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2021.08.04

賃貸事務所・オフィスの住所に住民票を移転することはできるのか?

日本に住む人は、居住する場所に住民票を置くよう定められています。実際に住んでいる場所とは違う場所に住民票を置いていると、トラブルにつながることもあるので注意しなければなりません。では、自宅ではなく賃貸事務所やオフィスに住民票を移してもいいのでしょうか。ここでは、事務所・オフィスに住民票を移動できる条件について解説します。

【目次】
1.賃貸事務所・オフィスに住民票を移動したくなる状況とは?
2.居住の実態と賃貸契約の内容次第で移動はできる
3.バーチャルオフィスへの住民票移動はNG
4.今回のまとめ

賃貸事務所・オフィスに住民票を移動したくなる状況とは?

そもそも、賃貸事務所やオフィスに住民票を移動したい状況としては、どのようなものが考えられるでしょうか。よくあるのは、仕事が忙しすぎて家に帰ることができず、もはやオフィスに住んでいるような状態になっている場合です。大きなプロジェクトに取り掛かっていて、家に帰る時間すら惜しいというケースもあるでしょう。
このような状況でも、住民票が自宅の住所に置かれている限り、自分宛の郵便物はそちらに届きます。運転免許証の書き換えも、自宅のある市町村でなければできません。印鑑登録などの証明書類も自宅の住所ですし、確定申告(納税)を行うのも、選挙権を行使するのも自宅のある市町村です。生活できないわけではありませんが、いろいろと不都合が生じます。
そのため、一時的にせよ事務所やオフィスに住民票を移動したいと考える方がいるわけです。事務所にいるのが自分(経営者)だけである場合や家族経営である場合などは、いっそ自宅を引き払って事務所に住もうかと考える方すらいます。もしかするとみなさんの周辺にも、賃貸事務所やオフィスに住民票を置いている人がいるかもしれません。

居住の実態と賃貸契約の内容次第で移動はできる

賃貸事務所・オフィスの住所に住民票を移動するには、大きく分けて2つの問題をクリアする必要があります。1つは居住の実態があること、もう1つは賃貸契約の内容です。それぞれを詳しく見ていきましょう。

・居住の実態

法律上、住所は実際に住んでいる場所(生活の本拠)に置くのが原則です。住民票に載っている住所に実際は住んでいない(居住の実態がない)場合は、5万円以下の過料(制裁金)の対象となるおそれがあります。したがって、事務所やオフィスに住民票を移すには、そこで実際に生活していなければなりません。前述したケースのように自宅へ戻る機会が少なく、勤務外も含めた多くの時間を賃貸事務所・オフィスで過ごしているなら、この条件は満たしているといえます。念のため、寝具の存在や従業員の証言、防犯カメラの映像や出入りの記録などによって、事実上居住していることを証明できるようにしておくといいでしょう。

・賃貸契約の内容

賃貸事務所・オフィスは借りている場所である以上、居住したり住民票を移したりするなら貸主の許可を得る必要があります。しかし、これらの行為が賃貸契約で禁止されているケースは少なくありません。本来は仕事場として使う場所に人が居住していると、トラブルの元になる場合もあるからです。そのため、賃貸事務所・オフィスに住民票を移したければ、賃貸契約で許可されていることを事前に確認しましょう。契約に盛り込まれていないか曖昧なようなら、貸主に直接確認するのがおすすめです。
なお、当然ながら経営者の許可も必要なので、自分が従業員の立場なのであれば必ず確認を取ってください。

バーチャルオフィスへの住民票移動はNG

最後に、「バーチャルオフィス」について少し触れておきましょう。バーチャルオフィスとは、文字通り仮想(バーチャル)のオフィスを用意するというもので、簡単にいうと住所のレンタルサービスです。法人登記が可能なのはもちろん、郵便物の自宅転送や個人専用電話番号の利用もできます。実際の仕事は自宅などで行いつつ、一等地の住所で法人登記をすることもできるのです。
では、バーチャルオフィスの住所に住民票を移すことは可能なのでしょうか? 結論から言うと、残念ながらできません。バーチャルオフィスはあくまでも架空のオフィスであって、居住するための場所ではないからです。一応、多くのバーチャルオフィスはコワーキングスペースや会議室を備えているため、そこに寝泊まりできるのであれば居住実態は生まれるでしょう。しかし、他にも多くの人が使う場所である以上、貸主から許可が下りる可能性は極めて低いと考えられます。バーチャルオフィスへの住民票の移動は、原則NGと考えてください。

今回のまとめ

賃貸事務所・オフィスへの住民票の移動は、なかなかハードルが高いといえます。最終的には貸主の考え方次第ではあるのですが、断られてしまうことも多いはずです。そもそも毎日自宅に帰れるようにスケジュールを調整する、オフィスのすぐ近くまで引っ越してくるなど、他の方法もあわせて検討するといいでしょう。

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