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2021.05.25

オフィス・事務所の契約における表見代理とは


オフィス・事務所の契約の席に代理人が出席するのは比較的よくあることですが、その場合に問題となってくるのが、その代理人と称する人は本当に権限を有しているのか、有しているとすればどこまで委任されているのかといった点です。
代理権に関わるトラブルは民法の規定に基づいて解決されますが、そうした規定の中に「表見代理(ひょうけんだいり)」というものがあります。今回は、オフィス・事務所の契約における表見代理について確認していきましょう。

【目次】
1.表見代理とは何か
2.表見代理と無権代理の違い
3.オフィス・事務所の契約における表見代理の適用例
4.今回のまとめ

表見代理とは何か

表見代理とは、ある人を取引相手の代理人だと信じるに足る理由が存在する場合に、信じて取引を行った人を保護することを定めた民法の規定です。つまり、AとBとの間の取引において、Aの代理人と称する第三者CをBが信頼して取引を行った場合、BがCを信用したもっともな理由があれば、その取引は有効とされ、Aは取引内容に対し責任を負わなくてはならないということです。

表見代理と無権代理の違い

表見代理の他に「無権代理」という規定もあります。実際には代理人としての権限を持っていない人が代理行為を行うこと全般に関するもので、Aの預かり知らないところでCが「私はAの代理人です」と称し、勝手にBと取引を行うケースが無権代理に当たります。
本来Cには代理権が与えられていないという事実関係からすれば、表見代理は無権代理の一種と考えられますが、この2つの大きな違いは、「CはAの代理人である」とBが信じる理由がAに起因するものであるかどうかの点にあります。
Bが第三者Cを信じて取引を行ったことに関してAには何の落ち度もない場合(無権代理)、Aに責任はないと判断され、Cに騙されたBは保護されません。その一方で、AがBに対し「私の代理としてCがそちらに伺います」と事前に連絡していたなど「BがCを信用した理由がAにある」場合には(表見代理)、Bに過失はないとされ、Aはその責任を負わなくてはなりません。

オフィス・事務所の契約における表見代理の適用例

オフィス・事務所の契約において表見代理が適用されるケースには、主に次のようなものがあります。

民法109条「代理権授与の表示による表見代理等」が適用されるケース

Aの代理人ではないCが、Aの代理人としてBと契約を結んだといったケースです。Aが「Cを代理人としようと思う」とBに話していたなど、A本人が誤解を招いたと考えられる場合、AはBとCとの間で結ばれた契約に対し責任を負わなければなりません。

民法109条1項、110条「権限外の行為の表見代理」が適用されるケース

Aの代理人であるCが、その権限を超える内容の契約をBと結んだといったケースです。第三者Cの代理権が限定的なものであることをBが知り得ない場合、AはBとCとの間で結ばれた契約に対し責任を負わなければなりません。

民法109条2項、112条2項「権限外の行為の表見代理」が適用されるケース

既にAの代理人ではないCが、Aの代理人としてBと契約を結んだといったケースです。第三者Cがもう代理人ではなくなったことをBが知り得ない場合、AはBとCとの間で結ばれた契約に対し責任を負わなければなりません。

今回のまとめ

表見代理とは、ある人を取引相手の代理人だと信じるに足る正当な理由がある場合に、その取引内容を有効とし、代理人と称した第三者を信頼した人を保護する規定です。後味が悪いというだけでなく、場合によっては重大な損害をもたらすトラブルを防ぐため、代理人を立てる場合には委任状や委任内容のチェック、取引相手本人への確認などを怠らないようにしましょう。

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