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個人事業主になるなら知っておきたい開業支援制度について
税務署に開業届を提出して個人事業主となることは、単なる税法上の手続きというだけでなく、「事業を立ち上げる」「今後は事業として運営していく」という宣言でもあるといえます。しかし現実問題として、開業するには資金が必要であり、それが大きな負担となることは少なくありません。
今回は、資金面で開業を支援してくれる制度についてご紹介します。個人事業主として開業することを考えているなら、ぜひご参考になさってください。
【目次】
1.開業支援制度は主に国や自治体が実施
2.開業支援制度の種類
3.開業支援制度を利用する際の注意点
4.今回のまとめ
開業支援制度は主に国や自治体が実施
開業支援制度は、国主導で行っているもの、各自治体が実施しているものが主流です。都道府県だけでなく、市区町村が独自に実施する制度も多数ありますので、開業地となる自治体の公式サイトなどでこまめに情報をチェックしてみましょう。
開業支援制度の種類
個人事業主を対象とした開業支援制度には、さまざまな形式のものがあります。ここでは一般的なものをいくつかご紹介します。
開業資金全般の助成
開業支援制度の代表格ともいえるのが、開業前後に必要となってくる費用全般を助成する種類の制度です。たとえば東京都では、都内で開業を予定している人か開業後5年未満である個人事業主に対し、指定の創業支援事業を利用していることを要件として、費用の3分の2以内かつ300万円を限度に助成しています。
また、それとは別に都内の特定の区が独自に実施する支援制度もあり、たとえば江戸川区では「江戸川区創業促進助成事業」を実施しています。区内の開業予定者あるいは開業後間もない個人事業主に対し、対象経費の2分の1以内かつ30万円を限度とした助成が6か月ごとに行われます。
事務所や店舗の賃料補助
事務所や店舗を借りて事業を始める人向けに、テナントの賃料を補助する制度もあります。たとえば東京都荒川区では、区内で事務所・店舗を借りて開業する人に対し、1年目は月額5万円、2年目は月額3万円を賃料補助金として最長2年間交付する制度があります。
出店・改修費用の助成
店舗などの改装費用を助成することで開業支援を行う制度もあります。たとえば東京都台東区では、区内に初めて出店する人、ものづくり等の現場を公開するために工房を改修する人に対し、費用の2分の1以内かつ100万円を限度に費用を助成する制度を実施しています。
地方へのUIJターンに対する支援
首都圏から地方へUIJターンしてその地で開業する人を支援する制度もあります。たとえば岐阜県では、東京23区内在住または首都圏在住で東京23区に通勤していた人が岐阜県に転入して開業あるいは事業承継する場合に、対象経費の2分の1以内かつ200万円を限度に補助する制度を実施しています。(「岐阜県地域課題解決型起業支援金」として実施されているもので、地域課題解決に資する事業であることが要件となっています)
金融機関からの資金借入に対する支援
金融機関から資金を借り入れる人に対し、金利優遇や利子補給などの支援を行う制度もあります。たとえば東京都中野区では、区内で開業予定であるか開業後3年未満の人が金融機関から借り入れる際に、区が斡旋して金利を優遇、利子を補給(2021年度は補給率1.6%、本人負担率0.2%以内)といった支援を行っています。
開業支援制度を利用する際の注意点
開業支援制度を利用する際に注意したい点には、次のようなものがあります。
申請期間は限られている場合が多い
助成金という形での開業支援制度のほとんどは、期間を区切って募集しています。受付期間がひと月足らずというものも珍しくありません。申請できる期間を逃さないよう常にアンテナを張っておきましょう。
なお、例年同じ時期に募集するもの、年に複数回募集が行われるものも少なくありませんので、そういった意味でもこまめにチェックするようにしたいですね。
助成金はかなり遅めの後払いとなる
助成金は基本的に「後払い」であり、しかも申請してから交付されるまでに1年近くかかる場合も少なくありません。当面の資金として活用できる性質のお金ではないことに注意しましょう。
今回のまとめ
業種などにもよりますが、個人事業主として開業するにはそれなりに資金が必要となることが多いでしょう。また、開業資金を工面して終わりではなく、開業後に事業を軌道に乗せるまで持ちこたえなくてはなりません。そうした開業前後の時期をサポートしてくれる支援制度をぜひ積極的に活用したいですね。