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テナントを借りるなら知っておきたい防火管理者とは?
オフィスでは、飲食店や住宅などに比べて火の気が少なく、火災が起こるリスクが低いと思われるかも知れません。しかし、思わぬ原因でオフィス火災が発生する事例が増えています。万が一火災が起きたときに、被害を最小限に抑えるため、防火管理者を選定することが定められているのです。今回は、防火管理者について解説します。
【目次】
1.防火管理者の選定は法律による義務
2.オフィスで火災が起こる原因にはどんなものがある?
3.防火管理者が立てる消防計画の内容は?
4.今回のまとめ
防火管理者の選定は法律による義務
防火管理者とは、火災発生の予防に対する管理を行うほか、万が一火災が発生したときに被害を最小限に食い止めるための消防計画を立てる管理者をさします。一定以上の従業員や面積を持つテナントに対して、消防法および自治体ごとの火災予防条例に基づき、管轄の消防署に届け出ることが義務付けられているのです。防火管理者は、建物の利用目的によって、特定用途と非特定用途の2つに分かれます。さらに、物件の収容人数や面積、用途などによって、種類が「甲種」と「乙種」に分かれます。乙種は管理できる範囲が制限されますが、甲種はすべての建物を管理可能です。小規模オフィスであれば、乙種の資格で対応できます。管理者になるには、所定の講習を受けることが求められますが、特に難しい受講資格はありませんので、誰でも担当することができます。オフィスに合った消防計画を作成し、計画に沿って日常的な点検と訓練を行うことで、火災予防に努めていくのが、防火管理者の役割なのです。
オフィスで火災が起こる原因にはどんなものがある?
オフィスは、一見火の気が少ないように思えますが、思わぬ原因で火災を招く恐れがあります。喫煙所におけるタバコの不始末や、暖房器具の誤った使い方、OA機器を繋ぐ際のタコ足配線、コンセントに付着しているホコリの発火、給湯室にあるコンロや湯沸かし器の誤った扱いなどは、火災の原因となるケースが多く見られるため、従業員ひとりひとりが心がけていかなくてはいけません。また、オフィス内で出た食べ物のゴミを狙って、ゴキブリやネズミが入り込み、電化製品の配線をかじったりブレーカーを触ったりすることで火災につながる場合もあります。「スーパーラット」と呼ばれる、殺虫剤が効きにくいネズミも増えており、社会問題になりつつあるのです。さらに、近年話題にのぼることがあるのが「収れん火災」であり、虫メガネで太陽光を集める原理と同じ現象が起こることによる火災です。オフィス内に、水が入ったペットボトルや花瓶などがあると、そこに陽の光が偶然1か所に集まり、虫メガネと同じ役割を果たすことがあります。光がクッションや段ボール、新聞などに当たると、火災が発生してしまう恐れがあるのです。いくつかの条件が重なったときに、初めて起こる現象ですが、オフィスでは条件が重なる可能性があるため、注意が必要です。
防火管理者が立てる消防計画の内容は?
消防計画は、火災予防への取り組みで大変重要な役割を果たします。そのため、作成するときには具体的に計画を立てる必要があります。例として、次のような内容を検討しましょう。
・火元となりうる箇所に、燃えやすいものがないかを管理する
・消防設備の点検を行い、不具合があれば修繕などの措置をとる
・避難場所を決め、従業員全体に周知する
・現場での担当者を選任し、火災発生時に適切な役割分担や消火活動ができるよう、訓練を行う
これらの内容を参考に、各オフィスに合った計画を立てることで、万が一の火災時に従業員の安全を確保できる行動がとれるのです。
今回のまとめ
火災による被害を最小限に食い止めるためには、オフィスビルの管理者に全て任せるのではなく、自分たちで率先して取り組んでいかなければなりません。従業員の安全確保は企業が果たす義務ですので、法を遵守しながらしっかり計画を立てていきましょう。