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オフィス・テナントの移転で発生した引っ越し費用の勘定科目を分かりやすく解説
さまざまな準備、手続き、作業に追われるオフィス・テナントの移転。その総仕上げともいえるのが移転費用の会計処理です。頻繁に実施するものではないだけに、ベテランの経理担当者であっても仕訳方法に迷ってしまうこともあるでしょう。
今回は、オフィス・テナントの移転で発生する各費用をどの勘定科目で計上すればよいのか、わかりやすく解説します。
【目次】
1.引っ越し費用は「雑費」が一般的
2.移転先物件の仲介手数料は「支払手数料」が一般的
3.移転先物件の保証金は「差入保証金」か「長期前払費用」
4.移転先物件の礼金は「地代家賃」か「長期前払費用」
5.移転先物件の内装工事費用は「建物」か「建物附属設備」
6.不用品やゴミの廃棄費用は原則「雑費」、固定資産は要注意
7.取引先への移転案内費用は「広告宣伝費」
8.今回のまとめ
引っ越し費用は「雑費」が一般的
引っ越し作業に伴う費用(引っ越し会社へ支払う費用など)は「雑費」として会計処理するのが一般的です。
但し、以前にもオフィス移転していた場合は、その場合に使用した勘定科目を用いるようにしてください。また、今回「雑費」で計上した場合は、次回の移転でも必ず「雑費」で計上する必要があります。
補足:
勘定科目は財務会計の表示科目と違い、ある程度は自由に設定できます。
例:引っ越し費用を「雑費」ではなく「荷造運賃」にする、など
但し、一度当てはめた勘定科目は動かせず、次回同じことがあったら、同じ勘定科目にしなければなりません。「雑費」よりも「荷造運賃」と細分化するほうがわかりやすいですが、細分化しすぎると「前なんだったか」を確認する作業のために会計処理が煩雑になってしまうということです。
長期的な目線で考え、勘定科目を決めるようにしてください。
移転先物件の仲介手数料は「支払手数料」が一般的
新テナントの契約の際に不動産会社の仲介があった場合、仲介手数料の支払いが発生します。仲介手数料の勘定科目は「支払手数料」とするのが一般的です。
但し、たびたび発生する種類の費用ではないことから「雑費」で計上されることもあります。
移転先物件の保証金は「差入保証金」か「長期前払費用」
保証金の仕訳は、その性質によって変えなければなりません。
- 退去時に返還される予定の保証金…差入保証金
- 退去時に返還されない保証金…長期前払費用
退去時に返還される分は、あくまで預入金であり後々戻ってくることが前提となっているため資産となり、勘定科目は「差入保証金」になります。
返還されない分は、「長期前払費用」(前払費用のうち、1年を超えて費用となるもの)として計上します。5年で費用処理するのが一般的ですが、賃借期間(契約期間)が5年未満の場合はその貸借期間となります。
なお、返還される保証金の一部が原状回復費用等として差し引かれるような場合は、借方に「修繕費」、貸方に「差入保証金」として会計処理するケースが多いです。
移転先物件の礼金は「地代家賃」か「長期前払費用」
礼金の勘定科目は、その金額が20万円以上かどうかで変わります。
- 20万円未満…「地代家賃」として全額処理
- 20万円以上…「長期前払費用」
長期前払費用の費用処理は、返還されない保証金と同じです。
移転先物件の内装工事費用は「建物」か「建物附属設備」
入居前に新しいオフィス・テナントの内装工事を行う場合の工事費用の勘定科目は、「建物」か「建物附属設備」です。
建物附属設備とは、建物と一体となって機能する、照明などの電気設備、給排水設備、冷暖房設備、エレベーターなどの設備のこと。建物附属設備に関する内装工事費用は「建物附属設備」、それ以外の建物自体の内装工事は「建物」で計上します。
いずれも減価償却の対象ですが、「建物」の場合は建物自体の耐用年数、「建物附属設備」の場合はそれぞれの設備の耐用年数が基準になります。
ちなみに、移転元物件の原状回復工事費は「修繕費」。各工事に関連して間接的に必要となった経費は「諸経費」として会計処理することもあります。
不用品やゴミの廃棄費用は原則「雑費」、固定資産は要注意
移転時以外であれば、粗大ゴミを捨てるための自治体のチケットは「支払手数料」、定期的な清掃業者への依頼は「清掃費」といった勘定科目にします。
しかし、オフィスやテナントの移転に伴う不用品廃棄は頻繁に発生するものではなく、そのときだけ一時的に発生する費用なので「雑費」でも問題ありません。
但し、まだ減価償却が終わっていない固定資産を廃棄する場合は、処分時点での資産価値を「固定資産除却損」として計上する必要があります(帳簿価額-見積り売却価額)。
取引先への移転案内費用は「広告宣伝費」
取引先やクライアントに移転案内状を送付する場合、その費用(デザイン費用、印刷費用、送料等)は「広告宣伝費」として会計処理します。
今回のまとめ
オフィス・テナントの移転に際しては、引っ越し費用だけでなく、仲介手数料や内装工事費、原状回復費用など、さまざまな各種費用が発生します。それらの会計処理が適切でない場合、本来不要なはずの税金が課されるような事態になりかねません。
十分に注意を払いながら仕訳を進めていきましょう。
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