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社員の健康維持・向上を考えた賃貸オフィス・事務所の空間づくり
賃貸オフィスや事務所の空間づくりのポイントには、生産性の向上や働き方改革などさまざまな視点があります。昨今注目されているのが、そこで働く社員の健康維持や向上を考えた空間づくりです。経済産業省が推進する健康経営という考え方も手伝って、従業員の健康管理、ひいては活力向上や生産性の向上につながるとされています。
この記事では、事務所衛生基準規則などさまざまな視点から、社員の健康維持と向上を考えたオフィス空間づくりとその事例についてご紹介します。
【目次】
1.事務所衛生基準規則から考える空間づくりのポイント
2.従業員の健康に配慮したオフィス空間は快適性が必須
3.健康経営から考えるオフィス空間のポイント
4.社員の健康維持・向上を考えたオフィス事例1
5.社員の健康維持・向上を考えたオフィス事例2
6.今回のまとめ
事務所衛生基準規則から考える空間づくりのポイント
まずは、総務省が定める労働安全衛生法における「事務所衛生基準規則」を基に、健康に配慮した空間づくりのポイントをいくつかピックアップしてご紹介します。
一定の空間ときれいな空気の確保
心身の健康を維持するために望ましいとされる1人当たりの空間は、床から4メートルを超える高さがある室内の場合、設置されている備品などを除いて10㎡以上とされています。
また、定期的に十分な換気をするなど、きれいな空気を保つ工夫も必要です。従業員のデスクスペースを考えた空間にすることと、換気が難しい場合は空気清浄機などの導入も検討したいものです。
その他、受動喫煙を防ぐためには、喫煙スペースを別途作るなど分煙対策も実施し、従業員が快適な空気環境で仕事に取り組める空間にすることが必要です。
作業内容に応じて自然に近い明るさの照明を設置
事務所衛生基準規則では、精密な作業では300lx以上、通常の作業では150lx以上、簡易な作業では70lx以上という明るさの基準が定められています。事務作業がメインであれば300~700lxを目安として照明選びを行い、休憩室はリラックスできる色合いの照明にするなど、オンオフの切り替えができる工夫も取り入れることをおすすめします。
ストレスとなる騒音や振動を防ぐ
仕事をしている際の騒音や振動は、ストレスの原因となるだけではなく、集中力の低下にもつながります。そのため、パーテーションで区切ったり、防音対策をしたりすることが大切です。賃貸オフィスでも、レイアウトの工夫や吸音パネルの設置などで、対策を講じることができます。
従業員の健康に配慮したオフィス空間は快適性が必須
従業員が健康を維持し、かつ向上させる働き方をするためのオフィス空間には快適性が欠かせません。快適性を満たすために整えたいポイントをご紹介します。
心理的リラックス効果をもたらす緑視率
オフィスで仕事をする際には、時間に追われたり、プレッシャーを感じたりとストレスも多いものです。ストレスによって心の健康が損なわれないようにオフィス空間にも配慮が必要です。その一つが、視界に占める緑の多さや割合である「緑視率」をあげることです。緑視率の効果としては、観葉植物などが視界にあることで、心拍数が抑えられたり、精神的ストレスが軽減したりといった「グリーンアメニティ効果」としても注目されています。
また、観葉植物の空気浄化作用も期待できます。オフィスでは観葉植物や人工植物など緑を配置するように意識しましょう。
自然光を遮らない開放的なレイアウト
自然光は人間の体内時計を保つのに欠かせないとも言われています。体内時計が維持されることは従業員の健康にも大いに役立つでしょう。そこで、できる限り自然光がオフィス内に差し込むようにするために、窓からの自然光を遮断しない開放的なレイアウトにすることも効果的です。
ただし、季節や時間帯によっては自然光がパソコン画面に反射し、見えづらくなることもあるため、ブラインドなどで光の調整をしておくと良いでしょう。
体のことを考えたデスクと椅子の完備
事務作業などの座り作業が多いオフィスでは、デスクや椅子が疲れにくいことも大切です。体に合っていないデスクや机で長時間作業すると、肩こりや頭痛、腰痛といった症状にもつながります。そのため、デスクや椅子の高さが調整できるものがおすすめです。
日々使うものだからこそ、特に椅子は従業員の疲労度に大きくかかわります。座面の硬さや、背もたれがしっかりとしているものを選ぶなど、従業員が健康を損なわずに仕事ができる空間を整えることが大切です。
健康経営から考えるオフィス空間のポイント
