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テナントのエアコン故障、どう対処する?費用や貸主とのトラブル防止策も紹介
賃貸テナントのエアコンが故障した際、どう対処するかご存じでしょうか。特に夏場や冬場に使えなくなるのは、健康に影響するので早急に直したいですよね。しかし、焦って対処を間違えてしまうと、貸主とのトラブルになる可能性があります。そこで今回は、テナントのエアコンが故障した際の対処法について解説します。合わせて、費用負担や貸主とのトラブル防止策もチェックしましょう。
1.テナントのエアコンが故障した際の対処法
2.故障かどうか判断するためにチェックすべきポイント
3.エアコンの修理費用は誰が負担するのか
4.貸主とのトラブルを防ぐための3つの方法
5.今回のまとめ
テナントのエアコンが故障した際の対処法
テナントのエアコンが故障したと思ったら、貸主に連絡する前にセルフチェックをしましょう。自己判断で修理するのは、悪化させたり買い替えたりしなければならなくなる可能性があります。
故障でない場合もあるため、チェックポイントを参考に、不具合のある箇所の特定や症状を細かく見ていきましょう。
故障かどうか判断するためにチェックすべきポイント
エアコンの異常を感じたら、まずは冷静に事象を把握します。それで自己解決できる場合もありますし、故障であっても、貸主に対しエアコンの状態をスムーズに伝えられます。
ここでは、チェックすべきポイントをご紹介します。
リモコンの電池切れ・不備
まずは、リモコンの電池切れや不備がないか確認しましょう。
- 電池が切れている
- リモコンのボタンに異物が挟まっている
- 遠赤外線部分が汚れている
このような場合は、電池を入れ替えたりリモコンの掃除をしたりすることで解決できます。
それでも動かない場合は、リモコンが壊れているかエアコン本体が壊れていると考えられます。
フィルターの汚れ
エアコンの効きが悪い場合は、フィルターが汚れていないかチェックしましょう。
フィルターは、空気中のホコリやゴミがエアコン内部に入るのを防ぐ役割のため、汚れが溜まりやすいパーツです。
フィルターの掃除を怠ると、目詰まりを起こしエアコンの効きが悪くなるので、夏や冬など頻繁に使う時期は、2週間に1度程度掃除をしましょう。
異臭・異音
エアコンの使用中に異臭がする場合は、カビが原因として考えられます。自分でフィルターの掃除をしたり、業者にクリーニングを依頼してエアコン内部を掃除してもらうことで解決できるでしょう。
異音もクリーニングで解決できる場合がありますが、「カタカタ、キュルキュル、カラカラ、ガタガタ」と聞こえる場合は、内部の部品の汚れや不良が原因として考えられるため、エアコン業者に見てもらいましょう。
「ボコボコ、ブクブク」と聞こえる場合は気圧の変化によるものです。換気をすれば自然と直るでしょう。
水漏れ
水漏れの考えられる原因は下記の通りです。
- 室外機の故障
- ドレンホースのトラブル
- 室外機が傾いている
室外機から水漏れしていれば、故障の可能性があります。
本体からの水漏れは、水がうまく排出できず起こります。ドレンホースにゴミや虫などが詰まっていたり、室外機が傾いていたりするなどが原因として考えられるでしょう。
このような状態は自分で解決できないため、業者に依頼します。依頼する際は、どこから水が漏れているのかを伝えると、修理の目途がつきやすくなります。
室外機
エアコンが故障すると、つい本体(室内機)に目が行きやすいですが、室外機の状態にも注意が必要です。
チェックすべきポイントは下記の通りです。
- 室外機周辺に物がある
- 直射日光が当たっている
室外機周辺に物があると、室内から運ばれた空気を外へ排出しづらくなり、熱交換がうまくいかずエアコンが効きにくくなってしまいます。
また、直射日光も効きが悪くなる要因の一つです。室外機の前をふさがないように工夫しながら、日陰に設置するようにしましょう。
エアコンの修理費用は誰が負担するのか
エアコン故障時の修理費用は、「設備」か「残置物」かによって負担する人が異なります。
- 設備:借りる前から元々備え付けられているもの
- 残置物:以前の借主が置いていったもの
※入居後に自社で購入した場合は、残置物と同じ扱い
それぞれ誰が負担しなければならないのかを詳しく解説します。
「設備」の場合は貸主負担
「設備」の場合、法律上では修理費用は貸主負担と定められています。
『賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない。』
契約書の「重要事項説明書」の冷暖房の項目に「有」と記載があれば、設備になります。
ただし、以下3つの例外があり、これらに該当すれば、設備でも借主が負担する場合もあります。
- 借主が故意または不注意で壊した場合
- 借主が勝手に修理した場合
- 借主が故障を悪化させてしまった場合
詳しく解説していきます。
借主が故意または不注意で壊した場合
