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賃貸オフィスで働く従業員の福利厚生を見直すメリットル
福利厚生を見直し、30%近くあった離職率を5%以下に減らした企業があることをご存じでしょうか。近年、福利厚生のあり方を見直す企業が増えてきました。少子高齢化による労働人口の減少や人材の流動化が進む中、従業員の満足度が高い福利厚生を実施することは、優秀な人材の確保や離職率の低下に繋がるからです。
また、福利厚生を充実することには、企業の社会的イメージを高めるなどメリットが少なくありません。今回は、賃貸オフィスで働く従業員の福利厚生を見直すメリットについて解説します。ぜひ参考にしていただき、福利厚生についてもう一度考え直してみてください。
福利厚生で従業員の満足度を高めて離職率を低下できる
近年、少子高齢化により就労人口が大きく減少しており、人材確保は企業の大きな課題になっています。そのような中、優秀な人材の確保と離職率低下への取り組みとして、福利厚生を見直す企業が増えてきました。離職率の低下と福利厚生には、いったいどのような関係があるのでしょうか。
離職率の現状
離職率とは「一定期間内にどれだけの社員が退職したか」を示す指標です。厚生労働省の調査によれば、令和2年の離職率は14.2%で、前年度15.6%と比べて減少傾向にはあるものの、依然として高い数値に留まっています。
(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/21-2/dl/kekka_gaiyo-01.pdf)
特に若者の離職率は高く、令和3年10月に厚生労働省が公表した「新規大卒就職者の離職状況」では、平成30年3月卒就職者の3年以内の離職率は30%超です。
・大卒→31.2%
・短大卒→41.4%
・高卒→36.9%
いずれも前年より高い数値であることから、若者の転職志向が高まり人材の流動化が進んでいると言えるでしょう。
人材の流動化には、マンネリ化を防ぎ企業を活性化させるメリットがあります。しかし、高すぎる離職率は、採用コスト・教育コストの損失だけでなく「ブラック企業」と揶揄され、優秀な人材の確保を困難にするなどデメリットも少なくありません。こうした事態を回避するためには、退職者を減らして人材を定着させる施策が必要です。
離職の理由
若者はどのような理由で離職を考えるのでしょうか。独立行政法人労働政策研究・研修機構が平成28年に行ったモニターアンケート調査「若年者の能力開発と職場への定着に関する調査」(21~33歳対象)で公表された「初めての正社員勤務先を離職した理由」の上位の回答は下記の通りでした。
(https://www.jil.go.jp/institute/research/2017/documents/164_05.pdf)
【男性】
1位 労働時間・休日・休暇の条件がよくなかったため(31.8%)
2位 自分がやりたい仕事とは異なる内容だったため(28.4%)
3位 キャリアアップするため(28.1%)
4位 肉体的・精神的に健康を損ねたため(26.9%)
4位 賃金の条件がよくなかったため(26.9%)
【女性】
1位 結婚・出産のため(33.8%)
2位 肉体的・精神的に健康を損ねたため(29.3%)
3位 労働時間・休日・休暇の条件がよくなかったため(28.7%)
4位 人間関係がよくなかったため(26.5%)
5位 自分がやりたい仕事とは異なる内容だったため(20.4%)
福利厚生の見直しと離職率の低下
男女共に多くの人が離職の理由に挙げた「肉体的・精神的に健康を損ねたため」は、「労働時間・休日・休暇の条件」を見直すことで改善できます。多くの女性の離職理由である「結婚・出産」も「産休・育休制度の見直し」によって、仕事を続ける選択をする人が増えそうです。
「賃金の条件がよくなかったため」を理由に離職した人も、通勤手当や家賃補助を充実することで納得し、働き続ける選択をするかもしれません。
このように、労働条件や福利厚生を見直すことは、従業員の満足度を高め離職率を低下させます。働き方改革により「個々の事情に応じた自由な働き方」への意識が高まっている昨今、企業が福利厚生の充実に取り組むことは、社会的信用を得て優秀な人材確保にも繋がるのです。
賃貸オフィスで従業員の満足度が高い福利厚生サービスとは
福利厚生とは「企業が従業員やその家族の健康や生活を向上させるために、賃金・給与とは別に支給するサービス」のことです。福利厚生には健康保険や厚生年金保険など、法律で義務化されている「法定福利厚生」と、企業が任意で導入する「法定外福利厚生」があります。
従業員の満足度を向上させて、離職率を減少させるには「法定外福利厚生」の見直しが必要になります。具体的にはどのようなサービスが求められているのでしょうか。
産前・育児休暇の充実
上述したとおり、女性の離職理由の1位は「結婚・出産」です。「産前・産後休暇」「育児休暇」の見直しは、女性の離職率低下に大きな役割を果たします。
サイボウズ株式会社では「育児・介護休暇を最長6年間に拡大」、さらに「産前休暇を妊娠判明時から取得できる」と改めました。すると、改革前の2005年には28%だった離職率が、改革後の2019年には4%までに減少したのです。女性が働き続けるためには、産休・育休制度の充実が重要だと言えるでしょう。
育児サポート
女性の離職率を改善するために、多くの企業が育児サポートを見直しています。
・社内に利用無料の保育所を設置
・ベビーシッターの利用負担金を補助
