COLUMN
お役立ち情報
学習塾を開業する上で必要な手続きと初期投資の目安
個人や法人で学習塾を経営したい。学習塾を開業するにはどのような手続きが必要になるのでしょうか。具体的な計画を立てる前に、目安となる初期投資額や学習塾開業までの大まかな流れを知っておくことも重要です。この記事では、学習塾を開業する際に必要になる手続きや届け出・初期投資の目安について紹介します。
【目次】
1.学習塾開業までの流れ
2.個人で学習塾を開業する時に必要になる届け出
3.法人で学習塾を開業する時に必要になる届け出
4.学習塾の開業に資格はいる?
5.学習塾開業の初期投資の目安
6.今回のまとめ
学習塾開業までの流れ
将来塾を開業したいと考えていても、開業までの流れがわからないという方もいるのではないでしょうか?ここでは、学習塾開業までの大まかな流れを見ていきましょう。
事業計画書の作成
事業計画書は事業を経営する時の骨格となるものです。事業の理念や事業の目的・マーケット戦略や具体的な目標売上・競合についてなど具体的に記載します。学習塾のコンセプトについては、競合とは異なる独自の特徴を記載するといいでしょう。
事業計画書はできる限り具体的に記載することがポイントです。売り上げ目標まで記載することで、具体的にどのくらいの生徒が必要か、またはランニングコストがどれくらいになるかなどが見えてくるからです。
物件探しや周辺調査
塾を開業する地域にいい物件が見つかったら、近くに競合がいないかどうかや、競合の料金や評判なども確認しておくことをおすすめします。
融資の申込み
物件を探し始める前後で、借入先についても検討してください。事業計画書に具体的な数字を書くので、この頃には事業が軌道に乗るまでに必要な費用が把握できているはずです。
物件の賃貸契約
好物件が見つかったら、賃貸借契約を交わします。敷金・礼金・前家賃・前共益費・仲介手数料など、まとまった額の初期費用がかかります。
内装工事
内装工事は生徒や講師が授業を行いやすい間取りかどうかや、快適に授業が行えるサイズかどうかをよく確認しましょう。
従業員の募集
塾の規模によっては開業後しばらくは従業員を雇わないで行うこともあるでしょう。従業員を募集するために広告費がかかる場合もあります。
届け出の提出・開業
従業員を雇う場合は手続きも多くなります。従業員を雇ったら各種届け出を行い、ようやく開業となります。
個人で学習塾を開業する時に必要になる届け出
塾を開業する時は届け出が必要になりますが、届け出は個人か法人かでも種類が異なります。個人も法人も提出が必要になる書類もあるので、まずは共通で必要になる手続きを見ていきましょう。
労働基準監督署へ提出する書類
労働基準監督署には、「保険関係設立届」と「適用事業報告」を提出します。これらの書類は従業員を雇う場合のみに必要で、従業員を雇わない場合は提出の必要はありません。保険関係設立届は雇用保険の適用事業になった場合に、雇用者の労働保険の加入に必要な手続きをするための届出です。労働保険の加入は事業主の義務ですが、1週間の労働時間が20時間で31日以上働く見込みのある従業員が対象となります。
もう1つの書類の適用事務所報告は、簡単に言うと従業員を雇ったことを報告するための届出です。従業員が同居する家族の場合は必要がありませんが、アルバイトやパートなど、どんな雇用形態で従業員を雇った場合も提出する必要があります。この書類を提出しないと罰金の支払いが命じられることもあるため、注意が必要です。
公共職業安定所へ提出する書類
公共職業安定所(ハローワーク)へ提出する届出は「適用事業所設置届」と「被保険者資格取得書」の2つです。ハローワークで届け出る書類は、従業員を雇う場合のみに必要になります。これらの2つの届け出は、従業員の雇用保険に加入してもらうためのものです。事業開業に伴って従業員を雇った場合、雇用保険の適用が義務づけられていますが、「適用事務所設置届」は、雇用保険適用に必要な書類です。この書類は従業員を雇った日から10日以内に、公共職業安定所に提出しましょう。
「被保険者資格取得書」は、健康保険や雇用保険の加入が必要になる従業員がいる場合に提出する書類です。この書類は従業員の雇用から5日以内に提出しなければなりません。また、公共職業安定所に提出する2つの書類は、労働基準監督署での手続きが済んだ後になります。
法人で学習塾を開業する時に必要になる届け出
法人で学習塾を開業する時には、税務署や市町村役場に提出する書類がいくつかあります。必ず提出する書類・提出をおすすめする書類と、その他の書類に分けて紹介します。
税務署へ提出する書類
法人の場合に税務署へ必ず提出しなければならない書類は「法人設立届出書」です。そして、届け出ることを強くおすすめする書類が、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書」です。法人設立届出書は、会社を設立したら提出する必要があります。株式会社だけでなく合同会社や一般社会団体なども提出の義務があります。提出先は塾を開業する地域の税務署です。また、この書類は市町村の法人住民税担当部署や、都道府県税事務所の法人事業税課へも提出します。
「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書」とは、従業員の源泉徴収の義務の手間を減らすためのものです。この特例を利用すれば、給与支払い翌月の10日までに提出する源泉徴収が年2回になります。この特例の対象となる事業は、従業員が常時10人未満の事業です。対象となる学習塾は申請を検討してみてはいかがでしょうか。
その他の書類
法人で塾を開業する場合は、その他にも提出書類があります。しかし、これらは上記で説明した書類のように絶対に必要な書類ではなく、必要であれば届け出した方が良いという書類になります。
まずは、「青色申告」です。所得税の申告では白色申告ではなく、青色申告することをおすすめします。青色申告は税金の支払いを大幅に抑えることができるからです。毎日の簿記の記入が手間ですが、条件を満たしていれば最大65万円の税金の支払いを抑えられます。青色申告の提出先は、塾を開設する地域の税務署です。
必要なら申請したい書類の2つ目は、「棚卸資産の評価方法の届出書」です。この書類を提出すると、企業の在庫資産の金額の評価方法を選ぶことができます。この書類を提出しないと、自動的に「最終仕入れ原価法」という方法で在庫資産を評価されます。
学習塾の開業に資格はいる?
