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オフィス環境の作り方

2022.04.13

オフィス・事務所にパーテーションを設置する上で注意すべきポイント


「オフィス内に区切られた来客対応スペースや会議室を作りたい」「コロナウイルス感染症対策にパーテーションを設置したい」など、さまざまな理由からオフィスや事務所内へのパーテーションの設置を検討している事業者様も多いことでしょう。工事が不要で、すぐに設置できるパーテーションは、多くの企業で重宝されていますが、深く考えずに設置してしまうと、思わぬデメリットを産んでしまうかもしれません。
この記事では、オフィスや事務所にパーテーションを設置する上での注意ポイントについて解説します。

【目次】
1.賃貸オフィスにパーテーションの設置は可能?
2.パーテーション設置には消防法に注意
3.欄間の状態で選ぶ2タイプのパーテーション
4.パーテーション設置工事前に確認すべき注意点
5.今回のまとめ

賃貸オフィスにパーテーションの設置は可能?

賃貸オフィス・事務所でも、物件オーナーや管理会社の了承が得られればパーテーションを設置することができますが、設置工事が必要な場合には、管理会社などに対して事前連絡・相談が必要です。移動式で天井や床に固定しないパーテーションの場合は、基本的に許可は不要ですが、天井まで設置するタイプのパーテーションはアンカーを天井に打ち込むため必ず確認しましょう。無許可で天井に穴を開けてしまうと、後々トラブルになりかねません。
また、賃貸オフィスの工事は、A工事・B工事・C工事と工事区分が分かれます。ビルの管理側が施工業者の指定や手配・費用負担も行うA工事に対し、B工事は費用負担のみがテナント負担となります。C工事の場合は、A工事で請け負う分担のすべてをテナントが行います。パーテーション設置工事の場合、B工事かC工事が一般的ですが、念のため工事区分も含めて確認しておきましょう。

パーテーション設置には消防法に注意

設置するパーテーションによっては、消防法に基づく諸手続きが必要なケースがあります。どのような手続きが必要なのか見てみましょう。

消防署への届出が必要なケース

天井まで届くパーテーションを設置する場合は、消防法に基づく2つの届出が必要です。「防火対象物工事等計画届出書」は施工工事の7日前までに、「防火対象物使用開始届出書」は使用開始日の7日前までに提出する必要があります。オフィスの平面図をはじめとした複数資料の添付も義務づけられており、各届出書の提出先は、オフィスがある場所を管轄する消防署です。
消防法に基づく届出の目的は、災害時に消火・排煙設備が正常に作動しなかったり、安全な避難経路を確保できなくなったりするリスクをなくすことです。パーテーションを設置すると密閉性が高まり、空気の流れが遮られる危険があることを覚えておきましょう。
なお、パーテーションを設置する上では、天井との距離などにも規定があるので、事前に確認しておく必要があります。

火災報知器などの設置が必要なこともあり

パーテーションを新たに設置する際には、火災報知器の設置が必要です。消防法では、延べ面積1,000㎡以上のオフィスには火災報知器の設置を義務付けています。そのため、オフィスの面積によっては、新たに火災報知器の設置が必要となる場合があります。ただし、パーテーションを設置する位置を工夫することにより、これまで使ってきた火災報知器を有効的に活用できることもあります。
また、パーテーション設置によって排煙設備が必要となることもあります。排煙設備の設置には、消防法と建築基準法の2つの法律が関わっており、いずれの法律も法改正が行われることが多いため、最新情報のチェックを怠らないことはもちろん、設置工事が必要な時には専門家に相談することも重要です。

欄間の状態で選ぶ2タイプのパーテーション

パーテーションは天井からの空間(欄間部分)の有無によって2つに大別することができます。どちらを選ぶかで、前述の消防法に抵触するかどうかや工事費用が変わります。

欄間が開いているもの

天井とパーテーションの間に空間があるタイプは、天井からの距離を全体の4分の1〜5分の1程度取るのが一般的です。このタイプは空気を遮断・密閉しないため、エアコンの風が届きやすいのがメリットと言えます。ただし、エアコンの位置や欄間の幅によっては、必ずしも空調の効率が良くなるわけではありません。
新たなエアコンや排煙設備の設置が不要な分、工事費用が抑えられる一方で、室内で話す声や音が外に漏れてしまうというデメリットも生じます。

