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契約書上で取り決められている借主の禁止行為とは?
賃貸オフィスや事務所を借りる際に交わす契約書には、賃料や設備の情報などのほかにさまざまな内容が記載されており、使用上守らなければならないルールなども明記されています。借主には用法順守義務があり、契約書の中で定められている禁止行為をしてはなりません。禁止事項を破ったからといって、即刻契約解除となるわけではないものの破り続ければ信頼関係が破綻することになります。契約書の内容は物件ごとに違うので、注意が必要です。
この記事では、一般的に、禁止行為としてあげられることが多い項目を見てみましょう。
【目次】
1.操業中や夜間の騒音
2.車両を敷地内に駐車・駐車する行為
3.共用部での喫煙や荷物の放置
4.禁止されているペットの飼育
5.又貸しや間借り
6.楽器の演奏
7.その他の迷惑行為
8.今回のまとめ
操業中や夜間の騒音
貸主にとって、周辺住民との騒音トラブルは避けたいところです。操業中や夜間の騒音は近隣住民の迷惑になるので、契約書上で禁止行為として決められている場合が少なくありません。音の感じ方は環境によって左右され、夜間は周囲が静かなこともあり、より大きく音が響きます。賃貸オフィスや事務所向けの物件は、用途が詳細に決まっていることが普通です。「騒音が出る業種」の場合は、契約前の段階で確認しましょう。
例えば、喫茶店やレストランなどの使用が認められている物件であっても、カラオケを導入するケースでは騒音が問題になることが予想され、利用できる物件は限られるのです。機械を使用して大きな音が出なかったとしても、多人数での話し声や出入りする際の音が問題になることもあります。少人数での利用しか認められていない物件では、多人数の出入りが禁止されていることもあるので、あわせてチェックしておきたいポイントです。
夜間だけでなく、操業中に周辺住民が日常生活に支障をきたすような騒音が出るような業種は、物件を借りられないケースがあります。住宅街の中にある物件や、住宅街から近い物件では騒音によるトラブルが起きやすいので注意が必要です。
車両を敷地内に駐車・停車する行為
営業車や配達に使用する車など、車両を使う事業者は多いでしょう。物件の敷地内であっても、あらかじめ決められた場所以外での車両の駐車や停車が禁止されていることは少なくありません。玄関前などに車が停止していると、ほかの住民や通行人の邪魔になってしまうことがあります。車を停めておいたせいで、緊急車両が通行できなくなったなどの事態になることは避けなければなりません。
頻繁に車を停車させる場合、大きな問題に発展しないとも限らないのです。オフィスビルに入居している全ての企業が「敷地内だから車を停めておいていいか」と考えて、自由に使えば大きな混乱を生むことは簡単に想像できます。そのため、駐車場以外の場所での車両の停車を禁止していることが多いのです。
どうしても駐車場以外の敷地内に車を停める必要がある場合は、貸主にかけあってどの範囲まで認められるか明確にしておきましょう。5分以内の短時間であれば、敷地内での停車が認められる場合もあるので、事前に相談することが大事です。
共用部での喫煙や荷物の放置
共用部の使い方に関する禁止行為が、契約書内で定められていることもあります。共用部は廊下・非常階段・エレベーターホールなど、敷地内の占有部分以外の場所を指し、そのビルに入居している人であれば誰でも出入りできる部分です。
契約書で、共用部での喫煙行為が禁じられていることもよくあります。従業員への健康被害を考えオフィス内に喫煙スペースがなくなったケースでは、喫煙者が共用部で喫煙しがちです。「屋外だから良いだろう」と考え、敷地内で勝手に喫煙をしていることが分かると大きな問題に発展することが少なくありません。空き缶や吸い殻のポイ捨てなどがあれば、さらに印象が悪くなります。
また、共用部に荷物を放置する行為を禁止している場合が大半です。荷物が廊下や非常口を塞ぎ、通行の邪魔になったり緊急時に避難できない事態になれば大変なことになってしまいます。どうしても置く必要があるときは、物件の管理事務所や貸主などに相談しましょう。通行の邪魔にならない空きスペースであれば、認めてもらえる場合もあるかもしれません。
禁止されているペットの飼育
