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小売店を開業する際にテナント・貸店舗を借りるときの注意点
小売業は、飲食店・書籍・衣服・化粧品など、さまざまな業種に分かれており、個人で経営している店舗が多くみられます。自分のこだわりを追及して仕入れを行い、店舗を作り上げられる点が特徴です。顧客と近い関係性を持ち、仕入れた商品に対して顧客が示す反応がダイレクトに見られるのも、やりがいにつながっていきます。小売店を開業するときに、テナントや貸店舗を借りることがありますが、その際どのような注意点があるのでしょうか。
【目次】
1.物件選びはまず店舗イメージを膨らませよう
2.契約時と異なる事業の営業はルール違反
3.店舗開業時に必須の届け出を忘れずに行おう
4.今回のまとめ
物件選びはまず店舗イメージを膨らませよう
物件選びを始める前に、どのような店舗を開きたいのかをイメージすることから始めましょう。エリア、面積、面している道路の広さ、間口、階数、周辺環境、賃料、周辺の競合店の有無、外観など、条件を具体的に挙げていくと、店舗のイメージが徐々にできあがってきます。これらの条件にすべて当てはまる物件を見つけるのは困難ですので、挙げた条件の中で必須にしたいものと妥協できる点を、しっかり線引きしておくことも大切です。
条件が明確になったら、不動産業者などに問い合わせてみましょう。できれば、テナントや貸店舗を専門に扱う業者か、もしくは専門でなくとも取り扱うテナント物件数が多い業者の利用をおすすめします。賃貸物件は、住宅用とテナント用で注意点が大きく異なり、テナント用物件の取り扱いに慣れていない業者では手続きに時間がかかることがあるためです。
契約時と異なる事業の営業はルール違反
テナントや貸店舗の賃貸借契約には、借主に対して4つの義務が課せられますが、そのひとつが「用法順守義務」です。契約時に定めた使用用途を守る義務をさしますが、まれに契約時と異なる内容でテナント経営を行っている借主が見受けられます。この義務には、明らかに用途が異なるだけでなく、楽器禁止やペット禁止なども含まれます。民法第594条では、この用法順守義務に違反すると、賃貸借契約の解除事由に該当すると明記されています。
ただし、即契約解除となるのではなく、実際には違反の重度さによって解除されるかどうかが決められます。契約時には、必ず本来の用法を借主に伝えるようにしましょう。
店舗開業時に必須の届け出を忘れずに行おう
店舗を開くときには、届け出を出さなくてはいけない機関が多数あります。業種や地域によって若干変わる場合もありますが、ここでは一般的に必要とされる届け出を解説します。まず、業種によっては、法令上の許認可が必要となります。開店する業種に届け出が必要かどうか、都道府県庁や官庁などに問い合わせておきましょう。その後、税務署に開業届を提出します。個人での開業では、開業後1か月以内に提出が必要です。法人の場合は、設立後の登記日から2か月以内での提出となっています。個人と法人で、提出期限が異なりますので、遅れないよう早めに届け出ましょう。
また、自治体ごとに設置されている税事務所にも、事業開始申告書を提出します。さらに、雇う従業員の数が一定の条件を満たす場合には、社会保険事務所や職業安定所、労働基準監督署などへの届け出も必要です。書類を揃えるのにも時間がかかりますので、できることから始めていきましょう。
今回のまとめ
今回紹介したように、小売店の開業には、複数のステップを行う必要があります。各手続きを忘れないように、従業員同士で協力して進めていきましょう。