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オフィス・事務所の大家は正当な理由なく契約を終了(更新拒絶)できるか
オフィス・事務所における賃貸でも、貸主と借主との間には賃貸借契約が結ばれます。賃貸借契約が結ばれれば、双方の間には然るべき法律が適用されてきます。そういった中で、果たして大家は正当な理由なく契約を終了させることはできるのでしょうか?今回は、このような疑問を主軸に解説して参ります。ぜひ最後までご覧ください。
【目次】
1.大家と借主の法的な関係性
2.大家は正当な理由なく契約を終了できる?
3.大家が更新拒絶する際の正当事由の要件
4.今回のまとめ
大家と借主の法的な関係性
オフィス・事務所における賃貸でも、通常の賃貸借契約が成立します。それにより、大家と借主との間には常に民法と借地借家法が適用される形になるのです。なお、民法や借地借家法では、主に大家・借主の対等な権利と契約の存続期間が定められております。対等な権利としては、例えば大家には借主に建物の使用を保証する義務が課され、借主には大家に対して賃料を納め続ける義務が課せられることが挙げられます。
存続期間は契約の種類によって異なり、その種類には普通賃貸借契約と定期賃貸借契約の2つが存在します。普通賃貸借契約では更新が前提となるうえで、存続期間は1年以上の期間を設けることが基本で1年未満の場合は期間を設けないものとされ、一方の定期賃貸借契約では大家に更新の義務はなく、存続期間も自由に定めることが可能になります。つまり、前者の契約形態は借主により有利なものとなり、後者の契約形態は大家により有利なものとなるのです。
ちなみに、いずれの場合も大家からの解約申し入れをする際には、6ヶ月前までに借主に書面による通達を行う必要があります。
大家は正当な理由なく契約を終了できる?
大家と借主の間には民法や借地借家法が適用される形になりますが、果たして正当な理由なく契約を終了させられるのでしょうか?結論からいえば、大家側からの契約拒絶の申し出は基本的に通用しません。もちろん、借主が合意すれば問題はありませんが、そうでない場合は大家側に正当事由が見られなければいけないのです。なお、正当事由が必要となるのは普通賃貸借契約を結んだ場合であり、定期賃貸借契約ならば契約期間満了時に大家の意向次第で解除できます。普通賃貸借契約は契約の更新が前提となる形態であるため、借主における法的な保護・権利が強くなるのです。
また、大家の申し出を通すには、強力な正当事由でなければいけません。単に更新を望まないといった曖昧な理由では、まず通用しないのです。ちなみに、正当事由として認められるケースには借主の賃料滞納や迷惑行為、大家側が急遽建物の使用が必要になった場合などが挙げられます。ただし、こういった正当事由があったとしても、必ずしも要求が通るわけではないため注意しなければいけません。
大家が更新拒絶する際の正当事由の要件
大家側から更新拒絶を申し出る際の正当事由には、いくつかの要件が定められております。具体的には、大家側が建物使用を必要とする事情・借主の建物使用を必要とする事情・建物の従前の経過・建物の利用状況・立退料の提示が主な要件となっています。なお、建物使用を必要とする事情は建物が利用できないことで生じ得る弊害のことであり、建物の従前の経過は契約の継続期間や更新料等の有無とその金額、建物の利用状況は建物の用途・利用頻度・建築年数などを指します。これらを明確にしておくことで、正当事由として認められる可能性が高まるのです。
また、このほかにも居住用であるか事業用であるか、建物の老朽化や賃料滞納などの当事者間のトラブルも正当事由の判断に関わってきます。
今回のまとめ
オフィス・事務所の借主も民法や借地借家法の法律に保護されており、悪質な利用がなされていない限りは大家が一方的に拒絶することはできません。とはいえ、正当事由とされる事象は多岐にわたりますので、どうしても更新を拒絶したい場合には一度専門家に相談してみましょう。