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賃貸を事務所兼自宅として使用する場合に注意すべきポイント
起業してすぐに借りるとなると、初期費用もランニングコストもかかってしまうため、負担が大きいかもしれません。個人事業主として一人で仕事をするような職種の場合、「自宅を事務所として使用する」という選択肢を取る方も多いです。賃貸を事務所兼自宅にすることもできますが、事業用賃貸物件と居住用賃貸物件は全く異なります。そこで、自宅を事務所にする際はどちらが適しているのか解説していきます。
【目次】
1.事業用賃貸物件と居住用賃貸物件の違い
2.賃貸を事務所兼自宅にする場合
3.居住用物件を事務所として使用する
4.事務所兼自宅の良い点
5.事務所兼自宅の悪い点
6.事務所兼自宅の注意点
7.今回のまとめ
事業用賃貸物件と居住用賃貸物件の違い
原則として、事業用賃貸物件と居住用賃貸物件は分けて考えられています。まず、事業用賃貸物件は「商売をするために使用する」という目的があり、従業員やお客様などの出入りがあることが前提です。借主自身が暮らすために借りる居住用賃貸物件とは、目的が大きく異なります。
また、事業用賃貸物件と居住用賃貸物件の大きな違いは、固定資産税の税率の違いです。事業用賃貸物件は、居住用賃貸物件に比べて税率が高くなるため、所有しているオーナーや管理会社の負担が大きくなるほか、居住用賃貸物件の家賃収入は非課税ですが、事業用賃貸物件の賃料収入は課税対象です。
このような使用目的と税率の違いから、事業用賃貸物件と居住用賃貸物件は基本的に分けて考えられています。
賃貸を事務所兼自宅にする場合
次に、借りる側として事業用賃貸物件と居住用賃貸物件にどのような違いがあるのか見ていきます。事業用賃貸物件は従業員やお客様など、多くの人が出入りするため建物の劣化が早くなります。そのため、賃料は、居住用賃貸物件に比べて高く設定されています。
また、賃貸物件を借りるときには敷金や礼金などの初期費用がかかってきますが、事業用賃貸物件はこの初期費用がかなり高額になることが多いです。そもそも賃料が高く設定されているため、「賃料の◯ヶ月分」として算定される初期費用も連動して高くなることに加え、居住用賃貸物件と比べて、保証金(敷金)の額もかなり高く設定されています。事業が低迷した場合、賃料の滞納が起きる可能性があるためです。一般的に保証金は賃料の3ヶ月から6ヶ月以上に設定されていることが多いです。さらに、居住用賃貸物件では退去の通知は一ヶ月前通知が主流ですが、事業用賃貸物件の場合は、3ヶ月〜6ヶ月前までに通知をしなくてはいけません。
このように、事業用賃貸物件を事務所として使用することは、居住用賃貸物件を使用する場合に比べてデメリットが大きく、初期費用も何倍にもなってしまう可能性が高いです。そのため、どちらかというと居住用賃貸物件を借りて事務所とする方がおすすめです。
居住用物件を事務所として使用する
起業してすぐに、初期費用が多くかかる賃貸オフィスを借りるのは、負担が大きくなりがちです。また、上述したように賃貸オフィスの場合は、居住用賃貸物件と比べて初期費用も賃料も高くなります。そのため、もし事務所兼自宅にする場合は、事業用賃貸物件ではなく、居住のための物件を事務所として使用するのがいいでしょう。
居住用物件を事務所として使用するにあたって注意しなければならないのは、「事務所使用可」という条件のある居住用賃貸物件を選んだ方がいいということです。居住用の物件は基本的に生活のための物件ですので、従業員やお客様の出入りが激しいような業種は、オーナーに敬遠される可能性が高いでしょう。あまり不特定多数の出入りがあるようだと、近隣住民への影響やトラブルがあるかもしれないからです。そのため、居住用賃貸物件では事務所利用を嫌がるオーナーも多く、事前相談が必要になってきます。
事務所利用する予定なのに、居住目的であると偽って入居をすることはおすすめしません。後々、人の出入りなどで事務所利用していることが伝わってしまった場合、契約違反として退去を求められたり、違約金の支払いが発生する可能性があります。一方で、あまり人の出入りがなく、一人で自宅作業するような業種であれば、「事務所使用可」の物件を問題なく借りられる可能性が高いです。
契約前にオーナーや管理会社に必ず了解を得た上で、賃貸借契約書にもその旨を記載してもらいましょう。
事務所兼自宅の良い点
それでは、事務所兼自宅の良い点とはどんなところでしょうか?
