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フリーアドレスが進む賃貸オフィスにおける席の固定化を防ぐ方法
新型コロナウイルス感染症の拡大によりリモートワークが増え、賃貸オフィスの利用の仕方にも変化が生じました。これを機にオフィスをフリーアドレスの賃貸オフィスに移転を検討している企業も多いですが、一早くフリーアドレスを導入した企業の中にはフリーアドレスの廃止を決定したところもあります。
ここでは、フリーアドレスの賃貸オフィスが抱える問題の一つ、席の固定化という課題に的を絞り、席が固定化してしまう原因や解決方法、フリーアドレスの賃貸オフィスに向いている企業の特徴などについて解説します。
1.フリーアドレスの賃貸オフィスが抱えている課題の一つが席の固定化
2.フリーアドレスの賃貸オフィスが抱えている課題の解決方法
3.フリーアドレスの賃貸オフィスが向いている会社の特徴
4.今回のまとめ
フリーアドレスの賃貸オフィスが抱えている課題の一つが席の固定化
折角フリーアドレスの賃貸オフィスにしても、席が固定してしまってはフリーアドレスの本来の目的を果たせません。ここでは、フリーアドレスの目的と席が固定してしまう主な原因についてご紹介します。
フリーアドレスの本来の目的とは
オフィスをフリーアドレスにする主な目的は次の2つです。
オフィスの省スペース化
リモートワークが増えたことにより、社員全員の席を用意しておく必要がなくなり、在席率に合ったワークスペースで十分になりました。出社している人に見合ったスペースが確保でき、私物の保管や所有ができなくなるのでさらに省スペース化が可能です。
削減したスペースは、オフィスカフェや多目的スペースとして活用する、よりコンパクトな賃貸オフィスに移転するといった経費削減も図れます。
コミュニケーションの活性化
通常のオフィスでは、いつも決まった人達としか交流が持てないこともありますが、毎日席が違うフリーアドレスなら、色んな人と交流が図れてコミュニケーションを活性化できます。
他社との差別化を図るためには、今までにない新しい発想が必要です。フリーアドレスのオフィスでは、他の部署の人たちと交流する機会が増えるため、お互いの創造性を刺激し合うことができます。いつもとは違う風景を眺めながら仕事をすることで、物事を違う観点から見られるようになり、ひらめきが起こることもあるでしょう。
フリーアドレスで固定化してしまう原因
フリーアドレスの賃貸オフィスへ移転した企業が抱えている問題で多いのが、席の固定化です。席の固定化が生じてしまう、その主な原因は次の5つです。
フリーアドレスの目的が理解されていない
何のためにフリーアドレスのオフィスにしたかを分かっていないと、自然と居心地の良い席ばかり選ぶようになります。最初は数席でも、自由に選べる席が限定されればほとんどの席が固定席になってしまうのです。
フリーアドレスは毎日違う席を選べる反面、毎日席を選ばなくてはいけない面倒もあります。一度固定化してしまうと、徐々に私物を置くようになりフリーアドレスにした意味はほとんどなくなってしまうでしょう。
フリーアドレスは仕事がしづらい
業務を遂行するには口頭での確認、電話の転送が必要ですが、フリーアドレスでは社員がどこにいるか把握できず、些細な業務に時間がかかってしまうことがデメリットです。そのため、仕事で関わる人はまとまって座ることが多くなり、結局部署ごとで席を決めてしまうため、次第に席が固定されてしまいます。
ルールが定められていない
フリーアドレスのオフィスは同じスペースを大勢で共有するわけですから、みんなが快適に利用するために最低限のルールが必要です。しかし、中には私物を置きっ放しにしたり、汚れても掃除をしなかったりする社員もいて、そのような場所は誰も使用しなくなります。
社員の好みや性格の違い
フリーアドレスにすることでコミュニケーションの活性化には成功したものの、無駄な雑談が増えてしまうケースもあります。コミュニケーションを図ることで業務の効率化を図れることもありますが、静かに集中して作業をしたい社員もいるので、自然と似たような人が固まりやすいのも席が固定されてしまう理由の一つです。
フリーアドレスの賃貸オフィスが抱えている課題の解決方法
フリーアドレスの賃貸オフィスで席が固定化してしまっても、適切な対処をすれば課題を解決することは可能です。賃貸オフィスが抱える課題を解決する方法には、次のようなものがあります。
フリーアドレスの目的を周知する
フリーアドレスにすると執務室をコンパクトにできるので、コスト削減のためにだけフリーアドレスにしていると勘違いしている社員もいます。フリーアドレスを導入する際は、フリーアドレスを導入する目的を理解してもらい、「業務の効率」「業務時間の短縮」など具体的な目標を掲げておくと良いでしょう。
ルールを決め社員に徹底させる
フリーアドレスの執務室を使用する際にルールを設定して社員に知らせますが、資料を配布するだけでなく、社員に徹底させるためには研修も行っておくことが望ましいです。ルールはオフィスの内装や設備によって異なりますが、フリーアドレスのルールには次のようなものがあります。
・外出する際や帰宅する際には必ず私物を整理し、同じ場所に置きっ放しにしない
・書類はデータ化し社内で共有できるように共有ファイルに保存する
・フリーアドレスの席で食事をしない
・電話は電話専用のスペースで行う
グループアドレスにする
企業規模が小さいオフィスであれば誰がどこに座っているかすぐ分かるので、業務に支障が出ることは少ないですが、大きなオフィスでフリーアドレスを導入すると、同僚を探すだけで無駄な時間を使ってしまいます。
