても、適切な場所はなかなか見つからないものです。毎回会議室を利用するわけにもいかず、かといって自席や共有スペースでは周囲の視線や騒音が気になります。また、自席や共有スペースでWeb会議やWebセミナーに参加すると、会議・セミナーの音声や自分の話し声が社内の人の迷惑になる可能性もあるでしょう。
社内に個室スペースを設置すれば、Web会議・Webセミナーに適した環境を常に用意できます。オープンスペースとは違い、個室スペースなら社内の人が背景に映り込んだり、話し声が入り込んだりする心配がありません。防音性に優れた個室ブースを用意すれば、より周囲の音声を遮断することも可能です。
情報漏洩のリスクも軽減できる
個室スペースを用意することで、Web会議中の音声を遮断でき、秘匿性の高い情報が関係者以外に漏洩するリスクを軽減できます。さらに重要書類や機密書類を個室ブースで取り扱えば、情報漏洩のリスク低減にも繋がるでしょう。
オフィスを個室化する方法
オフィスに個室を作る方法には、大きく分けて以下の2つがあります。
・パーテーションの設置
・個室ブースの設置
ここでは、それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。
パーテーションの設置
オフィス内にパーテーションを設置して空間を仕切る方法です。パーテーションには、大きく分けてローパーテーションとハイパーテーションがあります。
ローパーテーションとは、天井までの高さがない、自立式の置き型パーテーションです。パネルを複数組み合わせて設置するものや、ドアを取り付けて半個室にするものなどがあり、来客用スペースや、社内の簡易打ち合わせスペースとして利用されることが少なくありません。ローパーテーションのメリットは、以下の通りです。
・床に設置するだけのため、他の方法に比べて費用がからない
・簡単にレイアウトを変更できる
・素材にはデザイン性が高いものや、吸音効果を高めて防音対策ができるものなど、様々な種類が用意されている
一方、ハイパーテーションは天井と床に固定する仕組みのパーテーションです。工事が必要ですが、オフィス内によりしっかりとした個室や会議室を用意できるのがメリット。ハイパーテーションには施工型パーテーションと造作壁(LGS間仕切り)があります。
施工型パーテーションの設置
施工型パーテーションはハイパーテーションの一種で、天井までの高さがあります。以下のように豊富な種類が用意されており、目的に合わせて選択することが可能です。
・アルミパーテーション・・・部材が少ないため施工しやすい。価格もリーズナブル。標準で不燃性はないが、不燃性を持たせたタイプもある
・スチールパーテーション・・・遮音性や不燃性、断熱性に優れる。耐震性が高いタイプもある
・ガラスパーテーション・・・スタイリッシュな外観で採光性があり開放感がある。アルミタイプ、スチールタイプ、ガラス連装タイプがある
施工型パーテーションは設置後もレイアウトの変更が可能です。レイアウトを変える際には、解体して再利用できます。
造作壁の設置
造作壁はハイパーテーションの一種で、軽量鉄骨を支柱に石膏ボードや軽量鉄骨など貼り付けて壁を作り、空間を仕切ったものです。他の方法と比較すると、以下の点がメリットです。
・仕上げの種類が豊富なため、オフィスに合わせて自由な設計ができる
・プラスターボードを二重貼りするなど素材・施工方法の組み合わせにより防音性を高められる
一方、デメリットとしては以下が挙げられます。
・オーダーメイドのため他の方法より費用がかかる
・一度設置すると移動できない
・工期がかかる
個室ブースの設置
個室ブースは、内部にダウンライトやコンセントを配置した箱型のブースです。設置にはある程度まとまった費用がかかりますが、他の方法と比較すると以下の点でメリットがあります。
・オフィスに配置するだけで済むため設置の際に工事が不要
・一般的にドアがガラス張りのため、開放感がある
パーテーションを設置できないオフィスでは、個室ブースの配置を検討してみると良いでしょう。
