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2021.12.13

個人事業主になる上で税務署への開業届の提出は必須?


フリーランスで仕事をしている人にとって一つの節目ともいえるのが、税務署への開業届(「個人事業の開業・廃業等届出書」)の提出です。ですが、個人事業主として事業を継続するためには開業届の提出が必須なのでしょうか。開業届を提出せずにそのまま営業していては問題となってしまうのでしょうか。
今回は、個人事業主として仕事をしていく上での税務署への開業届提出の必要性の有無、開業届を提出することのメリットについて解説します。開業届の提出について迷っているなら、ぜひ参考にしてください。

【目次】
1.税務署へ開業届を提出しなくても罰則はない
2.開業届を提出することのメリット
3.今回のまとめ

税務署へ開業届を提出しなくても罰則はない

フリーランスとして営業している個人が税務署に開業届を出すか出さないかの目安は、得ている所得が雑所得の範囲内であるか、それとも事業所得に相当するレベルかであるといえます。開業届は正式に「個人事業主として事業を行います」と宣言する意味を持ち、税務署に届け出ることにより「ただ個人で働いている人」ではなく「事業所得を生じる事業を開始した税法上の個人事業主」へと切り替わるからです。
では、しかるべきタイミングで開業届を提出することが必須なのかといえば、実はそうではありません。事業開始の事実があれば提出するようにとはなっているものの罰則はなく、したがって開業届を提出しなくてもそれまで通りに事業を継続できます。提出しなければしないでも特に問題はないというのが実情です。

開業届を提出することのメリット

開業届の提出が必須ではないとはいっても、ある程度の収入が見込めるようになったら開業届を出したほうがいいでしょう。開業届を提出することにより、次のようなメリットを享受できるからです。

税金面で優遇される

税金面で優遇される青色申告を行うには「所得税の青色申告承認申請書」の提出が必要ですが、それ以前に税法上の個人事業主であることが条件となっています。つまり、開業届を提出していなければ確定申告時に青色申告を選べません。青色申告には、最大で65万円の控除を受けられるという節税効果と、3年分の赤字の繰越が可能というメリットがあります。これらは特に何も申請しない場合に行う白色申告にはないものです。
開業届の提出は開業日から1か月以内(年初に開業の場合は同年3月15日まで)となっている一方、青色申告承認申請書の提出は開業日から2か月以内です。青色申告承認申請書のほうがいくらか時間的余裕があり、必ずしも開業届と同じタイミングで提出する必要はありません。
しかし、結局のところ個人事業主としての開業の最大のメリットは青色申告による税金面での優遇であるといえ、開業届を提出するタイミングで同時に青色申告承認申請書も提出することが一般的です。

銀行口座名義に屋号を使える

開業届を提出していると、銀行で開業届を提示して屋号入りの事業用口座を開設することができます。プライベートで開設している銀行口座を事業用と併用すること自体に問題はありませんが、事業専用の銀行口座があるとやはり何かと便利です。個人事業主は法人格ではないため、法人口座とは異なり単に名義が屋号となるというだけですが、それでも屋号入りの事業用口座のほうが取引先の信用も得やすいでしょう。

事業を行っていることを証明できる

個人事業主が確かに事業を営んでいることを証明する手立ては限られている中、開業届はわかりやすい証明書となってくれます。助成金などの申請時やECサイトへの出店時、自治体の運営する学童施設への申込時の親の就業証明としても役立ちます。

今回のまとめ

税務署に提出する開業届は、税法上の個人事業主となることを意味します。提出しなくても罰則はありませんが、税金面での優遇措置を受けられません。節税効果のほかにも屋号入りの銀行口座を開設できたり、個人事業主にとっての身分証明書の役割を果たしてくれたりといったメリットもあるため、ある程度の事業収入を見込めるようになったら提出するのがおすすめです。

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