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介護施設を開業する上で必要な手続きと初期投資の目安
小規模でもデイサービスなどを開業して、高齢化が進む社会の役に立ちたいとお考えの方は増えているのではないでしょうか?しかし、介護施設を立ち上げるには、開業までに踏むべきステップや、必要な申請・費用目安などを知っておくことが重要です。今回は、介護施設を開業する上で必要な手続きや初期投資の目安を紹介します。
【目次】
1.介護施設を開業するのに特別な資格は不要
2.介護事業を立ち上げるにはまず法人の設立
3. 介護施設を開業するのに必須の事業者指定申請
4.介護施設を開業する上で必要な初期投資
5.介護施設の種類
6.介護施設開業に最適な賃貸物件とは?
7.まとめ
介護施設を開業するのに特別な資格は不要
介護施設を開業するのに資格は必要ありません。ただし、介護施設の経営は個人で行うことができないので、法人格の取得が条件となります。また、経営する介護施設の種類に応じて、定められた必要な人員を確保することも必要です。そのほか、施設ごとに設置しなければならない設備や、守らなければならない1人あたりの面積といった決まりもあります。
介護施設を立ち上げるための資格は不要でも、それぞれの自治体の制度やルールを学んでおくことは重要となるでしょう。ここからは、介護施設開業準備でポイントとなる申請・手続きについて解説していきます。
介護事業を立ち上げるにはまず法人の設立
介護施設は個人には経営ができません。そのため、介護施設を開業したい場合には、まず法人設立を優先的に行います。とは言え、法人には種類があり、どの法人を選択するかによって設立に要する期間や費用が異なります。
法人には主に株式会社・合同会社・NPO法人が挙げられますが、介護施設を経営する多くの法人は株式会社か合同会社です。NPO法人は非営利団体でイメージが良く、実際に非営利であれば税制面でも優遇されるなどメリットが多いですが、一方で設立には6ヶ月程度かかるほか、利益が出ても配当金を分配することができないといったデメリットもあります。
そのため、一般的には、介護施設を開業する時、株式会社か合同会社を選ぶケースが多いのです。株式会社・合同会社を設立する手順を簡単にまとめておきましょう。
株式会社を設立する手順
株式会社を設立する場合の手順や必要な手続きを見ていきます。
1 法人設立手続きを進める「発起人」を立て、会社の法律とも言うべき「定款」を作成
2 定款に法的不備がないかどうか専門家からチェックを受け、正式に認証を受ける
3 出資金を金融機関に払い込む
4 設立時点の代表取締役が本店所在地を管轄する法務局に設立登記を申請
登記が済んだ後にも、管轄する年金事務所や税務署に必要書類を提出するなど、さまざまな手続きがあります。ちなみに、定款の認証が下りたら、会社名義の実印・銀行印を作っておきます。定款には、介護事業の内容を必ず明記します。
合同会社を設立する手順
次に、合同会社を設立する場合の手順や必要な手続きを見ていきます。
1 社名・本店所在地・資本金の額など「基本事項」を決める
2 定款を作成(株式会社とは違い、認証を受ける必要がありません)
3 出資金を金融機関に払い込む
4 本店所在地を管轄する法務局に設立登記を申請
設立後、税務署や年金事務所に対する手続きがあるのは株式会社と同じです。合同会社も、定款作成後には実印・銀行印を用意しておきます。
介護施設を開業するのに必須の事業者指定申請
介護施設を開業するのに資格や免許は要りませんが、国から「介護保険事業者」と指定されることは絶対条件となります。介護保険事業者に指定されるには、まずそれぞれの自治体に「事業者指定申請」を出さなくてはなりません。
ただし、事業所を新築したり改修したりして用意する場合は、指定申請を行うことについて事前に役所の担当課に相談しておきます。事業者指定申請の必要書類は、介護施設の種類によって違うので、開業する介護施設の種類に応じて準備します。
人員・設備・運営に関する該当基準をすべて満たしたら、事業を開始する1か月前に指定申請を行うのが一般的です。申請後、審査に通れば介護保険事業者として正式に指定されます。指定後には、施設管理者の研修、従業員の採用・教育、細かな備品の購入など、開業に向けた準備を行います。
介護施設を開業する上で必要な初期投資
介護施設を開業する場合に必要となる初期投資は、法人設立費用のほか、事業所として使用する物件の取得費、賃貸物件の場合は賃貸借契約にかかる敷金・礼金・前家賃・仲介手数料・保険料といった初期費用が必要です。法人設立費用は出資金額に応じて変動し、株式会社の場合は25万円~、合同会社の場合は10万円~かかります。