個室ブースには完全個室タイプや半個室タイプなど、様々な種類があります。完全個室タイプなら四方が壁のため防音性や気密性に優れます。1人用だけでなく、2人用、4人用など複数人で使えるものもあるため、用途に応じて使い分けてください。
用途に応じてスタイルを選ぶ
オフィスを個室化する際の仕切り方には「ランマクローズ」「ランマオープン」の2つのスタイルがあります。「ランマ(欄間)」とは、ドアの上部から天井までの間の部分のこと。このランマの部分にもパネルを取り付けて床から天井までを全て塞ぐのが「ランマクローズ」、逆にランマの部分にパネルを取り付けないのが「ランマオープン」です。
ランマクローズのスタイルでパーテーションを設置すると、遮音性やセキュリティ性を高められます。ただし、天井までの高さがあるランマクローズのスタイルを採用すると、天井に火災報知機やスプリンクラーなどの天井設備が必要になる場合があります。また、快適な個室にするためには空調設備の増設や移設が必要です。このように、ランマクローズではパーテーションの設置以外に設備工事が必要になるケースがあるため、事前に見積もりをとってどれくらいの予算が必要か把握しておきましょう。
一方、ランマオープンはランマ部分にパネルがないスタイルです。ランマオープンはランマクローズに比べてリーズナブルに個室が作れるほか、自然に換気ができるため感染症対策としても有効です。ランマクローズ、ランマオープンに関しては、用途に応じて選択してみてください。
オフィスを個室化する際の注意点
オフィスを個室化する際には、関連法規に則って施工する必要があります。また、個室化の方法によっては天井の種類の確認も必要です。ここでは、オフィスを個室化する際の注意点を解説します。
パーテーションは消防法や建築基準法に則って設置する
オフィスの個室化には消防法や建築基準法が関係することに注意しなければなりません。天井や四方が全て覆われているクローズ型のブースは「居室」として扱われます。居室が増える際には、以下のような点の確認が必要です。
・建築基準法に抵触する可能性がある
・消防署への届け出が必要になる可能性がある
・消防法の観点では、スプリンクラーや感知器などの天井設備を用意する必要がある
・不燃素材を使用している必要がある
仕切りが可動式なら、一定の要件を満たすことで天井設備の設置を免除する特例があります。こちらも併せて確認しておくと良いでしょう。
事前に天井の種類を確認する
前述の通り、天井までを全て閉じるタイプの仕切りは消防法に抵触するため、設置の際には天井設備の増設や移設が必要になる場合があります。オフィスの天井のタイプは、大きく分けて以下の3種類です。
・グリッド型システム天井
・ライン型システム天井
・在来工法天井
グリッド型・ライン型のシステム天井は、下地の骨組みに空調設備などをはめ込んでおり、設備の位置を簡単に変更できます。そのため、工期や費用を抑えて天井設備を移設することが可能です。この点から、システム天井はパーテーションを設置しやすい天井と言われています。
他方、在来工法天井は、下地の骨組みに仕上げ材が付いているため、防音性は高いものの設備の移設が難しい傾向にあります。移設の際には設備工事と内装工事が必要になるため、システム天井と比較すると工期も費用もかかるでしょう。
オフィスを個室化する際は、天井の種類をあらかじめ確認し、快適性と費用の両面から自社に適した方法を選択するのがおすすめです。
今回のまとめ
今回は、オフィス内に個室を設けるメリットや個室化の方法、注意点を解説しました。社内に個室を設けることで、周囲の音や視線を遮断して、より集中して作業に取り組めるようになります。また、Web会議やWebセミナーに適した環境を用意できるのもメリットです。オフィスを個室化する方法としては、大きく分けて「パーテーション」と「個室ブース」の2種類があります。どちらのケースでも、天井までを全て閉じるタイプの仕切りは消防法に抵触するため、設置の際には天井設備の増設や移設が必要になる可能性があるでしょう。オフィスを個室化する際は、あらかじめ施工会社などと相談し、快適性と費用の両面から自社に適した方法を選択することが大切です。
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