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自社ビルを建てるなら知っておきたい流れと必要な手続き
経営環境や事業環境の変化に合わせる必要性を考えると、自社ビルを建てることはむしろ自由度の低下につながるという考え方もあるでしょう。それでもなお、自社ビルは一種のステイタスシンボルであり、対外的な信用度を大幅にアップさせる威力を持っているといえます。そんな絶大な魅力のある自社ビルを建てようとする場合、どのように進めていけばよいのでしょうか。おおまかな流れと、主な手続きについてご紹介します。
オフィスビルはオフィスビル専門の業者に依頼
一般の小規模な建物とビルとでは、その構造はもちろん、使用する建機、必要な調査や申請などが大きく異なっています。オフィスビルを建てたいのであれば、オフィスビルに専門的に携わる業者か、住宅建築から商業ビル建築まで手広く行う業者の中でも特にオフィスビルを得意とするところに依頼しましょう。
ビルの設計や施工監理を専門に行う会社もあれば、企画設計段階から施工まですべてを行う建設会社もあります。したがって、企画設計を設計事務所に、それ以外を建設会社に依頼するパターン、設計から確認申請、施工管理までを設計事務所に一任するパターン、内装デザインだけは別会社に任せるパターンなど、さまざまなパターンが考えられます。どのパターンにもメリット・デメリットがあり、費用や手間も変わってきますので、優先したい事項を軸にして決めましょう。
業者への依頼後の流れと主な手続き
業者に依頼してからの大まかな流れと主要な手続きを確認しておきましょう。(業者の進め方や状況によっては前後する可能性があります)
ただし、基本的には業者主導で進んでいきますので、細かに覚える必要はありません。
建設場所の調査、要望聞き取り、企画設計、工期スケジュール作成
敷地調査を行うほか、用途地域や建ぺい率、容積率、地域計画、日影規制などの法規制を確認し、「この場所にはどんな建物を建てられるか」を明確にしていきます。施主の要望もヒアリングし、建てるビルのだいたいのイメージが固まったら企画設計、工期スケジュール作成と進めます。
プレゼンテーション
建設するビルについて、業者が施主に対しプレゼンテーションを行います。
設計契約
プレゼンテーションの内容を精査し、どの業者に依頼するかを決めたら、設計契約を締結します。
基本設計
基本設計を行います。ビルの骨格を決めていくイメージですので、この段階で出る見積りはまだ概算です。
実施設計(詳細設計)
基本設計について施主の承認を得られたら、現場での施工用に詳細な部分まで設計する実施設計に移ります。設備の仕様や内部仕上げなどはこの段階で決められます。
工事請負契約の締結
実施設計まで完了すると工事内容が確定し、最終見積りが出ますので、内容に問題がなければ工事請負契約を結びます。施工を別の業者に依頼する場合は施工業者を決め、その施工業者と工事請負契約を結ぶことになります。
建築確認申請
自治体などへの建築確認申請には、実施設計において作成される設計図が必要です。申請して建築確認通知書を受領すると、いよいよ建設工事に着手できる状態となります。
解体工事
敷地に建物が建っている場合は、まずその建物を解体して更地にします。
地鎮祭
着工前に地鎮祭を行い、土地の神様にその敷地を使う許可を得るとともに工事の安全を祈願します。宗教行事というよりは伝統行事として広く行われています。
基礎工事
足場を組んで囲いをし、杭打ちをしていきます。この杭がビルを支えることになります。
掘削工事
地階に当たる部分を掘削します。
躯体工事
まず地下部分の躯体工事(基礎フーチング、地下ピットなど)を行い、続けて地上部分の躯体工事(鉄骨組立、コンクリ打設など)を行ないます。
外装工事
ビル全体の印象を大きく左右する外観を作っていきます。
内装工事
骨組みがむき出しの状態となっている屋内部分に床や天井、壁などを貼り、ドアを取り付けるなどします。
設備工事
電気、ガス、給排水などのほか、空調やエレベーターといったインフラを整備します。
外構工事
ビル周囲の舗装や植栽といった外構を整えます。
施主検査
工事完了後、引き渡し前の施主検査を行います。
今回のまとめ
ビルを建てるとなると一般住宅を建てるのとはわけが違いますので、工事の流れや必要な行政手続きなどの見当がつかないということは多いでしょう。自社ビル建設では基本的には設計会社や施工会社がすべてを請け負い、施主の出番はほとんどありません。しかし、工事の進捗状況と連動した各機関への届け出や移転準備などを可能とするためにも、全体をイメージできるようにしておきたいですね。