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賃貸オフィス・賃貸事務所における賃料の遅延損害金利率は何%が妥当?
お金を借りれば利息が発生するように、賃料の支払いが遅れれば遅延損害金が発生しますが、その利率は一律ではありません。今回は、賃貸オフィス・賃貸事務所の賃料滞納があった場合の遅延損害金利率は何%が妥当かについて解説します。
【目次】
1.遅延損害金とは
2.遅延損害金利率の目安は
3.遅延損害金利率が契約で定められていない場合の対応
4.契約書に明記された遅延損害金利率が高すぎる場合の対応
5.今回のまとめ
遅延損害金とは
遅延損害金とは、借主が賃料を滞納した場合に貸主が被る損害に対する賠償金です。借主は、実際の損害の大小にかかわらず、あらかじめ定められた利率で算出した遅延損害金を貸主に支払わなくてはなりません。厳密にはあくまで賠償金であり、利息とは異なりますが、遅延期間に応じた金額を通常の賃料に上乗せして支払うという点で、感覚的には利息に近いといえるでしょう。
遅延損害金利率の目安は
事業用物件を個人事業主や法人に貸す場合、遅延損害金利率は基本的に自由に決められますが、傾向としては年14.6%(=日歩4銭)や年36.5%(=日歩10銭)といったケースが多いようです。借主としては万一の場合の遅延損害金利率は低いほど安心ですが、前述のような利率であれば妥当という判断になるでしょう。
遅延損害金は下記の計算式によって算出されます。
遅延損害金額=賃料金額×利率×遅延した日数÷365(閏年であれば366)
この計算式に則って、賃料50万円を1ヶ月間(30日間)遅延したケースの遅延損害金額を算出すると、次のようになります。
【年14.6%の場合】 6,000円
【年36.5%の場合】 15,000円
融資を受ける場合よりもはるかに高金利ですので、賃料滞納は大きなリスクであるといえるでしょう。
遅延損害金利率が契約で定められていない場合の対応
遅延損害金は契約ありきのものではなく、遅延すれば自動的に生じる種類の支払いです。したがって、契約書中に遅延損害金利率を定めていない場合にも、賃料を滞納した借主に対しては遅延損害金が請求されます。その場合、利率については年3%の法定利率(2021年4月時点での法定利率。経済状況に応じて3年毎に変更される)が適用されます。
ほとんどの場合、合意に基づいて定める約定利率よりも大幅に低い利率ですので、借主は助かりますが、貸主の立場からすれば契約書中に任意の利率を明記しておくほうが賢明ということになるでしょう。
契約書に明記された遅延損害金利率が高すぎる場合の対応
非事業者が居住用に借りる物件の場合、消費者契約法が適用され、上限利率は14.6%となります。しかし、貸主が個人事業主や法人の場合、消費者契約法は適用されませんし、利息ではないため利息制限法も適用されません。そのため、利率には基本的に制約はありませんが、社会通念に照らしてあまりに高く、法外といえるような利率であれば、無効となる可能性もあります。
とはいえ、契約時には損害遅延金利率までしっかりと確認した上で署名捺印するというのが大前提であるのは言うまでもありません。
今回のまとめ
遅延損害金は、借主が賃料滞納した場合に貸主に支払われる損害賠償金です。その金額は、ちょうど利息のように、定められた利率に基づき算出されます。賃貸オフィス・賃貸事務所の場合、年利14.6%や年利36.5%に設定されているケースが多い傾向ですので、同利率前後であれば妥当と言えるでしょう。
いずれにしても、通常の融資の際の利率などよりも高金利ですので、賃料の滞納には十分に注意したいですね。