欄間が開いていないもの

欄間が開いていないタイプは、天井との間に空間を空けずに設置するパーテーションです。ほぼ完全に密閉された空間となるため、音漏れなどのリスクが低く、セキュリティ性が高いのがメリットで、会議室利用などに向いています。
一方で、ほぼ完全な密閉空間が1つ増えるため、エアコンや照明を新たに導入する費用がかかる点はデメリットです。窓ガラスがない場合には、感染症対策用に換気設備の導入も検討しましょう。
このように、増設工事が必要となると費用がかさむ傾向にあります。消防法に基づく火災報知器や排煙設備の設置が必要なケースもあるため、必ず確認することをおすすめします。

パーテーション設置工事前に確認すべき注意点

パーテーション設置工事前に確認すべき注意点にはどのようなものがあるのでしょうか。トラブルを回避するために重要となるポイントを紹介します。

原状回復費用の確認

賃貸オフィスでパーテーションを設置するには、原状回復費用についての確認が必須です。天井に設置するタイプのパーテーションでは、安定性を高めるために天井にアンカーを打ち込みます。
多くの場合、退去時に天井の原状回復工事や廃材処理が必要となるため、パーテーション設置工事の可否とともに、管理会社などに対して原状回復費用を確認するようにしましょう。パーテーションを設置する箇所が増えれば増えるほど、原状回復に要する費用がかさむので、必要性を十分検討した上で設置することが大切です。
遮音などの必要がない場所には、移動式のパーテーションを採用するのも良いでしょう。

天井設備の確認

オフィスの天井には、「グリッドシステム天井」「従来工法天井」「ライン型システム天井」の3つのタイプがあります。欄間が開いてないパーテーションを設置しづらいケースもあるため、事前に管理会社等に確認しておく必要があります。それぞれの天井の特徴を簡単に紹介します。

・グリッドシステム天井
天井パネルが格子状にはめ込まれているタイプです。部分的にパネルなどを交換しやすいのが特徴なので、原状回復工事もしやすいでしょう。

・従来工法天井
軽量鉄骨で組まれた天井の下地にボードを組み合わせて作られています。そのため、照明器具などの天井設備の移転がしづらいのが特徴です。一般的なオフィスの天井は、従来工法天井で作られていることが多いため、オーナーや管理会社に確認しておきましょう。

・ライン型システム天井
照明器具・火災報知器といった天井に設置される設備と天井仕上げ材を一体化して組み立てるタイプです。天井設備の移転やパーテーション設置工事もスムーズに行いやすいタイプと言えます。

照明やエアコンの確認

パーテーションを設置した場所に、新たに照明やエアコンが必要かどうかも確認しておく必要があります。欄間が開いていないパーテーションの場合は、照明・エアコンの追加設置が必須となるでしょう。
ただし、エアコンの増設にあたっては、室外機の位置が遠いと配管距離が長くなり、コストがかさむ可能性もあります。どちらのタイプのパーテーションを設置するのか、設置場所をどこにするのかはよく検討する必要があります。

エレベーターへのパーテーション搬入可否

欄間が開いていないパーテーションを設置する場合は、高さがあり大きなサイズになることがほとんどです。搬入時にオフィスビルのエレベーターに収まりきらない可能性があるため、エレベーターが使えない場合は、高所作業車で搬入したり、人力で階段を使って搬入したりすることとなります。
もしエレベーターに入ったとしても、エレベーターの破損防止のために、養生が義務付けられているケースもあります。搬入ルートについては、オーナーや管理会社とも相談しながら施工会社と打ち合わせするようにしてください。

騒音対策で注意したい作業時間帯

天井にアンカーを打ち込むタイプのパーテーションを設置する場合は、近隣との騒音トラブル予防のためにも工事の時間帯決めに注意が必要です。アンカーを打ち込む際は大きな音や振動が発生します。特に、オフィスビルの場合は、他のオフィスが休みの土日に限定して工事を行うケースも珍しくありません。クレームを避けるためにも、パーテーション設置工事の日程や時間帯は、オーナーや管理会社と他のテナントにも事前連絡をし、相談してから決定することをおすすめします。

今回のまとめ

パーテーションの設置は、限られた空間内に有効にスペースを確保したり、容易にレイアウト変更ができたりとメリットがある一方で、消防法に準じたものにする必要があります。また、工事費用や原状回復費用を想定した上で、パーテーションのタイプや設置場所を選ぶことが大切です。
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