・社員食堂を従業員の子どものために解放
これらの施策により、従業員の出産率50%・出産後の復帰率100%という企業もあるのです。
健康面のサポート
男女共に多くの人が離職理由にあげる「肉体的・精神的に健康を損ねたため」を改善する施策に取り組む企業もあります。株式会社ランドスケイプでは「若手社員の不健康な食生活」「健康上の理由での退職」を改善するために、下記の施策を行いました。
・社内にサラダバーの設置、その後フリーランチ制度へ進化
・予防接種や健康診断・人間ドックにかかる費用の全額負担
・社員の健康を可視化する「モチベーションクラウド」の導入
・「定期訪問カウンセリング」の実施
これらの施策により、離職率が低下しただけでなく採用への問い合わせも増加しました。
住宅手当・家賃補助・通勤手当
住宅手当・家賃補助・通勤手当は多くの企業が実施している施策ですが、毎月の手取り金額が増え、住む場所の選択肢が広がり従業員の満足度が向上します。多くの人が「あるとうれしい」と感じる福利厚生サービスです。
特別休暇制度
手厚い休暇制度でプライベートを充実させることで、仕事へのモチベーションも上がります。株式会社ジオコードにはユニークな特別休暇制度があり、例えば、6・7・8月に連休が取れる「エンドレスサマー」や、ワールドカップやオリンピックの日本代表の試合に合わせて休暇が取れる「サッカー休暇」などです。
また、同社には毎日16:30から20分間の「無料軽食制度」があり、おにぎり・サンドイッチ・デザートなどの軽食が支給されて従業員のリフレッシュに貢献しています。
このように、多くの企業でさまざまな福利厚生が実施されていますが、大切なことは従業員の目線で働きやすい環境を整えることだと言えるでしょう。
福利厚生を強化するその他のメリット
福利厚生を充実させることは離職率の低下に繋がるだけでなく、他にも多くのメリットがあります。
優秀な人材の確保
少子高齢化による就業人口の減少で、採用の現場は売り手市場になっており、優秀な人材確保は企業の大きな課題です。そのような中で、人材採用戦略として福利厚生に力を入れる企業が増えています。
株式会社マイナビが行った「就活生が企業選びで最も注目するポイントは?」という調査では「社内の人間関係」「企業経営の安定」などを抑えて「福利厚生の充実」が1位という結果になりました(マイナビキャリアリサーチLab「2019年度卒 大学生広報活動開始前の活動調査」より)。
この結果からも、求職者の多くは労働条件や仕事内容だけでなく、福利厚生を重要視して企業を選択していることがわかります。求職者の応募を増やして優秀な人材を確保するためには、仕事とプライベートのバランスを重視した魅力的な福利厚生を実践して他社との差別化をはかることが大切なのです。
生産性の向上・人材の定着
福利厚生を充実させて労働環境が向上すると、従業員は集中して作業ができるようになります。また、仕事とプライベートのバランスが取れることで心身共に健康が増進し、仕事に意欲的に取り組むようになり、生産性の向上に繋がるのです。
働きやすい環境を整えることで仕事に意欲的な従業員が増え、コミュニケーションが活性化し、社内の雰囲気は好転します。すると職場に愛着を持ち、「ここで働き続けたい」「会社に貢献したい」と考える従業員が増加して人材定着に繋がります。
節税
福利厚生制度を整えることは、企業にも従業員にも節税においてメリットです。福利厚生にかかる費用は「すべての従業員が対象である」「常識の範囲の内容・金額である」などの条件付きではありますが、非課税対象です。経費として計上できるため、法人税の節税になります。
また、福利厚生は従業員にとっても節税になります。例えば、家賃補助や交通費補助などの項目を設けずに、賃金として給与に上乗せして支給すれば、支払う所得税はその分増えてしまいます。しかし、福利厚生の家賃補助・交通費補助として賃金とは別に支給すれば税金はかかりません。
企業イメージの向上
近年「SDGs」という言葉がよく聞かれるようになりました。SDGsとは「2030年までによりよい世界を目指すための国際目標」です。SDGsに積極的に取り組む企業は、社会的に信頼できる会社と評価されます。SDGsの中には「ジェンダー平等」や「働きがいも経済成長も」という目標も定められています。
福利厚生の「育児サポート」や「育児休暇・介護休暇制度」は、結婚や出産を理由に離職する女性の離職を減少させ、男女の区別なく育児や介護に携わる社会を作るのに役立ちます。また、労働環境を見直して仕事とプライベートのバランスを整えることは「働きがいも経済成長も」の考え方に合致するでしょう。
このように、福利厚生を充実させている企業はSDGsにも積極的に取り組んでいるとみなされ、企業イメージが向上するのです。
今回のまとめ
就業人口の減少により採用難が社会問題化している昨今、福利厚生を充実させることで、従業員の満足度を高め、離職率を低下させる取り組みをする企業が増えてきました。福利厚生には、他にも「優秀な人材の確保」「生産性の向上」「人材の定着率の向上」「企業の法人税・従業員の所得税の節税」「企業のイメージアップ」など、多くのメリットがあります。
従業員の満足度を高める福利厚生サービスには「産前産後休暇・育児休暇」「育児サポート」「健康面のサポート」「家賃手当・通勤手当」「特別休暇制度」などがあります。ぜひ、これらの項目を見直すことで従業員が働きやすい環境を整え、企業イメージを向上させましょう。
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