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2022.03.02

賃貸オフィス・事務所で起きた事故(汚損・破損)の対処法を解説

オフィスや事務所を賃貸した際に、何らかのアクシデントでオフィスや事務所の一部が破損してしまう。そんな可能性もないわけではありません。そのような場合、どのような対処方法が適切なのでしょうか。
この記事では、賃貸オフィスを退去する際の原状回復義務についてや、オフィスビルの共用部分や、他のテナントの専有部分を破損した際の対処方法を紹介します。

【目次】
1.賃貸オフィス・事務所の原状回復範囲を知る
2.賃貸オフィス・事務所の修理項目の例
3.オフィスビルの共用部分を破損した時の対処法
4.他のテナントの専有部分を破損した時の対処法
5.賃貸オフィス・事務所退去の原状回復~退去まで
6.今回のまとめ

賃貸オフィス・事務所の原状回復範囲を知る

賃貸オフィスでは、入居中にオフィス内の一部が破損したということは意外とよくあることです。例えば、カーペットや壁紙が汚れた、天井ボードが破損したなどはよくある例だと言えます。そのような場合に対処する際は、まず「原状回復義務」という法律で決められた義務について知っておくことが大事です。

原状回復義務とは?

原状回復義務とは、賃貸物件を退去する時に物件の状態を入居開始時の状態に戻し退去することです。原状回復の作業は物件を賃貸している事業者側が行います。物件を借りている者が物件の修理をする義務があるのは、賃貸オフィスだけではありません。同じように賃貸住居でも入居者が退去前に物件の修理をすることが義務付けられています。
しかし、住居を賃貸した際の原状回復作業の項目は、オフィスや事務所を賃貸した際の原状回復の項目とは異なります。それでは、住居を退去する時の修理項目とオフィスを退去する時の修理項目の相違点がどんな点かを見ていきましょう。

賃貸オフィス・事務所の負担する項目

ここでは、賃貸住居と賃貸オフィスの退去時に修復すべき箇所の違いを見ていきます。まず、賃貸住居についてですが、長い年月生活をして自然に劣化した部分の修理は貸主が負担します。貸主が負担する補修には自然災害による破損、壁の変色、設備のリフォーム、または家具を設置した時にできる床のへこみなどです。
入居者が費用をまかなうのは、通常の使用でできる破損以外の部分です。例えば、煙草のヤニでできた壁の汚れ、煙草による床や壁の焦げ跡、壁にポスターや写真を貼ったことでできた壁や床のキズなどです。
一方で賃貸オフィスや事務所は、修理作業の多くが事業主に大きくかかります。オフィスや事務所を借りた時の原状回復作業は、借りている事業者が全てまかないます。年月と共に部分的に壁や床などが劣化した場合も、物件を借りている事業者が修理の費用を出します。賃貸オフィスや事務所の原状回復の負担が貸主でなく物件を借りる事業者に大きくかかる理由は、事業主の使い方が企業の規模や業種などにより異なり、時によっては破損が激しくなるからです。賃貸住居のように経年劣化度や損耗の度合いの目安が簡単にわからないため、借主側が負担することになるわけです。

賃貸オフィス・事務所の修理項目の例

それでは、賃貸オフィスや事務所は具体的にどのような箇所を修復しないとならないのでしょうか。まずは、カーペットや壁紙の張り替えです。壁紙は一部のみ張り替える場合と全体を張り替える場合がありますが、ある程度の期間入居していたなら、全体を張り替えるのが一般的です。
また、天井ボードも破損している場合は補修したり、再塗装したりする必要があります。オフィスのレイアウトにより新たに設置したパーティションは全て外し、スケルトン物件を契約したなら、退去時にはスケルトンの状態に戻して退去して貸主に引き渡す必要があります。また、窓が汚れている場合も掃除をし、破損している場合には修理してください。
他にも、照明や床下の配線、看板や電話回線なども全て取り外しましょう。このような箇所が撤去前の修理項目になりますが、事業者側の原状回復の詳しい内容は契約書に細かく記載されているので、よく確認するといいでしょう。規模が小さい事務所の場合、原状回復の項目が賃貸住宅の原状回復の項目と同じこともあるので、その点も含め確認してください。

オフィスビルの共用部分を破損した時の対処法

毎日オフィスに出社していれば、あやまってオフィスビルの共用部分を破損してしまうこともあり得ます。それでは、そのような時にはどのように対処したらいいのでしょうか。オフィスビルの専有部分と共用部分の違いについてと、このような場合の対処の仕方について解説します。

オフィスビルの専有部分と共用部分の違い

オフィスビルを賃貸する場合には「専有部分」と「共用部分」があり、契約書にもどの部分が専有・共有部分かが記載されています。専有部分とは、事業者が賃貸を支払い、その部分を独占して使用できる部分のことです。つまり、オフィスや事務所内部のことを指します。
これに対し、共用部分とはビル内の他のテナントと共用して使用する部分のことです。エントランスやエレベーター、廊下やトイレの他、建物の電気設備やインターネット通信設備等も共用部分になります。

