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賃貸オフィス・事務所を間借りする上で注意すべきポイント
「起業して間もないため、自分たちでオフィスを持つことは予算的に厳しい…」「少ない固定費で自分たちのオフィス空間が欲しい!」このように考えている企業様もおられるでしょう。少ない予算で自分たちのオフィス空間を持つための一つの方法として「間借り」があります。手っ取り早い方法に感じる間借りですが注意点を守らないとトラブルになることも少なくありません。この記事では、オフィスや事務所を間借りする際の注意点やメリット・デメリットについて解説します。
【目次】
1.賃貸オフィスの間借りとは?又貸しとは?
2.賃貸オフィスの間借りで知っておきたい注意点
3.間借りをするにあたっての注意点
4.間借りをする4つのメリット
5.間借りをする4つのデメリット
6.今回のまとめ
賃貸オフィスの間借りとは?又貸しとは?
賃貸オフィスの間借りとは、既に別の企業が借りているオフィス内の空きスペースを使わせてもらうことです。間借りさせる企業側から考えると、使用料をもらって空きスペースを使わせることで収益が得られるというメリットがあります。
しかし、ここで考えなければならないのは、間借りは又貸しに相当しないのかという点です。又貸しとはそもそも、不動産用語では転貸のことです。つまり、賃貸物件の借主が物件のオーナーや管理会社といった貸主の許可を得ることなく、第三者に借りている物件の全部もしくは一部を貸すことです。物件を間借りすることは、実際の借主からスペースの又貸しを受けているに等しいということになります。
賃貸オフィスの間借りで知っておきたい注意点
現実的に、賃貸オフィスの間借りを行っている企業も存在します。トラブルを避けるために、賃貸オフィスの間借りをする際に知っておきたい注意点についてご紹介します。
無断間借りは法律違反
間借りがオーナーや管理会社に無断で行われている場合は、法律違反に相当します。もし、賃貸契約書に記載がないとしても、安易に問題ないだろうと考えてはいけません。民法612条に「賃貸人の承諾を得なければ、賃借物を転貸することはできない」旨が明記されています。
許可を取ることで間借りが可能に
前述の民法の条文にもありますが、転貸が問題となるのは「貸主の許可を得ていないこと」です。一般的に商品などを購入するのとは違い、一定期間継続して使用される不動産賃貸契約は、お互いの信頼関係の上に成り立っています。貸主側からしても、物件の退去時に傷や大きな汚れがあった場合、借主に間借りしていた会社がしたことだからその会社と話してくれと言われたのでは困ってしまうでしょう。
そこで、もし間借りをする場合は、貸主の許可が出ているかどうかを必ず確認してください。ちなみに、貸主からの間借りの許可が必ずおりるとは限らない点も知っておきましょう。
間借りをするにあたっての注意点
間借りしようとしている物件の貸主から許可がおり、間借りができる状況になった場合の注意点をご紹介します。
契約書締結は必須
間借りする側もされる側も気持ちよく利用するためにも、破損があった際の責任転嫁といったトラブルを未然に防ぐためにも「事務所転貸借契約書」の作成は必要不可欠です。契約書には使用するスペースを明記し、使用目的や契約期間・中途解約・賃料の記載も必要です。また、契約解除に該当する場合や物件の明け渡し・原状回復など、トラブルにつながりやすい部分に関しても明記しておきましょう。
この場合、物件のオーナーや管理会社と物件の借主との契約が賃貸借契約(マスターリース)となり、転貸人と間借りする企業との間で交わされるのが転貸借契約書(サブリース」となります。
損害賠償の範囲を明確にする
間借りする場合には、損害賠償の責任範囲を明確に定めることが大切です。万が一、壁などに傷をつけるなど破損させた場合に、責任の所在があいまいになることは避けなければいけません。また、共用で使用している電気代をどう折半するかといったことの相談も事前に済ませておき、使用状況に応じて再度話し合いをするなどの対応が必要です。
郵便物の管理に注意する
間借りしている場合、同じ住所に2つの企業が存在していることになります。そのため、郵便物や宅配便なども両方宛てのものが届いてしまいます。顧客情報の漏洩などを避けるためにも、郵便物置場を2つ設けて混在することがないように管理する必要があるでしょう。得意先には、あらかじめ別会社と物件を共有していることを伝えておけば安心です。
間借りスペースをしっかりと区切る
