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新型コロナウイルスの影響による全国の空室率事情【2020年度】
新型コロナウイルスの影響により、全国の空室率は上昇傾向にあります。2021年現在、都心部のオフィスの空室率は6%を越えており、供給過剰といわれる空室率5%を上回っている状況です。それでは、新型コロナウイルスの影響が大きかった2020年度には空室率がどのように推移してきたのか、今後の予想と共に見ていきましょう。
【目次】
1.東京都心のオフィス空室率は5%を上回る
2.全国主要都市のオフィス空室率も上昇
3.新型コロナウイルスの影響による今後のオフィス事情
4.今回のまとめ
東京都心のオフィス空室率は5%を上回る
三鬼商事株式会社のデータをもとに、東京都心(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)の平均空室率を見てみましょう。2020年4月には1.56%、9月には3.43%、2021年3月には5.42%と、2020年度だけでも3.86ポイントも上昇しています。ちなみに、2021年7月の空室率は6.28%となっており、現在も上昇中です。契約満了時の解約を待つ企業の数を考えると、今後さら空室率は上がると予想されています。
平均賃料は空室率にともなって下がっており、2020年4月には2万2820円だったのが、2021年3月には2万1541円となりました。近年好調であったオフィス市況。2008年のリーマンショック後には空室率が9%前後まで上昇しましたが、その後は低い空室率を維持していました。ただ、2019年に新型コロナウイルスが発生したことで、状況は大きく変化しました。特に都心部においては、感染防止対策としてリモートワークが推進され、新しい働き方として定着してきています。それにともない都心では、支社を結合したりオフィスの面積を減らしたりする動きが広がっているそうです。リスク回避のために、地方へ本社・支社を移転したり、サテライトオフィスを借りたりする動きも見られます。
全国主要都市のオフィス空室率も上昇
都心部では空室率が上昇していますが、全国的にはどうなっているのでしょうか。2020年4月と2021年3月の主要都市の空室率を比較してみると、札幌1.80%→2.72%、仙台4.57%→6.56%、横浜1.89%→3.58%、名古屋2.26%→4.01%、大阪2.00%→3.91%、福岡2.26%→4.02%となっています。都心部だけでなく、全国的に上昇傾向にあることがわかるでしょう。ただ、空室率が上昇したからといって、すべての企業がリモートワークを導入したわけではありません。働き方を変えたのは基本的に従業員が多い企業であり、規模が小さい企業では今まで通り出社するスタイルが多かったそうです。
新型コロナウイルスの影響による今後のオフィス市況
緊急事態宣言の影響や三密の回避などから、都心部を中心に多くの企業でリモートワークが推進されました。近年注目されていた働き方とはいえ、これまで日本ではあまり定着しなかったリモートワーク。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、そうせざるを得ない状況になったことで、多くの企業が導入する動きを見せました。その結果、生産性の向上や従業員の負担軽減など、さまざまなメリットが得られた企業も多かったそう。感染者数が減少した時期には再び出社する従業員も増え、リモートワークは一時的な応急処置とも思われていましたが、メリットが大きかった企業はそのままリモートワークを続けています。すべてリモートでなくても、出社する日数が減っているという人は多いでしょう。
オフィスの在り方は、今後大きく変化してくるのかもしれません。契約満了時に解約を考えている企業も多いことから、近い将来コロナが収束したとしても、その影響が数年後に出てくる可能性もあります。リーマンショックの際も、空室率が最も高かったのは直後の2008年ではなく2010年でした。新型コロナウイルスにおいては、その影響はさらに長く続くと予想されます。
今回のまとめ
新型コロナウイルスの影響はいまだに続いています。収束した後もどうなるのか予測できるものではありません。オフィス移転の動きもあり、都市部と地方では空室率の変化に違いが出てくる可能性もあります。影響は遅れて出てくるということを忘れず、今後の動向に注目していきましょう。