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罰則もあるの?事務所衛生基準規則で定められている湿度の基準とは?
梅雨時には湿度が高く、冬場は乾燥。空調が効いているとはいえオフィス内の湿度も季節に影響されます。オフィスの湿度を調整するに当たっての基準は、実は事務所衛生基準規則という省令で定められているのをご存知でしょうか。
今回は、事務所衛生基準規則で定められている湿度の基準について解説します。
【目次】
1.湿度は規則で定められている
2.規定されているオフィス湿度は40〜70%
3.湿度基準を守れなかったら罰則はあるのか?
4.快適な湿度を保つための工夫
5.今回のまとめ
湿度は規則で定められている
労働安全衛生法の規定に基づき、同法を実施するために定められた事務所衛生基準規則では、湿度の調整ルールが規定されています。
同規則には、従業員のケガに対応する救急についての規則、トイレや給水設備などの衛生面についての規則、休憩設備についての規則などが含まれており、湿度に関する規定はオフィス環境管理についての規則の中に盛り込まれています。
事務所衛生基準規則の適用対象は、通常業務において有害物や危険物を取り扱うことのない作業場であり、会社規模や事業内容は問いません。つまり、事務所衛生基準規則はデスクワークを行うオフィスのほぼ全てに適用されるものであり、オフィスの湿度目安は法律で定められているということです。
規定されているオフィス湿度は40〜70%
事務所衛生基準規則で定められている湿度は、40%以上70%以下です。ただし、これは空調設備が設けられている場合に限ります。室温についても規定されており、室温17℃以上28℃以下となっていますので、室温と湿度の両方を調整することが求められています。
湿度基準を守れなかったら罰則はあるのか?
事務所衛生基準規則で規定している湿度基準はあくまで「努力義務」であり、法的拘束力はなく、罰則もありません。そのため、同基準を守れないからといって何らかのペナルティが科されるわけではありません。
現実問題として、同じフロア内でも場所によって室温も湿度も変わり、オフィスの隅々まで同一湿度を保つことはほぼ無理です。また、適切に空調設備を稼働させていたとしても、さまざまな理由で基準範囲を逸脱してしまうケースはあるでしょう。
とはいえ、室温17〜28℃、湿度40〜70%の範囲を超えた場合、オフィスは快適とは言い難い状態になっているはずです。業務効率を下げないように快適に働ける環境を実現しようとすれば、自ずと概ね規定範囲に収まる場合が多いのではないでしょうか。ただし、冬場のオフィスの乾燥は見逃されがちなのが実情で、湿度40%を切っているケースも少なくないようです。
快適な湿度を保つための工夫
事務所衛生基準規則で規定している湿度基準を守ろうとする場合、予算や状況が許すのであれば、湿度調整機能のついた空調システムの導入が確実な方法となるでしょう。しかし、それが無理な場合にオフィスでできる工夫として真っ先に上げられるのが、空調設備の風が特定のデスクを直撃しないようにすることです。
空調設備から吹き出すのは、湿度調整機能がついていない限り、非常に乾いた空気です。空調設備の風が直撃する席に座っていれば、肌、喉や目までもがひどく乾燥してしまうでしょう。また、湿度の低下は粘膜を乾燥させることから、ウイルスに対する防御機能が衰え、感染症リスクも高まりますので、注意が必要です。
吹出口の羽根の向きを調整するとともに、サーキュレーターなどで空気の流れを作ることにより、オフィス内の温湿度を均一に近い状態に保てます。
今回のまとめ
オフィス内の湿度は、室温とともに事務所衛生基準規則内で規定されています。あくまで努力義務であるため、基準値を守れなかったとしても罰則はありません。しかし、湿度は快適性だけでなく、オフィスで働く従業員の健康にも影響する大切なファクターです。基準範囲内となるよう湿度調整することで、結果として生産性も向上するといえるでしょう。