ビルオーナーや管理会社に報告して対処

オフィスビルの共用部分の電気の交換などに関しては、毎月支払っている共益費から負担されるため入居者が負担する必要はありません。しかし、破損してしまった場合は、破損した者が費用を負担します。何らかの理由で共有部分を破損してしまったら、事業者のみで対処せずに、まずはビルオーナーや管理会社に破損した旨を報告してください。
そのような報告が来たら、オーナーやビルの管理会社は破損部分を確認します。確認した時に破損した部分がすでに古く、いつ破損してもおかしくない状態だった場合は、管理会社が費用を負担して修理することもあります。破損した部分に経年劣化がない場合は、破損した者が費用を負担することが多いです。

他のテナントの専有部分を破損した時の対処法

それでは、オフィスビル内の他の入居者の専有部分を破損した時は、どのように対処すればいいのでしょうか。そのような場合は、誰が所有者かも確認してください。

損害は契約時に加入した保険でカバー

他の入居者の専有部分を破損した場合、費用の負担を考えて焦ってしまいがちですが、このような場合も冷静に対処することが大切です。
賃貸オフィスや事務所を契約する時は、普通は保険に加入します。賃貸契約をする際に、保険に加入する目的は入居者側の破損をカバーすることです。また、貸主に対し損害賠償責任を果たすための補償も目的になります。そのため、他の入居者の専有部分を破損した場合も、加入している保険がカバーしてくれるのが一般的です。破損した当本人が自己負担をする必要はないため、その点は安心です。

損害賠償責任は誰に対して負うかも確認

当然ながら、他のテナントの専有部分を破損してしまったら、破損した側が費用を負担して修復することになります。この破損は入居時に契約した保険で負担されますが、その際は誰に対して損害賠償責任を負うのかも確認してください。
例えば、他の入居者の看板や扉などを破損してしまったとします。その場合、該当の設備を所有しているのは入居者か貸主かにより、損害賠償責任を負う相手が異なります。
例えば、入居者が自らの費用で内装工事の一部として置いた看板はテナントが所有する物です。ですので、損害賠償責任を負う相手はテナントです。一方で、扉やビル自体に最初からある看板なら、ビルオーナーが所有する物ですので、損害賠償責任は貸主に対して負うことになります。

賃貸オフィス・事務所の原状回復~退去まで

紹介したように、賃貸オフィスや事務所を退去する時は借主が修理箇所の費用を負担する必要があります。その際に、どのような手順で原状回復作業を進めたらいいのかわからないという事業者もいると思いますので、物件の回復工事からオフィスや事務所を退去するまでの手順を見ていきましょう。

契約内容を確認し見積もりを出す

オフィスや事務所の退去が決まったら、まずは契約内容を確認しましょう。契約書に原状回復の項目が記載されているため、どのような作業や工事が必要になるか検討してください。ここで確認しなければならない点は、工事は指定された会社に頼まなければならないのか、という点です。契約内容により、「原状回復工事は、管理会社が指定する施工業者に頼む」と記載されてあるなら、事業者は自ら業者を選べません。
しかし、そのように記載がない場合は、事業主自らが選んだ業者に工事を頼むことが可能です。工事を依頼する業者が決まったら、現場を確認してもらい見積もりを出してもらいます。指定された業者でない場合、なるべく出費を抑えるために安い業者に工事を頼む事業者も多いですが、ここで注意が必要です。業者を選ぶ時に気を付けたい点は、はたしてその業者が契約書で決められた通りに工事を進めてくれるかです。
どのような施工業者かわからない場合、契約書で決められた通りに工事をしない場合もあります。そのような場合、追加の工事が必要になり、工事費用がさらにかかります。なるべく安く原状回復作業を済まそうと考えて安い施工業者に依頼すると裏目に出てしまうこともあるため、注意する必要があります。

工事着工後に退去

原状回復工事を実行する業者を決めて見積もりが出たら、いよいよ原状回復工事が始まります。工事が着工したら、定期的に工事の進み具合を報告してもらい、工事内容に漏れがないか確認しましょう。中間検査も実行してのちに追加作業が依頼されることがないようにしてください。工事が終了したら、物件の鍵を返却して物件の引き渡しが終わります。

知っておきたい原状回復工事の費用相場

退去前の物件の修復工事の業者を自ら選べたとしても、相場がわかっていないと少し不安ですね。原状回復工事にかかる費用の相場は小さいオフィスや事務所では、坪単価で2~4万円低度と言われています。オフィスや事務所のサイズが中規模や大規模になると、相場は5~10万円程度にまで上がります。特に300坪以上の物件は、はるかに費用がかかるケースが多いです。
入居した時点で内装工事をどこまで手がけたかによっても、費用が異なることが多いです。ケースによるので、原状回復工事のおおよその相場を基準に判断するといいでしょう。

今回のまとめ

賃貸オフィスや事務所を退去する際の原状修復工事についてと、他のテナントの専有部分を破損した時や、ビルの共用部分を破損した時の対処方法を紹介しました。
名古屋に本社を構えるオフィッコスは、オフィスや店舗などの賃貸仲介を専門に扱っている企業です。2012年の設立以来、多くのお客様からご利用いただき、ご希望に沿える物件をご案内できるよう、日々情報収集に努めています。常時50,000件以上の物件情報を有しており、ホームページに掲載していない情報も多数ございますので、オフィス・店舗の開設や移転を検討されている事業者様は、お気軽にお問い合わせください。

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