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2022.04.01

オフィス・事務所を借りる会社が知っておきたい税金のこと

オフィスや事務所を借りて事業を開始する際は、納めなくてはならない税金についても把握しておく必要があります。個人事業者が払う税金にはどのような種類があるのでしょうか。さらに法人の税金の種類や、個人事業者と法人の税金の違いについても見ていきましょう。

【目次】
1.個人事業者が払う税金の種類
2.節税するためにすべきこと
3.事務所税がかかるケースとは?
4.法人が払う税金の種類
5.今回のまとめ

個人事業者が払う税金の種類

事業を行っている個人が納める税金の種類は4種類あります。それぞれがどのような内容の税金なのか、また、納付先がどこなのかなどを詳しく説明します。

住民税

住民税は事業を行う全ての事業者が払う義務のある税金です。この税金は、オフィスや事務所の位置する都道府県と市町村に納めます。支払いは年4回に分けて払うか、年に1回まとめて払うかの2通りです。年4回に分けて払う場合は、6月・8月・10月・1月の4回、そして、年1回の場合は6月に払います。確定申告後に請求書が届いたら、都道府県と市町村に払う分を一括にまとめて、市町村に納めてください。
ここで注意したいのが、税金の計算方法です。個人事業者は給与所得者とは異なる方法で計算し、個人事業者の場合、住民税は「所得割」と「均等割」の2つの合計で算出されます。所得割は前年の所得金額により金額が異なり、所得の割合に応じて課税されます。均等割は所得に関係なく均等に課税されます。これらの金額は市町村により金額や割合が異なるため、金額を算出する際は、市町村に確認してください。

所得税

所得税も住民税と同じく、個人で事業を行っているすべての事業者が対象となる税金です。所得税は所得の割合により納税金額が異なります。前年度の所得額が高いほど、金額も上がります。所得税の納付先は国ですので、毎年2月中旬~3月中旬に前年度の所得の確定申告を行い納税します。
納税額の計算の仕方は、所得額×税率で計算され、多くの場合税率は10%です。(所得金額-所得控除額)×10%-税額控除額。これで納税額が計算できますので、確定申告の時期が来たら、オフィスや事務所のある市町村へ税率について確認してください。

消費税

個人事業主に消費税が課税される条件は、基本的に3つあります。
1つ目は、前々年(基準期間)の課税売上高が1,000万円を超えた場合です。あくまで前々年、つまり2年前の売上に対して課税されますので、開業から最初の2年間は消費税免除となり、3年目から課税事業者となることを覚えておきましょう。
2つ目の条件は、前年の1月1日~6月30日までに1,000万円以上の売り上げがある、もしくは1,000万円以上の給与を支払っている場合。これは開業の翌年から適用になるので注意が必要です。
3つ目は消費税課税事業者選択届出書を提出している場合です。消費税の大きなポイントは、売り上げが1,000万円以上の場合のみ課税対象になる、という点です。売り上げがそれ以下の場合は免税事業者として扱われるため、消費税を納税する必要はありません。

個人事業税

個人事業税は事業所得が290万円以下の場合は対象になりません。個人事業税は事業の内容によって納める税金で、都道府県に納めます。事業所得が290万円以上でも、事業税がかからない業種もあります。業種によって免除になる場合もあり、自治体により税率が異なります。そのため、詳細はオフィスや事務所がある市町村に確認してください。

節税するためにすべきこと

事業を行う場合は、税金が負担になるケースがとても多いですが、上手に節税することで、納税額を減らすことができます。専門家に相談することも良いのですが、事業者自身が多少の知識をつけておくことも大切です。それでは節税の3つのポイントを紹介します。

確定申告は白色申告ではなく青色申告にする

確定申告の申告方法には「白色申告」と「青色申告」の2種類があります。白色申告は記帳の仕方は簡単ですが、青色申告の方が節税できるので、面倒でも青色申告を選ぶことをおすすめします。白色申告は収支内訳書を確定申告の際に提出するのみで、記帳も簡単な方式で行えます。
一方で、青色申告は複式簿記方式という方式で、毎日の収支を記帳しなくてはいけません。また、確定申告の際も損益計算書や貸借対照表といった書類を提出する必要があります。しかし、そうすることで10〜65万円の特別控除を受けることが可能です。控除金額は10万円・55万円・65万のいずれかで、事業内容や提出書類により控除金額が決まります。

少額減価償却資産の特例を利用する

減価償却とは固定資産の購入にかかった費用を分散して計上する会計の方法で、この特例を活用することで、2~3年の減税効果があります。「少額減価償却資産」と呼ばれる特例は、一定の条件を満たした事業が対象になります。
その条件には、青色申告の申請をしていることや所得資産が30万円以下で、年度内での合計は300万円以下であることなどが挙げられます。この特例を活用すれば、10万円以上で30万円未満のものなら一括で経費として処理できるため、大きな減税につながります。

経費を見直す

事業者が払う税金の中で、最も割合が高いのが所得税です。つまり、所得税を節税すれば、大幅に税金にかかる金額を抑えられることになります。
そこで事業者が行いたいのが、経費の見直しです。課税金額から課税控除額が差し引かれる金額が多いほど節税できるため、課税控除額をいかに増やすかが減税のポイントになります。課税控除額を増やすためには、事業でかかった費用をできるだけ経費で計上することです。
経費として計上できる費用は非常に多く、交通費や消耗品費用・接待交際費・通信費・賃料・従業員の給料・福利厚生費などが具体的な例です。それらを経費として計上するだけで、減税につながります。税金に関しては経費に計上できる税金とできない税金があるので、注意が必要ですが、自動車税・不動産所得税・消費税・固定資産税・個人事業税・印紙税などは経費にできるためしっかりと計上しておきましょう。なお、所得税や住民税贈与税などは経費には計上できません。

事務所税がかかるケースとは?

