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ビルオーナー様なら知っておきたいサブリースの仕組み
賃貸物件全体をサブリース会社に一括して借り上げてもらうサブリースのシステムは一般の賃貸物件においても利用されていますが、賃貸ビルでも同様です。しかし、サブリースにはメリットもあればデメリットもあるため、その仕組みをしっかりと理解した上で利用するというのが大前提。よくわからないままに契約してしまうのは大きなリスクです。そこで今回は、ビルオーナー様なら知っておきたいサブリースの基礎知識、メリットや注意点などについてご紹介します。賢いビル経営にぜひお役立てください。
【目次】
1.「マスターリース契約」と「サブリース契約」
2.「賃料保証型」と「パススルー型」
3.サブリースのメリット
4.サブリースのデメリット
5.今回のまとめ
「マスターリース契約」と「サブリース契約」
サブリース、つまり「転貸」は、借主が無断で行うことは禁じられていますが、オーナーが承諾しているのであれば問題はありません。サブリースの仕組みは、この転貸を前提としてサブリース会社が物件を一括して借り上げるというものです。
ビルオーナー様とサブリース会社との間でマスターリース契約(賃貸借契約)を結び、物件を借り上げたサブリース会社が入居希望者(転貸相手)との間でサブリース契約(転貸借契約)を結びます。つまり、入居テナントから見た貸主はサブリース会社であり、賃料を支払う相手もサブリース会社ということになります。
「賃料保証型」と「パススルー型」
ビルオーナー様とサブリース会社の間で結ぶマスターリース契約には、賃料保証型とパススルー型の2種類があります。
賃料保証型はその名の通り、サブリース会社からビルオーナー様に対する一定賃料の支払いが保証されるというものです。一方、パススルー型は、いわば出来高制。サブリース会社からビルオーナー様に支払われる賃料は、テナントからの賃料収入に応じて増減するため、空室が多ければ減額、入居率が高ければ増額となります。
サブリースのメリット
サブリースを利用することのメリットには次のようなものが挙げられます。
空室を気にしなくてもよい(賃料保証型の場合)
賃料保証型のマスターリース契約を結ぶ場合、サブリース会社に対し一定の賃料で物件を丸ごと賃貸する形になるため、空室があってもなくてもビルオーナー様の賃料収入には影響しません。ビルオーナー様側としては、入居率に一喜一憂する必要なく毎月安定した収入を得られる点が大きなメリットとなるでしょう。
手間がかからない
テナントを募集するのも、賃料回収やクレーム対応といった入居テナントとのやり取りもすべてサブリース会社が行います。その他の管理業務全般もサブリース会社が行うため、ビルオーナー様は、ビル経営に伴う煩わしい諸業務から解放されます。
ビルの資産価値を維持しやすい
パススルー型であってもですが、賃料保証型であればなおさら、入居率を高めてこそサブリース会社の収益も上がります。そのため、入居率を高めるための対策にも熱心で、日頃のこまめな管理だけでなく、ビルオーナー様への各種の提案も行います。結果として、ビルの資産価値の維持が容易となるケースが多いでしょう。
サブリースのデメリット
サブリースはメリットばかりではありません。次のようなデメリットにも目を向けましょう。
賃料収入が目減りする
サブリース会社は、手数料に当たるサブリース費用を得ることで収益を確保しています。そうした費用が賃料収入から差し引かれるため、ビルオーナー様の手元に入ってくる賃料収入は目減りします。また、賃料保証型のマスターリース契約を結ぶ場合には、空室が多くなったときの保険の意味合いで、ビルオーナー様が得られる賃料収入はかなり割り引かれたものとなります。
賃料収入はずっと一定というわけではない
たとえ賃料保証型であっても、保証されるのはあくまで「賃料の支払い」であって、「賃料水準」まで保証されるわけではありません。景気動向などにより類似ビルの賃料相場が下がったり、ビル自体が老朽化してきたりすれば、それに応じて賃料も下げざるを得ず、テナントを誘致する立場にあるサブリース会社から賃料値下げの要求が出てくるでしょう。結果として賃料収入が減り、将来の収支計画に狂いが生じてくるリスクがあります。
テナントの質が担保されない
募集や契約の段階含め、テナントと直接やり取りするのはサブリース会社であり、入居希望者の入居前審査も同様です。つまり、入居しているテナントが必ずしもビルオーナー様の気に入るようなテナントであるとは限りません。さらに言えば、もしもサブリース会社との契約を解除したとしても、入居しているテナントはそれを理由として退去することはまず考えられませんので、どのようなテナントであっても以降つきあっていかなくてはなりません。
今回のまとめ
サブリースは、ビルオーナー様に利便性と安心をもたらしてくれる仕組みですが、注意すべき点もあります。たとえば「この先ずっと一定額の賃料収入が保証される」という理解は正確ではありません。メリットとデメリットを正しく理解した上で、サブリースの利用を検討しましょう。