学習塾の開業に特別な資格は入りません。しかし、教員免許を保持している、または、塾講師の経験がある場合は信頼度が増します。実際にこれらは、保護者が子供のために学習塾を選ぶ時に確認する点とも言えます。塾講師経験がある人物が開業した塾の方が、保護者も何となく安心できることは確かです。さらに、教員免許を保持していれば、なおさら信頼度は増します。
もちろん、学習塾講師の経験がなくても、教員免許を保持していなくても経営について知識があれば、塾は開業できます。しかし、そのような場合は、自らが教壇に立つことはなく、あくまでも経営者として塾を運営していくケースが多いです。その場合は、塾のブランディングとして、経験豊かな講師陣を雇ったり、有名大学を卒業した講師陣のみに限定したりといったアピールポイントを持つといいでしょう。
自分が教える場合は、事業が軌道に乗るまでは従業員を雇わずに、しばらくは経営と講師の仕事を両立するケースもよくあります。複数の講師が在籍していなくても、自分自身の商品価値を分析して競合との差別化を図り、的確にターゲット層に訴求しましょう。
学習塾開業の初期投資の目安
学習塾に必要な初期投資は、約500~600万円と言われています。この数字は他の事業開業の初期投資と比較すると、極めて低い数字です。学習塾開業にかかる費用の内訳は下記の通りです。
● 物件の契約費
● 内装工事費
● 教材費
● 設備費
● 広告費
● 運転費用
賃貸物件の初期費用は約100万円と見ていいでしょう。もちろん、物件の賃料や保証金の額にもよります。規模が大きい物件や駅から近い物件は賃料も高く、地域によっても賃料に幅があります。保証金も家賃の6~12ヵ月程度ととても幅が広いため、あくまでも100万円は目安として考えてください。学習塾の内装工事費も約100万円前後と見ていいでしょう。
学習塾はとりあえず教室があれば事業は始められるので、他の事業と比べて内装工事にそこまで費用がかかりません。大切な点は、生徒が快適に学習できるスペースが確保できるかです。
また、個人授業を提供するなら、パーティションで分けるなど、レイアウトも工夫する必要があります。
次に教材費ですが、教材費は50~60万円程度が目安です。豊富な教材の数をアピールしたいなら、もう少し予算が上がるでしょう。設備費は教室に必要な家具です。椅子やデスク・黒板やパソコン・タブレット・本棚などで、150~200万円程度が目安となります。広告費には通常は50万円くらいはかかります。学習塾のサイトやSNSを作成したり、プロに依頼すればそれなりに費用がかかります。その他に、事業が起動に乗るまでの運転費用として、ランニングコストや生活費を売り上げなしでも、6ヶ月はカバーできる程度の資金も必要です。
今回のまとめ
学習塾の開業に必要な手続きや初期投資の目安について紹介しました。学習塾の開業には、届出のみで特別な許可はいりません。また、資格が必要なわけでもなく他の事業と比べ開業しやすいと言えます。
名古屋に本社を構えるオフィッコスは、オフィスや店舗などの賃貸仲介を専門に扱っている企業でございます。2012年の設立以来、多くのお客様からご利用いただき、ご希望に沿える物件をご案内できるよう、日々情報収集に努めております。常時50,000件以上の物件情報を有しており、ホームページに掲載していない情報も多数ございますので、オフィス・店舗の開設や移転を検討されている事業者さまは、まずは一度お気軽にお問い合わせください。