事務所税は事業を行う全ての事業者にかかる税金ではありません。事務所税は、決められた市町村で事業を行う一定規模の事業にのみ課せられる税金です。この税金は、人口が30万人以上の都市の環境や整備にかかる費用にあてる目的で課されます。
対象となる地方は、東京都やさいたま市・船橋市・前橋市などの他、中部地方では名古屋市・豊橋市・豊田市・岡崎市・金沢市といった都市が対象になります。対象となる地域にオフィスや事務所を置いている一定規模の事業のみが対象ですが、オフィスや事務所を移転した際には注意が必要です。事務所税が対象外の地域から対象となる地域へ移転した場合も、事務所税を払う必要があるため、その点は気を付けてください。
事務所税の申請方法ですが、2つの課税方法から選べます。1つ目は、オフィスや事務所の床面積に対して課税する方法(資産割)で、2つ目は従業員の給与に対して課税する方法(従業員割)です。資産割は事業所の床面積1㎡あたり600円で計算します。従業員割は従業員の給与の総額の0.25%で計算します。個人事業者の場合の事務所税の納付期間は年度終了の翌年の3月15日までです。なお、法人に関しては年度終了から2ヶ月以内と納付期間が異なるので注意が必要です。

法人が払う税金の種類

法人の税金は個人事業の税金とは種類や計算の仕方が異なります。法人に課せられる税金の種類は5種類あるので、それぞれの税金について簡単に説明します。

法人住民税

法人住民税は個人事業者と同じように、社会の一員として法人にも課せられる税金であり、オフィスや事務所の位置する都道府県や市町村に納めます。
この税金は「均等割」と「法人税割」の2つから成ります。均等割はオフィスや事務所のある市町村や、企業の資金や従業員数に応じて金額が異なります。また、法人税割も同じように、事業の位置する区域や法人税額により金額が異なるため確認が必要です。法人住民税の申告は決算月から2ヵ月以内と定められているので気を付けましょう。

法人税

法人税は法人の所得に課せられる税金で、この税金は国へ納めます。法人税の金額は、事業の所得額に応じて変わります。法人税の金額は課税所得×税率-税額控除額で計算できます。法人税の税率は個人事業にかかる税率よりも低く、多くても23.4%です。減税のために、個人事業者も事業にかかる費用を経費にまわすことができますが、法人の場合役員報酬も経費として計上できるためさらに有利です。法人税の申告は、決算月から2か月以内になります。

消費税

消費税は個人事業者だけでなく法人にも課せられます。課税対象となる条件は先ほど説明した個人事業とほぼ同じですが、基準期間が「前々年」ではなく「前々年度」となる点には注意が必要です。また、資本金が1,000万円を超える場合、開業の翌年から課税事業者扱いとなり、2年間の免除が適用されなくなってしまいます。法人設立の際は消費税対策も視野に入れて資本金額を決めるとよいでしょう。

法人事業税

法人事業税は各都道府県で事業を行っていることに対して課せられる税金です。税額は、法人の取得額×税率で計算することができ、税率は所得や資本金額・法人の種類などにより変わります。
普通法人の区分に属し、令和元年10月1日移行に開業した企業なら、年間所得が400万円以下の場合の税率は3.5%、400~800万円なら5.3%、800万円以上なら7%の区分になることが普通です。税率はさまざまな点から細かく分けられているので、各自治体の公式サイトで確認するといいでしょう。

源泉徴収

法人は源泉徴収義務者となります。そのため従業員の給与から住民税や所得税を引いた金額を納付しないとなりません。年末に年末調整をする必要があります。申告は、徴収月の翌月の10日です。納期の特例対象となっている場合は、7月10日です。

法人が払う税金について見てきました。法人と個人事業では申告時期に大きな違いがあります。また、法人は経営者自身にも給与を支払うことができるため、個人事業よりも減税しやすいです。税率も所得金額が高い場合は法人の方が有利です。しかし、交通費に関しては、個人事業の場合は経費に計上できますが、法人の場合は年間にかかる交通費や期末資本金によっては、経費に計上できないこともあります。

今回のまとめ

個人事業や法人に課せられる税金について詳しく説明しました。事業を行う上では税金を払う義務があるので、ここでいかに減税できるかがポイントになってきます。紹介したように、事業を行う上でかかる費用は経費として計上したり、青色申告にしたりすることで、減税が可能ですので、ぜひ減税を上手に行ってください。
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