また、事業を行う場所を確保するための初期費用については、購入するのか賃貸で借りるのかによって大きく異なるだけでなく、物件の規模や立地などにも左右されます。さらに、介護施設ではさまざまな設備が必要なので、事業所を用意できても、設備基準を満たすために大がかりな改修工事を要することも多く、改修費用もまとまった出費となるでしょう。
その他にも備品を揃える費用、求人や集客のための広告費、被介護者を送迎するための車両代など、介護施設開業前後には何かとコストがかかります。賃貸物件で開業した場合でも、初期投資額は少なくとも500万円~1,000万円は見ておく必要があります。
介護施設の種類
介護施設とひと口に言ってもさまざまな種類の施設があり、入所型の施設もあれば訪問型の施設もあります。また、介護施設の中でも代表的な存在である「デイサービス」も複数のタイプに分けられます。ここでは、介護施設の主な種類について改めて押さえておきましょう。
・デイサービス(通所介護)
デイサービスは利用者が日帰りで通う介護施設です、利用者間の交流や娯楽等を交えながら、送迎や食事・排泄・入浴までサポートするサービスです。デイサービスは、高齢者が家にこもりがちになることを予防したり、孤独に陥ることのないよう働きかけたり、利用者の家族の介護疲れを防いだりといったさまざまな目的で運営されています。
なお、デイサービスの中には一般型のほか、運動機能の改善を目指すリハビリ特化型や、認知症特化型、療養タイプなど、利用者の状態や目的に合わせた複数のタイプの施設があります。デイサービスを開業するには、基準に沿った面積を有する事業所や幅広い種類の設備・人材の確保が必要です。デイサービスを開業するには、初期費用・運転資金ともに多額の出費を伴います。
・訪問介護
訪問介護は、利用者宅にホームヘルパーを派遣し、身の回りのお世話や家事支援を行うサービスです。訪問介護サービスを開業する場合、サービスを提供する場は利用者の自宅なので、利用者のための施設を用意する必要はありません。しかし、事務所の開設は必須ですし、訪問介護には必要不可欠な車両を管理するための駐車場も確保しなければなりません。
・グループホーム
グループホームは「認知症対応型共同生活介護」とも呼ばれる介護サービスです。認知症を患った利用者が少人数で共同生活を送る施設で、職員は生活面でのサポートを行います。日帰りのデイサービスとは異なり、自宅から離れて生活する施設です。グループホームは、小規模施設で開業するとしても1,000万円程度の初期投資額を見ておく必要があり、新築で施設を建てるとなれば億単位の投資が必要となることもあるでしょう。
・居宅介護支援
介護サービスのプランニングを専門とする有資格者「ケアマネージャー」に介護計画を立ててもらうための施設です。介護施設に併設されているケースも多いですが、居宅介護支援のみの独立した施設を開くこともできます。居宅介護支援は、介護サービスそのものを行うわけではないので、他の介護施設とは違い、比較的低予算で開業することが可能です。
介護施設開業に最適な賃貸物件とは?
介護施設にはさまざまなタイプがありますが、開業のために賃貸で施設を借りる場合には、事業者指定申請の基準に合うことが絶対条件となります。面積はもちろん、改修工事の可・不可、駐車場の有無などの条件をチェックしてから選ぶことが重要です。また、同業者が退去した後の物件であれば改修工事費用を節約することができるので、初期投資を抑えたい場合には居抜き物件を探すのも良いでしょう。
他にも、介護施設を開業するための事業所は、所在地の周辺に施設の利用ニーズがあるかどうかの見極めも重要です。若いファミリー層が多い新興住宅街の近くよりも、古くからある住宅街の近隣の方が、介護サービスの需要はあります。また、気になる物件が見つかった場合は、そこが高齢者人口の多いエリアかどうか、競合となる施設があるかどうかなど、開業後の集客に関わるポイントをチェックしてから契約を決めることをおすすめします。
まとめ
介護施設は、高齢化社会が進んだ地域社会になくてはならない存在です。介護施設開業を志す方は理想の施設を運営するためにも、開業までに必要なステップをよく確認して円滑な準備を心がけてください。法人格の取得と指定申請、資金調達がクリアできれば、理想の介護施設を開業できるまでの道のりは遠くありません。賃貸物件で事業を始める場合は、介護施設にふさわしい物件を的確に紹介できる不動産会社に仲介を依頼されることをおすすめします。
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