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2022.04.26

動物病院を開業する上で必要な手続きと初期投資の目安


動物病院を開業する際には、さまざまな手続きがあります。動物病院開業までの流れや初期投資の目安も知っておくと、事業の計画が非常に立てやすくなります。この記事では、動物病院開業までの流れや必要となる手続き届出と、動物病院開業の初期投資の目安について紹介します。

【目次】
1.動物病院開業の主な流れ
2.家畜保健衛生所への届出
3.税務署への届出
4.保険関係の届出
5.動物病院開業に必要な初期投資の目安
6.今回のまとめ

動物病院開業の主な流れ

動物病院開業に必要な手続きを知る前に、まずは開業までの大まかな流れを見ていきましょう。動物病院開業までの主なステップは以下のとおりです。なお、開業にあたり資金調達が必要になる場合は、物件を探す前に調達のめどを付けておきましょう。

1. 基本方針の決定
あらゆる事業を興す際に必要となるのが基本方針の決定です。大まかな開業時期や予算・場所・経営方針・経営理念・取り入れたい設備を詳しく書面にまとめましょう。
2. 物件探し
開業したい地域が決まったら物件を探しますが、その際は希望する地域の周辺調査も必ず行ってください。周辺に動物病院がすでに存在していないか、ある場合はその動物病院の評判なども調査するといいでしょう。物件を探す時は、医療機器を設置するスペースを確保できるか、そして、働きやすい間取りかどうかを確認する必要があります。
3. 事業計画書作成
事業計画書とは事業の運営や行動を具体的に書いた計画書です。例えば月間売上や年間売上の目標、事業の将来的な方向性などをできる限り詳しく書きましょう。銀行に借入を希望するなら、この事業計画書をより詳しく作成することで、審査に合格しやすくなると言われています。
4. 物件の内装工事
内装工事は設計会社とじっくり相談することが大切です。動物病院は、動物の臭いや騒音に配慮して素材を選ばないとなりません。診察室や手術室・入院室の間取りは機能しやすいかどうかで決めてください。内装工事が終了する頃には、医療機器の選定や購入が必要になります。医療機器は予算に余裕がない場合はリースすることも可能です。リースは一度の大きな出費は避けられますが、毎月の固定費になるため、運転資金との兼ね合いで検討する必要があります。出費を抑えたいなら、医療機器を中古で購入する方法も検討しましょう。
5. 従業員募集・広告
従業員を募集する際は、雇用形態や給与の限度額を決め、開業に必要な人数だけを雇用すると固定費の増加を防げます。
6. 届出の提出
動物病院開業に必要な手続きを行ったらようやく開業です。必要な届出については、次章で解説します。

家畜保健衛生所への届出

家畜保健衛生所へは「診療施設開設届」「エックス線装置設置届」という2種類の届出が必要です。診療施設開設届は動物病院を開設した際だけでなく、動物病院の休止や廃止をした場合にも提出が必要になります。
そして、個人から法人に切り替える場合や動物病院の所在地を変更する場合にも必ず届け出てください。この書類の提出期限は開業から10日以内で、届け出先は、動物病院がある地域の家畜保健衛生所です。新しく動物病院を開設する場合は、獣医師免許証の原本や写し・動物病院の平面図・最寄駅から動物病院までの地図、法人の場合は定款も提出する必要があります。
エックス線装置設置届は動物病院にエックス線を設備しなければ、提出の必要はありません。この届出も同じように、開業から10日以内に、動物病院のある地域の家畜保健衛生所へ提出してください。

税務署への届出

税務署へ提出する書類は「個人事業開業届出書」(法人の場合は「法人設立届出書」)・「青色申告承認申請書」・「事業開始等の届出書」の3つです。その他にも必要に応じて提出する書類がいくつかあります。

個人事業開業届出書・法人設立届出書

個人事業者が事業を開業したら必ず、個人事業開業届出書を届け出なければなりません。一方、法人の場合は法人設立届出書を提出します。個人の場合は開業から1ヵ月以内、法人は開業から2ヶ月以内が提出期限となっています。個人も法人も、事業を開始したら必ず提出すべき書類で、提出先は動物病院のある地域の税務署です。

青色申告承認申請書

青色申告承認申請書は、青色申告を希望する場合のみ提出が必要です。所得税の申告には白色申告と青色申告の2種類があります。白色申告は、時期に関係なく申請することができ、簿記や確定申告の記入も簡単な点がメリットです。一方で青色申告は、個人の場合は事業開業から2ヶ月以内に申請しないとなりません。
法人の場合は事業開始から3ヵ月が過ぎた日と、開始後の事業年度終了日のどちらか早い日と提出日が決められています。また、毎日の簿記を複式簿記で行う事が義務付けられており、作業も白色申告よりも複雑で手間もかかります。しかし、青色申告をすると、最大で65万円も税金の支払いを抑えることができます。赤字を3年間繰り越すことができ、家族への給与も経費にまわせることが可能です。税金面で非常に有利ですので、手間がかかっても青色申告をおすすめします。