賃貸オフィスや事務所でも、癒やしを目的としてペットを飼育したいと考える人もいます。中には、従業員のペットを一緒に出社させたいというケースもあるでしょう。ペットの飼育は鳴き声や臭いの問題などを理由に、禁止されていることが大半です。「犬・猫・鳥の飼育が禁止」というように種類別に禁止していることもあれば、小動物を含む全ての動物の飼育が不可となっていることもあります。
ペット対応物件であっても「猫1匹まで」「小型犬のみ」というように、条件が細かく決められている場合が少なくありません。猛獣や毒のある生物のように、近隣住民に迷惑をかけるペットの飼育はほとんどの場合で禁止されています。一般的に、ペットの数を増やしたり、勝手に種類を変更したりすることは禁止されていることも押さえておきましょう。追加や変更がある際は、貸主側に通知しなければなりません。
また、ペットを飼育するにあたって余分に敷金が必要になるでしょう。ペットの臭いの除去や、ひっかき傷の修繕にお金がかかることになるので「ペットを飼育する場合、敷金〇カ月分が必要」となっていることもあるのです。ペット可の物件を利用する場合、あわせてチェックしておきましょう。
又貸しや間借り
賃貸契約しているオフィスや事務所を、第三者に又貸しする行為は禁止されています。テレワークで出社する社員の数が減った場合、オフィス内の空いているスペースを誰かに貸して有効に使いたいと考えるかもしれませんが、禁止されているので注意しましょう。
オフィス内の一部分であったとしても、契約者以外に賃借権を譲渡することはできません。そもそも、賃貸物件の契約は貸主と借主の間に発生するものです。貸主は「この借主になら、物件を貸しても大丈夫」と判断して貸すのであって、第三者が利用することは考えていません。貸主が又貸しや間借りを了承していなければ、勝手に第三者に貸すことはできないのです。
もし、ルールを破って第三者に利用させていたとして、物件で火事や事故などが起きても借主の責任ということになります。物件の一部であっても、貸主に書面で承諾を得ることを必要だとしていることが大半です。もし、違反すれば「契約解除」となるリスクが高いでしょう。たとえ契約者が同じ企業の代表者であっても、法人が異なれば又貸しとなってしまうことも頭に入れておきたい部分です。「自分の会社であることに変わりはないからいいか」と思っていると、知らないうちに禁止行為をしてしまうことになります。
楽器の演奏
賃貸契約書の禁止事項に、楽器の演奏があげられていることは多いです。防音設備がない物件で楽器の演奏をすると、近隣住民や同じフロア・上下階に入居しているテナントの迷惑になってしまいます。楽器制作や楽器のリペアなど、楽器に関わる業務をする場合には注意しましょう。業務時間に演奏することがなくても、イベントの出し物などで業務時間外に練習をしたくなることがあるかもしれません。楽器全般を禁止していることもあれば、使用できない楽器の種類が決まっていることもあります。
楽器の演奏が認められている場合も「21時以降は禁止」というように時間が決まっていることもあるので、確認を怠らないようにしましょう。
その他の迷惑行為
賃貸契約書では、これまでにあげてきた項目以外にも、さまざまな禁止行為が設けられています。禁止行為は一つや二つではなく、数十種類の項目にわたって定められているでしょう。貸主と借主で認識が食い違わないように確認しておきたいことが契約書に盛り込まれているので、細かい部分まで禁止事項が定められているのです。
例えば、電気室やポンプ室など、物件内の危険な場所への立ち入りが制限されていることがあります。敷地内に貸主の了承を得ず工作物を設置したり、増築や改築を行ったりすることなども禁止されています。勝手に看板を立てたり、広告などを設置することも認められていません。表に看板がなく会社の存在が分からないような物件では、案内板などを設置したくなるかもしれませんが、貸主に書面で承諾を得る必要があります。
また、著しく風紀を乱すような行為も禁止されていることが普通です。ほかの入居者や近隣住民を不安にさせるような「迷惑行為全般」が、禁止されていると思っておきましょう。
今回のまとめ
契約書に記載されている禁止事項は、契約前に必ず確認しておきたい部分です。契約書を交わす時点では絶対に守れると思えたとしても、時間がたつにつれて意識が薄れて禁止行為をしてしまうことがあります。貸主や近隣住民に注意を受けても、改善しようとする姿勢が見られない場合契約解除となるでしょう。禁止事項なのか判断できないことが出てきた場合、貸主側に確認することが大事です。
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