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日本企業における2021年の介護休暇・介護休業の普及率
高齢化社会に拍車がかかるなか、介護に従事する人が安心して企業で働くことができるよう体制整備が急がれていましたが、2021年1月に介護休暇・休業に関する制度が改正されました。今回は、日本企業における介護休暇・休業の普及状況と、新たな介護休業制度の概要について解説します。社員・従業員の中に介護を頑張っている方がおられるオフィス運営者の方は、とくに参考にしてください。
【目次】
1.2021年に改定された介護休暇・休業に関する制度とは?
2.介護休暇・介護休業はどのくらい普及している?
3. 介護を理由に離職する人はどのくらいいる?
4.今回のまとめ
2021年に改定された介護休暇の新制度とは?
2020年4月に施行される改正育児・介護休業法によって、介護休暇・休業はより取得しやすく生まれ変わります。そもそも介護休業法は、仕事をやめないで介護も続けられるよう労働者を支援する制度です。高齢化が加速している現状、育児・介護、またはその両方を担う労働者は増加しています。介護休業法は1992年に施行されていましたが、2021年、労働者がより休暇・休業を取りやすくするべく改正されました。改正後には、介護休暇を取得できる労働者の要件が緩和され、パート・アルバイト従業員でも原則的に介護休暇を取ることができるようになっています。
また、改正前には半日か1日単位でしか取得できなかった介護休暇ですが、改正後には1日単位のほかに時間単位で取得可能となりました。この変更によって、ケアマネージャーとの短時間の打ち合わせなどにも気軽に介護休業をあてられるようになるのです。
他方で、介護と仕事の両立促進を目的とした企業側への助成制度もあります。介護しながらでも収入・職業を確保し、企業側は労働力を確保するために、新しくなる介護休暇・休業制度を労働者・企業ともに活用しましょう。
介護休暇・介護休業はどのくらい普及している?
2019年に発表されたある調査結果によりますと、2017年10月時点の介護休業取得率は、全体の中でわずか1.3%に留まっており、90%以上の人が介護休業制度を利用しなかったという結果が出ました。
取得しなかった理由については、「自分の仕事を代わってくれる人がいない」「制度を利用すると収入が減る」といった意見が多数を占めたほか、制度そのものが会社にないという意見も見られました。要介護者は増加する一方であるものの、介護を負担する人をめぐる環境はまだまだ整備されていない現状があります。
介護を理由に離職する人はどのくらいいる?
介護をしながら仕事を続けることは容易ではありません。2017年以降は、介護を理由に離職した人が軒並み5万人を超えています。2019年には、介護をするために離職したパートタイマーの数も5万人を超えました。今後、ますますの高齢化に伴い、介護離職者を差し引いたとしても生産年齢人口は減少する一方です。
なお、介護のために離職するのは女性が圧倒的多数を占めます。女性は育児とともに介護でも仕事をやめる選択を強いられている人が多いといえます。企業は改正・施行される新しい介護休業制度を従業員に周知させ、積極的に活用することが重要です。労働者側も制度を正しく理解し、制度を正しく利用して無理なく仕事と介護を両立できるよう努める必要があります。
今回のまとめ
近年、親や家族の介護は、多くの人が抱える社会共通の課題となっています。誰の助けも借りられずにやむを得ず仕事をやめ、介護の激務に追われながら孤独に陥る人も増加してしまいました。企業側も労働者も2022年に施行される新しい介護休業法をよく理解して、より快適な労働環境・介護環境のために活用してみてください。