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賃貸オフィス・事務所のレイアウトに求められる「オフィスの動線」の考え方
「オフィスの動線」は、オフィスや事務所のレイアウトを考えるうえで重要な要素のひとつです。しかし、「動線」という言葉に馴染みのない方も多いのではないでしょうか。動線とは、建物内を人が移動する経路のことです。動線を考慮してレイアウトすることでストレスフリーな職場環境を作ることができますし、緊急時の避難にも役立ちます。
今回の記事では、オフィスの動線の考え方を3つご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
1. オフィスの動線の考え方①:人がすれ違うための通路幅は必要な寸法が守られているか
2. オフィスの動線の考え方②:オフィスの動線に行き止まりや袋小路がないか
3. オフィスの動線の考え方③:置かれている家具や機器はオフィスの動線上にあるか
4. 今回のまとめ
オフィスの動線の考え方①:人がすれ違うための通路幅は必要な寸法が守られているか
動線を考えるうえで、いちばんに検討すべきなのが通路幅です。社員が快適に働くためには、適切な通路幅を確保しておく必要があります。また、余裕のある通路幅を確保していないと、火事や地震などの緊急時に現場が混乱してしまう可能性も大きくなるでしょう。ストレスなく働けるオフィスを作るため、そして緊急時に社員の命を守るために、通路幅を考慮してレイアウトを考えることが大切です。
メインの動線とサブの動線を分ける
動線に必要な通路幅を考えるためには、人が多く通るメインの動線なのか、そうではないサブの動線なのかを考えなければなりません。メインの動線とサブの動線を明確に分けておかないと、スムーズに移動することができなくなるからです。さらに、これを考えることで無駄な動線を見つけて省略することもできます。
人が多く通ることを想定したメインの動線であるなら、人がすれ違うことができるだけの通路幅が最低限必要です。日本人の標準的な肩幅は、46~50cm程度とされています。これを踏まえると、1人がストレスなく移動するための通路幅は90cm、2人がストレスなくすれ違うための通路幅は160cmが理想的です。
そのため、メインの動線は160cmの通路幅があれば快適になります。サブの動線であれば、90cmの通路幅を確保できれば十分です。
家具や機器の間の通路幅
次に、家具や機器のレイアウトを踏まえて通路幅を考えます。オフィスの主要な家具といえばまずはデスクですが、通路幅を考える際にはデスクの座席側かそれ以外の側かで理想的な幅が変わることに注意しなければなりません。
例えば、横向きに並んだデスクの間の通路幅は90cm、背中合わせで並んだデスクの間であれば120cmが理想とされています。このように、デスクの座席側の場合は、そこに人が座った状態でもスムーズに移動できるようにする必要があるのです。
続いて、デスクと壁の間や、デスクと収納家具の間の通路幅も考慮の対象になります。まず、デスクと壁の間は90cmあれば快適です。そして、キャビネットや書棚など収納家具とデスクの間は、収納の扉や引き出しを開くことも考慮して150cmあると良いでしょう。省スペースを徹底したいのであれば、収納の扉を引き戸にすることも検討するのがおすすめです。
また、コピー機などの機器とデスクの間は、扉などを開く必要はないものの、作業がしやすいように120cmくらいが適切な通路幅となります。
その他の考慮すべき点
この他にも、バリアフリーを重視したオフィスにしたいのであれば、別の考慮が必要です。車椅子利用者や、日本人よりも肩幅が広い外国人の方が多く働くことを想定している場合、さらに余裕を持った通路幅が必要になります。例えば、一般的な車椅子の幅は60cm程度とされていますので、10cm程度の余裕があれば快適です。
以上が、動線を考えるうえで必要な、通路幅の基本的な考え方です。もちろん、オフィスの広さや家具の数・大きさに合わせて柔軟にレイアウトすることが大切ですが、理想とされる通路幅も参考にすると、快適な職場を作ることができます。
オフィスの動線の考え方②:オフィスの動線に行き止まりや袋小路がないか
通路幅の次に考えるべき重要な要素は、オフィスの動線に行き止まりや袋小路がないかという点です。適切な動線を考えずにレイアウトすると、行き止まりや袋小路が発生してしまうことが少なくありません。しかし、オフィスに行き止まりや袋小路があると作業効率が低下しますし、緊急時の危険も高くなってしまうでしょう。そのため、行き止まりや袋小路を作らないことも、動線の基本的な考え方として大切です。
行き止まりや袋小路の例
例えば、書棚が置かれている場所が行き止まりになっているとします。その場合、1人がそこに資料を取りに行っている間は、戻って来るまで他の人は待たなければなりません。このように、行き止まりや袋小路があるだけでスムーズな移動ができなくなり、ストレスを感じやすくなってしまうのです。
この場合の解決方法として、書棚が置いてある場所から通り抜けられるように、メインやサブの動線とつなげておくとよいでしょう。そうすれば、無理にすれ違ったり待ったりする必要がなくなり、ストレスフリーで効率的な移動が可能です。
回遊性のある動線
