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テナントの退店・閉店する場合のコストの抑え方
店の経営がうまくいかず、テナントを退去しなければならないこともあります。早い段階で店じまいを決心できることもあれば、そうでない場合もあるでしょう。開店するときと同様、閉店するときもコストがかかります。戦略的撤退であったとしても、できるだけコストを抑えるにこしたことはありません。テナントの撤退時に、コストを抑えるためのポイントを見ていきましょう。
【目次】
1.解約予告の時期や原状回復義務に注意
2.居抜き物件として譲渡・売却する
3.従業員への解雇通告は30日前に行う
4.今回のまとめ
解約予告の時期や原状回復義務に注意
夫婦で飲食店を経営している場合などで、夫が倒れて妻が看病をしなければならなくなった、というようなケースでは店を継続できません。開店できない状態では収入がなくなってしまうので、すぐにでも解約をしたいところですが、事前に解約予告をする必要があります。テナントの場合3~6カ月前までに解約予告が必要となっていることが大半です。つまり、3カ月程度は賃料を支払い続けることになります。無駄に賃料を支払わないためには、できるだけ早い段階で解約予告をすることが大事です。
また、退去までに原状回復工事を済ませなければならない点も、押さえておきましょう。もし、スケルトン状態で借りた場合は、もとのスケルトン状態まで戻さなければなりません。広さや状態によって必要となるコストは変わりますが、小規模な店舗でも100万円近い解体費用がかかることは珍しくないでしょう。複数の業者に見積もりをとると、コストを抑えられます。
預けていた保証金が返金される場合もあれば、保証金が償却され全額が戻ってこない契約になっている場合もあるので、契約内容を見直しておきましょう。
居抜き物件として譲渡・売却する
居抜き物件は店の設備を残した状態で、次の借主に譲渡や売却が行われる物件のことです。借主は原状回復工事をしなくて済み、解体費用にかかるコストを抑えられます。次の借主も、内装や設備にお金をかけずに事業をスタートでき、旧借主と新しい借主の両方にメリットがある方法です。
ただし、貸主や管理会社の許可を得ずに進めることはできないので、事前の相談や確認を怠らないようにしましょう。貸主にとって、次の借主がはやく見つかるにこしたことはありません。貸主にとってもメリットがある方法なので、うまく交渉すれば認めてもらえる可能性はあります。
居抜き物件として譲渡や売却をしたい場合は、解約予告の時期に注意しましょう。解約予告を出すということは退去の日取りが決まるということです。解約予告前なら、希望額で取引できない場合は営業を続けるという選択肢が生まれますが、退去が迫った状態では安く買い叩かれてしまう心配があります。
従業員への解雇通告は30日前に行う
閉店することになると、従業員は働く場所を失います。雇い主は「解雇予告通知書」を出して、解雇の時期・理由・条件などを通知しなければなりません。トラブルを避けるため、口頭ではなく書面で通告しますが、閉店理由について従業員が納得できるように丁寧な説明を心掛けましょう。
通告をしてから解雇までの期間は「30日以上」必要だと、労働基準法で定められています。店のオーナーの急病や急死など、やむを得ない事情があって30日未満で辞めてもらわなければならない場合、30日に満たない日数分の平均賃金を支払う必要があるのです。解雇通告が遅れないように準備をすることで、余計な人件費がかかってしまうことを防げるでしょう。
今回のまとめ
テナントから撤収するには、契約書で決められた期間までに解約予告し、退去までに原状回復工事が必要です。退去の際かかるコストの中でも割合が大きい部分なので、しっかりと見積もりを取った上で工期に余裕を持って発注しましょう。居抜き物件として、設備を残したまま次の借主に売却や譲渡をすれば、コストを大幅にカットできるため、募集を始める前に、貸主側と交渉してみましょう。また、従業員の解雇通告も余裕を持って行うことが大事です退去の直前になって通告することがないように、30日前には文書で通知しましょう。