初期費用が抑えられる
まず、賃貸オフィスは賃料設定が高いため、初期費用が多くかかります。特に保証金は6ヶ月以上払う場合もあるので、かなり高額になってくるでしょう。また、事務所用の内装にするために工事が必要かもしれませんし、備品やオフィス家具を揃える必要もあります。インターネット回線を引いたり、事業がスタートすればすぐに家賃、光熱費、共益費などを払っていかなくてはなりません。
しかし、自宅で事務所を構えるのであれば、このような初期費用はすべてカットすることができます。初期費用を抑え、かつランニングコストも抑えられるのが事務所兼自宅の良い点の一つです。
時間の節約が出来る
通勤がないことも、良い点の一つになります。毎朝駅まで行き、満員電車に乗り会社へ行き、夜また電車に乗って帰ってくるという時間が丸ごと短縮できるのです。その空いた時間を、自分や家族のために使うことができるというのは、とても有意義でしょう。特に子育て中の方や介護が必要なご家族がいらっしゃる方にとっては、仕事との両立がしやすくなります。自宅をオフィスにすることで、ご家族に何かあってもすぐに駆けつけることができるからです。
仕事の時間を自由に調節し、ご家族のことも支えられて、更に自分の時間も取ることができるのは、自宅をオフィスにしているからと言えます。
節税出来る
節税という点でも事務所兼自宅は良いでしょう。自宅を事務所として利用することで、家賃や光熱費などを経費として計上することが可能となります。自宅内で事務所として使用している面積や時間を基準とし、按分して算出します。
事務所兼自宅の悪い点
事務所兼自宅は良い点ばかりではありません。どのような点がデメリットなのか見ていきます。
自己管理が必要
自宅で仕事がいつでも出来るのはとても便利な反面、自己管理が重要になってくるでしょう。自宅にはテレビを始め、プライベートな誘惑がたくさんあります。仕事のオンオフの区別がつかず、ついだらけてしまう可能性が高いというのが事務所兼自宅の悪い点です。誘惑に打ち勝ったとしても、逆に仕事に集中しすぎて外に出ず、運動不足になってしまったり、うまく休憩を取れずにストレスを溜めてしまったりということもあるでしょう。
会社のように「仕事のときは場所を変える」という切り替えがないため、プライベートと仕事の区別がつかなくなってしまうのが、事務所兼自宅の悪い点といえます。
信用面の低下
自宅を事務所として利用している場合、社会的にはどうしても信用が落ちてしまいます。信用面でマイナスに思われてしまい、仕事のチャンスを逃すということもあるかもしれません。特に企業を相手にした取引などは、自宅ではなく独立して事務所を構えていた方が信頼されます。都心などにしっかり事務所を構えていると、ビジネスが軌道に乗っていてきちんとしているという印象を与える事ができるからです。
プライバシーの問題
仕事に名刺は必要不可欠ですが、名刺やホームページに自宅の住所を記載することになってしまうので、リスクがあります。特に若い女性はストーカー被害を受けてしまう可能性もありますし、家族と同居している場合は、その家族に対しても安全面の不安が生じるでしょう。ビジネス上の打ち合わせで事務所に来てもらう場合、個人的な知り合いではないのに、自宅住所を知られてしまうことになるため、やはりセキュリティの面からも心配がありそうです。
法人登記ができないケースも
居住用賃貸物件を事務所として法人登記する場合は、登記ができるかどうかをオーナーや管理会社に確認する必要があります。契約上できない可能性もありますし、追加の敷金などが必要になるかもしれません。また、ポストや表札に会社名の入ったプレートを設置していいかどうかも、オーナーや管理会社に確認しなくてはいけないので注意が必要です。
事務所兼自宅の注意点
居住用賃貸物件を事務所として使えるかどうかは、契約書の内容次第です。物件を探している段階であれば、「事務所使用可」の物件を選べば、あまり問題はないでしょう。しかし、その場合でもオーナーや管理会社に対して事業内容は開示し、問題ないかどうかを相談した方がいいです。後々のトラブルを避けるために、入居契約の前に必ず許可を取るようにしてください。
許可が取れるかどうかは業種によります。従業員の雇用がなく、来客もないような事業であれば認められることが多いでしょう。例えば、インターネットを使った仕事や、ライター、デザイナー、イラストレーターなどのクリエイター職は許可される可能性が高いです。
逆に許可されない可能性が高い業種は、住民に迷惑がかかる恐れがあるものになります。例えば、匂いや騒音、粉塵が出る、不特定多数の来客が多い、特殊な機械を使う、というような仕事です。例としてはネイルサロンやエステサロンなどが挙げられます。
今回のまとめ
今回は、事業用賃貸物件と居住用賃貸物件の違いから、居住用物件を事務所として使用する際の良い点、悪い点、注意点などについて解説してきました。賃貸オフィスを事務所兼自宅として使用するとコストが高くついてしまうため、居住用賃貸物件で許可をもらって事務所を構える方がおすすめです。
名古屋に本社を構えるオフィッコスは、オフィスや店舗などの賃貸仲介を専門に扱っている企業です。2012年の設立以来、多くのお客様からご利用いただき、ご希望に沿える物件をご案内できるよう、日々情報収集に努めています。常時50,000件以上の物件情報を有しており、ホームページに掲載していない情報も多数ありますので、オフィス・店舗の開設や移転を検討されている事業者様は、お気軽にお問い合わせください。