このように人がぐるぐる回ることができる状態を、「回遊性がある」と言います。快適なオフィスのレイアウトを考える際には、できるだけ回遊性がある動線を実現することが大切です。
回遊性がある動線を考えるためには、行き止まりや袋小路を作らないだけでなく、サブの動線の配置も重要です。行き止まりになっていない場合でも、メインの動線が混雑してしまうときがあります。この場合、メインの動線を無理に通ったり待ったりする必要がないように、通り抜けられるサブの動線を配置しておくとよいでしょう。移動がスムーズですし、緊急時の行動の観点からも安心です。
ただし、サブの動線をただ増やせばよいというわけではありません。オフィスが迷路のようになってしまうと逆に作業効率が落ちますし、必要のない通路で貴重なスペースを無駄にしてしまうことにもなります。迷わず効率的に移動ができるように、できるだけ単純化した動線が求められるのです。そのため、むやみに通路を増やすのではなく、行き止まりや混雑を回避するために必要となるだけの動線を確保することが重要になります。このように、動線の設計は計画的に行わなければなりません。
その他のメリット
行き止まりや袋小路があると、火事や地震などの緊急時に混乱してしまいかねません。これは非常に危険であるだけでなく、建築基準法の違反になる可能性もあるので注意する必要があります。どこにいてもすぐに逃げられるように、抜け道を用意して行き止まりを作らないようにするのが賢明です。
回遊性がある動線には、他にも風通しがよくなる、掃除がしやすい、開放的な雰囲気のオフィスになるなどのメリットもあります。また、清潔で開放感のあるオフィスのほうが社員の生産性が上がるため、これも無視できないメリットです。より快適で安全なオフィスにするために、行き止まりや袋小路がないか確認して動線を設計することをおすすめします。
オフィスの動線の考え方③:置かれている家具や機器はオフィスの動線上にあるか
オフィスに必要な家具や機器を動線上に配置することも、動線の基本的な考え方です。オフィスにはデスクだけでなく、書棚やキャビネット、コピー機やシュレッダーなど必要な設備がたくさんあります。そのため、デスクからそれらの設備までスムーズにアクセスできるかどうかで、作業効率も変わってくるのです。
家具や機器は動線上に配置する
設備の配置を考える際には、まずはそれぞれの設備の使用頻度や使用者数を考える必要があります。そして、多くの人が頻繁に使用することが想定される設備であれば、メインとなる動線の上に配置するとスムーズです。一方、使用頻度が少ない、または使用者が少ないような設備であっても、最低限サブの動線上に設置する必要があります。
設備を動線上ではない場所に配置すると、設備を利用するたびに動線からはずれて移動する必要が生じてしまい、作業効率が著しく低下します。また、設備の置き場が行き止まりや袋小路になってしまうこともあるため、これも効率が悪くなる原因です。
そこで、デスクから設備に移動し、さらにデスクに戻るという動線を意識して設備を配置すると、移動がスムーズになります。また、混雑や待ち時間を避けるために、通り抜けられるサブの動線も用意するとよいでしょう。
使用頻度が高い設備は近くに配置する
また、設備の配置には動線だけでなく、近さも考慮する必要があります。メインの動線上に配置していたとしても、多くの人が頻繁に使用する設備が遠くにあるのでは、作業効率は上がりません。そこで、そのような設備はできるだけデスクの近くに配置して、誰でも簡単に使用できるように配慮するのが賢明です。そして、どこからでも簡単に設備にアクセスできるように、サブの動線などの配置も考えましょう。
設備の使用に必要なスペースを確保する
加えて、ストレスなく設備を使用するための適切なスペースを確保することも必要となります。上述のように、収納家具の場合は扉や引き出しを開ける必要がありますし、コピー機などの場合も快適に使用するためにはある程度のスペースが必要です。そのため、それぞれの設備の使用方法に合わせて適度なスペースが確保できるように、間隔や場所を考えてレイアウトすることをおすすめします。
設備選びにも動線を参考に
最後に、家具や機器を選ぶ際にも動線の考え方が参考になります。オフィスの広さや配置したい設備の数を踏まえて事前に動線を考えてみることで、適切なサイズ・数の家具や機器を選ぶことができるからです。
また、サイズや数だけでなく、キャビネット付きのデスクにするのか、収納家具の扉はどのようなタイプにするのかといった点も考慮できます。あらかじめ動線を検討しておくことで、失敗しない設備選びが可能になるのです。
以上のように、設備の配置ひとつでオフィスの作業効率が左右されます。家具や機器を動線上に配置することで、作業効率を改善し快適なオフィスを作ることが可能です。そのため、デスクだけでなくさまざまな設備へのアクセスを考慮して動線を設定してください。
今回のまとめ
快適に働けるオフィスを作るためには、必要な通路幅を確保し、回遊性がある動線を作ることが重要です。動線を考慮してデスクや設備をレイアウトすることで、作業効率が大きく変わります。
名古屋に本社を構えるオフィッコスでは、オフィスや店舗などの賃貸仲介を専門的に行っています。オフィス・店舗の開設や移転を検討されている事業者様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。