間借りしているスペースは明確に区切ることが重要です。入口は同じであっても、パーテーションなどで区切るなどして動線を分けるようにしましょう。特に、来客時に間借りしている企業のスペースを通るということは避けたいものです。事前に、相談した上で間借りすることをおすすめします。
間借りをする4つのメリット
間借りには注意点がある一方で、費用面や設備面など多数のメリットがあることも事実です。ここでは、間借りをすることで得られる4つのメリットをご紹介します。
初期費用が抑えられる
間借りでは、敷金・礼金・仲介手数料といった費用は発生しません。間借りスペースを区切るために必要となるパーテーションなどの費用が発生する可能性はありますが、基本的には定められた賃料のみの支払いとなるでしょう。初期費用を抑えてオフィスを持てるのは大きなメリットです。
安い賃料で借りられる
オフィスの全フロアを借りるのと比較すると、一部のスペースだけを間借りするため、通常よりも賃料は安くなります。立地条件がよい場所にあるオフィスの賃料は高くて支払えない…といった企業様でも、多少でも賃料が安くなれば、理想のオフィスを手に入れやすくなるでしょう。
短い契約期間でも借りられる
一般的に、事務所・オフィスの賃貸契約は2年などある程度の契約期間が定められています。また、契約時には敷金などの初期費用がかかるのが一般的です。新たなオフィスへ移転するまでの間だけ事務所を借りたい場合、所定の手続きを踏めば早期の退去でも違約金などは発生しませんが、初期費用が無駄になります。
しかし、間借りであれば既にオフィスを借りている借主の契約期間内で借りることとなるため、短い期間であってもスペースを借りることが可能です。解約通知期間などの縛りが比較的緩い傾向にある点もメリットといえるでしょう。
共用設備を使用できる
新たにオフィスを設けた場合、コピー機や給湯室といった設備を共用させてもらえることも多いでしょう。もちろん、コピー機の使用料など別途費用が発生するものはあります。しかし、一から設備を揃えるよりは断然費用を抑えて業務を行うことができます。
間借りをする4つのデメリット
間借りをすることはメリットだけではありません。事前に知っておきたいデメリットを4つご紹介します。
セキュリティ面に不安が残る
前述した通り、郵便物の管理やデータ管理などをきっちりと行わないと、故意でなくとも外部に情報が漏洩することがあります。それが、顧客情報であった場合、信用問題に関わります。お互いが気持ちよく同じスペースを利用するために、セキュリティレベルをあげることが重要となります。また、インターネット環境を無線LANでつないでいる場合、それを共有することで万が一ウイルス感染が発覚した際に、被害が増大することも不安材料です。
自由にレイアウトなどを変えられない
使い勝手を良くするために、改装をしたいと思っても自由に行うことは難しいでしょう。同じスペースを共有しているため、就業時間中に工事や移動などの作業を行うと、騒音が発生し業務に支障をきたしてしまいます。また、改装工事は、物件のオーナーや管理会社に許可をもらう必要があるため自由度は下がるでしょう。なぜなら、間借りはあくまでも簡易的な措置であることが多く、何年もずっと間借りをすることを前提としていないことがほとんどだからです。限られたスペースを有効に使うという意識を持っておくのが賢明です。
無料の間借りは融資が受けられないことも
無料の場合、当然家賃の支払いは発生しません。そこで、活動実態がない企業だとみなされるリスクがあります。いわゆるペーパー会社だと認識されると融資を受けたくても受けられない、審査にかかる時間が増えて提出すべき資料が増えるなどの手間が発生する傾向にあります。
退去時にトラブルが発生する可能性がある
間借りの退去時にはさまざまなトラブルが起こり得ますが、中でも原状回復工事の解釈が相違するリスクがあります。例えば、退去時の破損・汚れ・変更したレイアウトなどは間借り前に回復すると契約書を交わしていても、いつ発生した汚れかがはっきりしないケースもあるでしょう。そこで、間借り前に両者立会いのもと、設備状況を確認して写真を撮るなど証拠を残しておくことをおすすめします。また、定期的に見回りなどを行い、破損箇所や汚れが発生していないかの点検を両者で行うことも大切です。
今回のまとめ
簡単に考えがちな間借りですが、法律上は転貸と同じと解釈されます。そのため、必ず物件のオーナーや管理会社に間借りの許可を取る必要があります。また、トラブルを避けるためにも、現状確認の上で契約書を交わし、セキュリティ面を完備することをおすすめします。
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