借主には善管注意義務があり、借りているものを自身の所有物以上に大切に扱わなくてはなりません。したがって、故意または不注意で壊してしまった場合は借主負担になります。
但し、不注意で壊してしまった場合は、保険適用になる可能性があります。
入っている保険によって保障保証内容が変わってきますので、保険会社に問い合わせてみましょう。
借主が勝手に修理した場合
借主が貸主に連絡しないまま、直接業者に依頼して修理をした場合、費用は借主の負担になる可能性が高くなります。
基本的に、エアコンが故障した際どう対処するかは貸主が決めることです。貸主側で依頼する業者を決めている場合が多く、借主の判断で修理を依頼し、あとから費用を請求するのは迷惑をかけることになるでしょう。
「自分の知っている業者なら無料で直してくれたはずだ」と言われてしまえば、根拠のある反論がかなり難しくなるのが現実です。
借主が故障を悪化させてしまった場合
異常が発生したまま放置したり、自己判断で修理したりして故障が悪化した場合は、借主の費用負担になる可能性があります。悪化させる前に、速やかに貸主に連絡しましょう。
「残置物」の場合は借主負担
エアコンが「残置物」の場合は、借主の自己負担となります。「残置物」とは、以前テナントを借りていた人が残したもので、貸主が使えると判断した場合はそのまま次の借主に提供します。したがって、テナントを借りた時点でエアコンの所有者は借主になります。
残置物のケースは比較的多いため、テナントを借りる時点で設備か残置物かを確認しておきましょう。口頭での確認に合わせて、重要事項説明書の内容もチェックしておきます。
貸主とのトラブルを防ぐための3つの方法
ここでは、貸主とのトラブルを防ぐためにチェックするポイントを3つご紹介します。
①エアコンの使用年数を把握する
テナント契約時に、貸主へエアコンの使用年数を聞いておくと、経年劣化による故障の可能性や買い替えの必要性をなくすなど、未然に故障を回避しやすくなります。
エアコンの寿命は9〜10年とされています。故障した際に修理費用がかさんでしまうケースもあるので、買い替えを検討することになるでしょう。残置物である場合、古いエアコンの撤去から新しいエアコンの設置まで自己負担になる可能性もあり、予想外の出費がかかってしまいます。
前の借主が残していったエアコンがある場合は、テナントを契約する前に、使用年数を確認して、あまりにも古いようなら引き取らずに自社で購入することも検討してみましょう。貸主に相談すると、設備として新しいエアコンを設置してくれるかもしれません。また、貸主が設備として設置してくれなくても、事前に分かっていれば予算に含めることができるので、予想外の出費を抑えられます。
また、設備の場合も年数の確認は必要です。買い替えの時期が近いエアコンの場合は、入居するタイミングで交換できないか交渉してみてもよいでしょう。
②設備か残置物かを明確にしておく
エアコンが「設備」か「残置物」かで費用を負担する人が変わるため、重要事項説明書への記載有無と併せて貸主に確認しておきましょう。共通認識として双方が把握しておくことが重要です。
③買い替えが必要な場合は誰が費用を負担するか確認
貸主から「残置物が壊れるまで使用してほしいが、買い替えが必要になった場合は貸主負担で購入してもよい」「既存設備が壊れた場合は、借主負担で買い替えてほしい」と言われるケースもあります。
認識の違いが起きないよう、今ついているエアコンが壊れたらどうするかを話し合っておきましょう。
【補足】業務用エアコンなら補助金が出る場合も
業務用エアコンを購入する場合、15〜50万円と高額な費用がかかるため、。各省庁や地方自治体の補助金制度を利用し、費用を抑えるのがおすすめです。
補助金や助成金制度は、地球温暖化や省エネルギー化の推進を目的として設けられており、種類が多くありますが、例として1つご紹介します。
省エネルギー設備導入支援事業費補助金(愛知県)
助成対象者 | 県内で事業を営んでいる法人及び個人事業主 |
助成率及び助成上限額 | 国の省エネ補助事業の補助金額の1/2(限度額1,000万円) |
助成対象経費 | 補助対象事業の実施に必要な機械装置等の購入、製造、据付け等に必要な費用(土地の取得及び賃借に係る費用を除く)
※国の省エネ補助事業において補助対象となった経費に限る |
【引用元】愛知県「再生可能エネルギー・省エネルギー設備導入支援事業費等補助金」
今回のまとめ
今回は、テナントのエアコンが故障した際の対処法についてご紹介しました。
テナントのエアコンが故障したと思ったら、貸主に連絡する前にセルフチェックをしましょう。メンテナンス不足による不具合の場合や、原因を特定できる場合もあります。チェックの結果、故障の可能性が高い場合は速やかに貸主に状況を伝えましょう。
故障や買い替えの費用負担は、「設備」の場合は貸主、「残置物」の場合は借主です。どちらに該当するかは重要事項説明書に記載されているため、契約前に確認しておきましょう。重要事項説明書は、契約時に宅地建物取引業者が読み上げて説明する義務があります。トラブルを防止するためにも、不明な点があればその際に質問して解決しておきましょう。