次に、健康経営の視点から考える従業員の健康に配慮したオフィス空間のポイントをご紹介します。
コミュニケーションが取りやすい環境を整備
同僚に気軽に相談できたり、時には雑談したりできる共用スペースや休憩室などを設けることも大切です。オフィスは仕事をする場所ではありますが、ずっと仕事に集中していると疲労がたまり、息が抜けません。
また、雑談をしやすい環境がないと息が詰まりやすいものです。メリハリをつけながら仕事ができるように、デスクの配置にも配慮することをおすすめします。
衛生面を維持できる工夫
従業員が健康を維持するためには、衛生面に配慮することも大切です。たとえば、うがい薬などを配布して、外から帰った後は手洗いやうがいを励行することも一つの方法です。また、食後に歯磨きができる環境を整えることも大切でしょう。女性が多いオフィスであれば、手洗い場が渋滞しないようにパウダールームを別途完備するのもおすすめです。
さらに、暖房器具がエアコンになりがちなオフィスでは乾燥による風邪にも気をつけたいものです。置き型の加湿器をいくつか設置するか、卓上タイプの加湿器を設置するなど、オフィスの広さによって選びましょう。
座りっぱなしを防ぐスタンディングスペース
1日中座ったままで仕事をするのは体にも負担です。そこで、立ったまま仕事ができるスタンディングワークスペースを作るのもおすすめです。座って仕事をしたり、立って仕事をしたりすることで、血流も改善し、眠気の緩和にもつながります。
また、立って仕事をしている方が、歩いている人と目が合い話しかけやすいなど、コミュニケーションが活発になるというメリットも期待できます。
社員の健康維持・向上を考えたオフィス事例1
実際に社員の健康維持や向上を考えて導入されているオフィス空間の事例をいくつかご紹介します。就業中であっても、できるだけ体を動かす機会を作ることで従業員の運動不足解消に取り組んでいる事例です。
スタンディングワークの実施
1つ目は、前述した「スタンディングワークの実施」です。非鉄金属メーカーである株式会社フジクラでは、昇降型デスクを導入することで従業員の長時間座りっぱなしを防いでいます。また、印刷でおなじみのラスクル株式会社でもスタンディングデスクやサイクリングデスクを導入しているようです。
気軽に運動できる場所の設置/h4>
2つ目は、「気軽に運動できる場所の設置」です。事務用品を扱う株式会社イトーキは、オフィス内を一周できる通路を設置することで、歩く機会を増やすなどレイアウトを工夫しています。たとえば、オフィス内にバランスボールを置くなど気軽に運動できるスペースを設けるのもおすすめです。
社員の健康維持・向上を考えたオフィス事例2
続いては、快適性を感じる空間を設けることで、従業員のストレスを軽減している事例をご紹介します。
デスクスペースを広げる
仕事をしているときに、デスクが手狭なことにストレスを感じることも多いものです。そこで、住友商事グループのSCSK株式会社では、デスクの幅を1.5倍に広げています。これにより、無理のない姿勢で仕事ができ、従業員がストレスなく仕事が進められる環境へと整備できたとのことです。
1.5倍は無理でも、サイドテーブルを加えてスペースを広げるなどの工夫は取り入れやすいのではないでしょうか?
瞑想スペースの設置
株式会社イトーキの本社には、瞑想のためのスペースが完備されています。仕事中にイライラしたときや集中できないときなどに役立っています。小規模なオフィスであまりスペースが取れない場合でも、休憩室に飲み物や食べ物を販売する無人の食品自販機を設置するだけでも、リフレッシュ度合いは大きく変わります。
また、従業員同士の会話をもたらすスペースの設置によって、従業員のストレス解消にも役立つでしょう。
従業員が作るスペースの設置
沖縄教育出版株式会社では、従業員が主体となって過ごしやすい空間づくりを促進する活動が行われています。オフィス内の緑化や季節の飾りつけなど、自分たちが快適に感じる休憩室づくりができる空間があることは、よりリフレッシュしやすくなるでしょう。
今回のまとめ
1日のうちオフィスで過ごす時間は、5分の2とも言われます。それだけに、体も心も健康を維持ができる空間づくりや向上できる工夫を凝らすことが、生産性向上にも欠かせません。快適に過ごすための明るさや防音といったものから、心理的リラックス効果をもたらす工夫や体を動かせる仕組みをもった空間づくりを心掛けたいものです。賃貸オフィスであっても、少しの工夫で健康に配慮した空間づくりができますので、ぜひ試してみてください。
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