事業開始等の届出書

開業開始等の届出書は、個人と法人により届出の種類が異なります。個人の場合は、「開業等届出書」、法人の場合は「法人設立・設置届出書」が必要です。これらの書類は各都道府県税務署へ提出します。提出日は、各都道府県により異なるため確認が必要ですが、通常は開業から2週間~1ヶ月までに提出するよう定められていることが多いです。

その他の届出書

ここまでで紹介した届出は、動物病院開業に必須の手続きばかりですが、その他にも、必要に応じて書類を準備します。「消費税課税事業者選択届出書」「棚卸資産の評価方法の届出書」「納期限の特例に関する届出書」などは、提出が義務付けられているわけではありませんが、事業計画によっては有利になることがあるので、気になる方は税務署に確認してみましょう。

保険関係の届出

保険関係の届出は従業員を雇った際に必要になります。まずは、ハローワークに提出する書類から紹介しましょう。ハローワークに提出する書類は「被保険者資格取得届」「雇用保険適用事業所設置届」です。
被保険者資格取得届は、従業員の雇用保険の加入に必要な書類です。従業員の雇用形態に関わらず原則として加入する必要があります。この届出は従業員を雇った日の翌月の10日までに提出が必要です。提出はハローワークの窓口まで持参してもいいですが、郵送・電子申請でも行えるので、時間に余裕がなければ利用しましょう。
雇用保険適用事務所設置届は、事業を開業して従業員を雇う場合に必要になる届出です。たった一人従業員を雇用するだけでも必要になります。事業を開業すると雇用保険の適用が義務付けられており、この届出は適用を受けるために申請します。この届出の提出期限は従業員を雇った翌月の10日までです。
さらに、労働基準監督署あてには、「労働保険関係成立届出書」と「概算保険料申告書」を提出します。1つ目の労働保険関係成立届出書は、従業員の保険加入を行うために必要な書類です。この届出をしないと、従業員を雇用保険に加入させることができないので注意しましょう。提出は従業員を雇った日から10日以内に行ってください。概算保険料申告書ですが、この書類は労働保険関係成立届が成立した後に記入する届出です。提出は保険関係が成立してから50日以内と決められています。その年の労働保険料を換算して、換算保険料として申告・納付します。

動物病院開業に必要な初期投資の目安

動物病院開業には、大体2,000~3,000万円くらいが必要だと言われています。クリニックの開業の初期費用の目安は5,000~1億円と言われているので、それと比較すると費用は低いです。動物病院開業に必要となる費用には下記のようなものがあります。

● 物件の賃貸契約料
● 内装工事費
● 医療機器費
● 医療消耗品
● 運転資金
● 広告費
● 人件費

賃貸物件を借りて動物病院を営業する場合は、賃貸契約費用が重い負担となります。賃貸契約には、通常家賃の6~10ヶ月分程度の金額が保証金として必要で、家賃は動物病院を開業する場所や大きさによっても異なります。目安としては賃貸契約料だけでも200~300万円は準備しておいた方がいいでしょう。
また、内装工事費ですが一般的には、動物病院開業の内装工事にかかる費用は坪あたり40万円と言われています。つまり、坪が40坪の物件なら1,600万円が目安です。医療機器の購入費用は500~1,000万円程度が目安です。ただし、医療機器はリースをしたり中古品を購入することで、初期費用をある程度抑えることができます。ちなみに、医療機器は新品でも数年で修理が必要になることもあるため、中古品を購入したことでかえってコストがかさまないよう注意が必要です。診察台やエックス線撮影装置・麻酔器や顕微鏡など、まずは最低限必要になる医療機器から揃えていってもいいでしょう。
運転資金は、事業の売上が安定するまでの生活費や運営費として必要です。事業を開業するなら、最低でも6ヵ月分の生活費と運営費は用意しておいた方がいいでしょう。さらに、自社サイト立ち上げなどに要する広告費、採用のための費用や人件費も必要です。開業に自己負担だけでは厳しい場合は、銀行からの借入を検討してもいいでしょう。

今回のまとめ

動物病院の開業に必要な手続きや初期投資について紹介しました。手続きにはさまざまな届出が必要ですので、どれも期間に余裕を持って準備をしてください。
名古屋に本社を構えるオフィッコスは、オフィスや店舗などの賃貸仲介を専門に扱っている企業です。2012年の設立以来、多くのお客様からご利用いただき、ご希望に沿える物件をご案内できるよう、日々情報収集に努めています。常時50,000件以上の物件情報を有しており、ホームページに掲載していない情報も多数ありますので、オフィス・店舗の開設や移転を検討されている事業者さま、お気軽にお問い合わせください。

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