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保育園を新規開業する際に必要な手続きと初期投資の抑え方
保育士になりたいと願う子ども好きな人は少なくありませんが、ただ保育園に勤めるのではなく、自ら保育園を開業することを考えたことはないでしょうか。将来的な乳幼児人口の減少は確実といわれていますが、その一方で共働きの夫婦は今後ますます増加すると見込まれています。今なお待機児童問題が解消していないことを鑑みれば、保育園のニーズは引き続き高いといえるでしょう。
今回は、保育園を新規開業する際に必要な手続きと、初期投資を抑える方法についてご紹介します。
【目次】
1.認可保育園を新規開業する際に必要な手続き
2.認可外保育所を新規開業する際に必要な手続き
3.初期投資を抑える方法
4.今回のまとめ
認可保育園を新規開業する際に必要な手続き
認可保育園を新規開業する際に必要な手続きは、自治体により異なってきますが、時系列で挙げると概ね次のとおりです。全体で1〜3年かかることが一般的です。
1. 市区町村の公募状況を確認し、事前相談を申し込む
自治体にもよりますが、認可保育所は一般に自治体の公募に基づき開設を申請します。開設を認可するのは各都道府県知事ですが、公募するのは地域の待機児童の状況などを把握している市区町村です。新規開業を計画している市区町村の公募状況を確認しましょう。応募することを決めたら、市区町村に対し事前相談を電話などで申込みます。
2. 事前相談を受ける
募集期間中に応募しますが、正式に応募する前にまず市区町村と事前相談を行います。応募資格の有無、計画用地は募集地域内にあるか、法令に適合しているかなど、申請内容が要件を満たしているかを自治体と応募者とであらかじめ確認するためです。施設の平面図や工事スケジュールなどを持参するのが望ましいでしょう。
なお、公募には募集期間がありますが、相談は随時受け付けているという自治体もありますので、計画しているのであれば事前に相談しておくとスムーズです。
3. 応募書類を提出する
事前相談を経た上で、必要な応募書類一式を整え提出します。応募書類の提出の前に応募意向を通知する書面の提出が必要であったり、さらに事前協議や面接が行われたりすることもあります。
また、選考期間中に近隣住民に対する説明会の開催が求められる場合も多いです。応募書類は多岐にわたり、提出期限までの日数もごく限られていることが一般的ですので、手早く対応する必要があるでしょう。
4. 認可申請
審査に通ったら、認可申請します。認可申請書は市区町村を経由して都道府県知事へと提出されます。
認可外保育所を新規開業する際に必要な手続き
認可外保育所の新規開業は、認可保育所の新規開業に比べずっと簡単です。必要な手続きは自治体により異なってきますが、概ね次のとおりです。なお、臨時開業の施設(イベント会場やスキー場などにおける一時預かり施設等)などについては届け出不要です。
1. 開設
設備や運営に関する基準を満たした上で保育所を開設します。
2. 市区町村への届け出
開設後1か月以内に、認可外保育施設設置届を指定の添付資料(施設平面図、保育者従事者名簿等)とともに市区町村に提出します。
初期投資を抑える方法
初期投資がかさむほど、新規開業は難しくなります。開業後の運転資金も必要であることも考えれば、できるだけセーブしたいところですよね。初期投資を抑える方法としては、公的な補助金を受けることが考えられます。とはいえ、多方面での補助を受けられる認可保育園は基準がかなり厳格なため、新規開業は容易ではないのが実情です。
しかし、受け入れ対象が3歳未満の児童に限定され定員数も少ない小規模認可保育園なら、一定の制約はありますが、認可保育園に比べればずっと緩やかな基準を満たすだけで補助金の交付を受けられます。そして、そうした補助金には、開業に当たり施設を新設したり、既存物件を改修したりするのに必要な費用の一部の補助も含まれますので、初期投資を抑えることができるでしょう。
今回のまとめ
かつては公立もしくは社会福祉法人以外は認められていなかった保育園ですが、今日では規制が緩和され、広く民間団体が保育園運営に参入できるようになっています。また、理論上は場所(物件)と人(職員)さえ用意できれば開業可能ですので、小規模な園であれば初期投資はそこまで多額ではなく、開業自体はさほど困難なことではありません。
しかも、保育士になるには保育士資格が必須ですが、保育園を運営するのに資格は不要です。少なくとも認可外保育施設であれば、参入のハードルは一般に思われるほど高くはないのです。保育園運営を通じて社会に貢献したいという思いを持っているなら、ぜひ前向きに検討してみてはいかがでしょうか。