社員の多いオフィスにおすすめなのが「グループアドレス」です。「グループアドレス」とは部署ごとに場所を決めておき、そのエリア内だけで席を選ぶもので、同僚を探すために長距離移動する必要がなくなります。
ペーパーレス化に取り組む
紙の書類や私物を減らさないとどうしても移動が難しく、同じ席を選びたくなります。名刺や書類はデータ化すれば、社内で共有しやすくなり属人化を防ぐのにも役立ちます。
フリーアドレスに適したレイアウトにする
フリーアドレスを導入することで働き方も違ってきますから、フリーアドレスのオフィスに適したレイアウトと設備が必要です。フリーアドレスのオフィスに役立つ内装や設備には次のようなものがあります。
オフィスカフェ
フリーアドレスはコミュニケーションの活性化が目的ですが、執務室での会話は他の社員に迷惑がかかってしまいます。オフィスカフェは、社員が交流するだけでなく、設備を充実させれば会議や接待に使ったり、オンライン会議を開催したりすることも可能です。
文房具を共有するスペース
文房具は一括管理し、社員が共有できる専用スペースを設置しておくと、私物を減らしやすいです。
ネームプレートが入ったロッカー
私物をゼロにすることは難しいので、モバイルや最低限の私物が保管できるロッカーの設置は必要です。フリーアドレスにして帰属意識が希薄になってしまう人もいるので、ロッカーにはネームプレートを入れておくと会社への帰属意識を保持しやすくなります。
Webシステムを導入する
座席を抽選で決められたり、社員の座席を「見える化」できたりするWebシステムがあります。無料お試しができるものも多いので、実際に導入してみて自社にあったWebシステムを選ぶと良いでしょう。
フリーアドレスの賃貸オフィスが向いている会社の特徴
フリーアドレスを導入したり賃貸オフィスに移転したりするには費用がかかります。フリーアドレスを導入してから問題が生じ、元のオフィス環境に戻すとなるとさらに費用がかかってしまうので注意が必要です。ここでは、フリーアドレスの賃貸オフィスが向いている会社の特徴と向いていない企業の特徴をご紹介しますので、フリーアドレスをご検討中の方はぜひ参考にしてみてください。
フリーアドレスの賃貸オフィスが向いている会社の特徴
フリーアドレスにすることでメリットを得られる会社もあります。主な特徴は、次の4つです。
リモートワークが進んでいる
在席率が高いオフィスでフリーアドレスを導入しても、執務室の縮小は図れません。執務室の縮小が図れないと、フリーアドレスに必要な設備やスペースを充実させることができないので、単なる席替えに終わってしまう可能性が高いでしょう。リモートワークが進んでいてオフィスの在席率が4割以下になっていれば、フリーアドレスを成功させやすいです。
フリーアドレスに必要な環境と設備が既に整っている
フリーアドレスを導入するには、フリーアドレスに適したネット環境と情報を共有できるシステムが必要です。新しい設備やシステムが既に構築されていれば、フリーアドレスを導入する際の費用を安く抑えることができ、業務に支障が出るリスクも防ぐことができます。そういった意味ではIT系の企業がフリーアドレスに向いていると言えるでしょう。
働き方の自由度が高い
労働時間が固定されている企業は、どうしても在席率が高くなってしまいます。反対に、リモートワークが進んでいなくても、働き方の自由度が高ければ在席率を下げやすいです。もともとフレックスタイム制度を導入している企業は、フリーアドレスを導入しやすいでしょう。
働き方改革に積極的である
フリーアドレスで成果を上げるためには、フリーアドレスだけでなくペーパーレス化とオンライン化も同時進行で進めていく必要があります。最近は会議だけでなく契約もオンライン上で締結できるようになりましたが、全ての企業がペーパーレス化やオンライン化に積極的とは限りません。働き方改革に積極的な企業ほど、フリーアドレスにスムーズに移行しやすいでしょう。
フリーアドレスを導入しないほうが良い会社の特徴
フリーアドレスにすることでかえって作業が増えたり不都合に感じたりすることがある会社もあります。特徴としては次の3つです。
機密情報を取り扱っている
機密情報を取り扱う企業がフリーアドレスにすると、機密情報が漏洩するリスクが高まります。機密情報を取り扱う人は集中力も求められるので、フリーアドレスより安心して作業ができる固定席の方が良いです。
仕事に移動が難しい機材が必要になる
フリーアドレスはノート型パソコンの使用が前提ですが、クリエーターのようにデスクトップでないと作業ができない職種もあります。フリーアドレスはオフィス全体に導入する必要はないので、移動がしやすい部署のみ導入するのも選択の一つです。
社員の平均年齢が高い
最新のシステムは業務の効率化に役立ちますが、社員が使いこなせないと逆に生産性が低下してしまいます。とくに社員の平均年齢が高いと機械が苦手な人も多いので、フリーアドレスの導入は慎重にしたほうが良いでしょう。
今回のまとめ
リモートワークで在席率が4割以下になったら、フリーアドレスを導入したりフリーアドレスの賃貸オフィスに移転したりするチャンスです。しかし、フリーアドレスにはまだ課題が多く、期待していたほど業績やコスト削減に繋げられないこともあります。
フリーアドレスは向き不向きがあるので、導入を検討している方はフリーアドレスが自社に適しているか見極めることが何よりも大事です。既にフリーアドレスでの席の固定化でお悩みの方は、ここでご紹介しました情報を参考に改善に取り組んでみてください。
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