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オフィス環境の作り方

2021.12.20

内的要因による緊急事態に備えるためのBCP対策とは


「BCP」は、一般的には地震や水害などの災害を想定して、いかに事業への影響を最小限に抑えて事業を継続するのか、対策や戦略を決めた計画ですが、緊急事態はこうした自然災害ばかりではありません。2020年から続く新型コロナの感染拡大でも、多くの自治体や企業がBCPに基づいて対応しました。しかし、企業の危機は、こうした外的要因によるものとは限らず、ときには社員の不祥事や製品の欠陥、ストライキなど社内の内的要因によって引き起こされることもあります。
このような内定要因に備えるBCPについて解説しましょう。

【目次】
1. 内的要因による危機対応が経営を左右することも
2. 的要因によって企業が経営危機に陥ったケース「雪印乳業食中毒事件」
3. 危機の段階に応じて計画を策定
4.今回のまとめ

内的要因による危機対応が経営を左右することも

内部要因による緊急事態としては、社員による犯罪行為や個人情報漏洩、商品の欠陥や異物混入、顧客からの損害賠償請求、競合他社からの特許権や商標権侵害の訴え、ストライキなどの労働争議、中核人材の退職など多岐にわたります。最近、問題となっているバイトテロも含まれます。
こうした内的要因によるトラブルで事業が完全に停滞することはあまりありませんが、過去には対応の不手際から、経営陣の退陣や経営破綻に追い込まれた企業もあります。そこまでの事態に至らなくても、対応を誤れば顧客や取り引き先からの信用を失ってしまうことになりかねません。逆に、誠実な対応によって信頼を得ることもありますから、どのような事態にも冷静で適切な対応がとれるよう、平時からの準備が欠かせません。

内的要因によって企業が経営危機に陥ったケース「雪印乳業食中毒事件」

内的要因によって、企業が経営危機に陥ったケースとして有名な事件に、2000年6月に起きた「雪印乳業食中毒事件」があります。雪印乳業が製造した低脂肪乳などに食中毒を引き起こす毒素が混入したことによる食中毒で、全国で1万3000人以上の被害者が出ました。会社が当初、事態を軽視して、すぐには公表せず、商品の回収も遅れたのが被害拡大の原因でした。
その後も会社が正確な情報を発信しなかったため、マスコミの報道が先行し、会社の対応は後手に回ります。連日の対応に追われた当時の社長が、テレビカメラの前で「私は寝ていないんだ」といらだちをあらわにしたシーンは、危機管理の甘さを象徴するものとして、あまりに有名です。
そして、事件の影響は雪印グループ全体に及び、雪印はグループ再編によって再建の道を歩むことになりました。このように内的要因によるトラブルへの対応を誤ると、経営の危機に直結します。

危機の段階に応じて計画を策定

経済産業省がまとめた「事業継続計画策定ガイドライン」によると、BCPには4つのフェーズがあります。内的要因によるトラブルが起きたときの各フェーズの流れと対策は次の通りです

1.BCP発動フェーズ

非常事態が発生したことを察知し、損害を最小限に抑えるための初動活動です。
トラブルを把握し、経営陣で情報を共有するとともに、必要があれば対策本部を立ち上げます。ここで大切なのは、早急な事態の把握と方針の早期決定です。関係先への報告、謝罪が必要なこともありますが、開示できる情報は正直にすべて明らかにすることが求められます。このときに事実を隠そうとすると、かえって事態を悪化させることがあります。

2. 業務再開フェーズ

トラブル対応のため、中断が必要になっていた業務を再開するための計画を立案します。
再開に向けたマニュアルの整備や人員の確保、設備の導入などを行います。できるだけ中核事業に影響がでないよう進める必要があります。

3. 業務回復フェーズ

トラブル発生前の通常業務に戻していく段階です。
再発防止策や業務態勢を確認し、全面再開に向けた具体的な計画を立てます。取引先や顧客に再開の見通しを報告することも重要で、顧客に迷惑をかけた場合、顧客や関係先の理解を得ながら進めることも重要です。

4. 全面復旧フェーズ

全面再開に向け、計画に基づいた対策や施策を実行していきます。トラブルの全体像や社内外への影響のまとめや再発防止策の検討も行い、対外的に公表します。社会的な反響の大きかったトラブルであれば、記者会見を行うこともあります。
一連の対応が終われば、実際の運用を踏まえてBCPの見直しも欠かせません。

今回のまとめ

自然災害などの対策を立てていても、社員の不祥事など内的要因への備えが十分ではない企業、事業所は多いのではないでしょうか。最初はささいな社内トラブルでも、軽視して対応を誤ると、事業存続を脅かす危機に発展することもあります。
内的要因による危機は、自然災害による危機とは違い、顧客や取引先からは厳しい目で見られがちです。それだけに慎重な対応が求められます。
自社のBCP対策が内的要因による危機にも対応できるのか、一度見直してはいかがでしょうか。

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