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2021.05.01

賃貸オフィス・事務所で他の入居者の扉や看板を壊してしまった時の対処法


複数のテナントが入っている物件では、故意にではなくても他テナントに対し何かしらの損害を与えてしまうこともあるでしょう。たとえば、他のオフィスの扉に台車をぶつけて凹ませてしまったり、他店舗の看板に積荷が当たって破損させてしまったり……。今回は、賃貸オフィス・事務所を借りていて、同じビル内の他の入居者の扉や看板を壊してしまったときの対処法について解説します。

【目次】
1.ポイントは「所有者は誰か?」
2.損害賠償責任は保険を用いて果たすのが基本
3.入居者へのお詫びも欠かさない
4.今回のまとめ

ポイントは「所有者は誰か?」

物品に対する損害賠償責任は、当然のことながらその所有者に対して生じます。したがって、他オフィスが使用している扉や、他店舗が掲げている看板に損害を与えてしまった場合、まず「所有しているのは貸主か、それとも入居者か」の切り分けが必要です。ビル外壁などに取り付けられており「建物の付帯設備」とみなされる看板は、貸主の所有物と考えられます。
一方、店舗の入口付近に設置されているメニューボードや立て看板、入居者が内装工事を行って設置した扉などは入居者の所有物です。直接的な不便を強いられるのはその扉や看板を利用している入居者ということが大半ですが、所有しているのが貸主である場合、損害賠償責任は貸主に対し負うことになります。

損害賠償責任は保険を用いて果たすのが基本

賃貸オフィス・事務所の契約では、ほとんどの場合テナント保険(火災保険)への加入が条件となっています。
保険商品としてのメイン部分は、あくまでテナント側の損害をカバーする内容ですが、賃貸契約における保険加入の主要目的は、特約部分である「借家人賠償責任保険(貸主に対する損害賠償責任を果たすための補償)」です。火災や水濡れといった大きな事故のほか、貸主の所有物である設備に損害を与えてしまうケースも「貸主に対する損賠賠償責任」の発生に当たります。したがって、扉や看板を壊してしまった場合には、契約時に加入している保険によって支払われる保険金を充てるのが基本となります。
壊してしまったものが入居者の所有物であった場合には、借家人賠償責任保険同様に特約として付加されていることがほとんどの「個人賠償責任保険(他入居者などの他人に対する損害賠償責任を果たすための補償)」を利用します。

入居者へのお詫びも欠かさない

たとえ壊してしまった扉が貸主の所有であり、加入保険の保険金できちんと賠償責任を果たすとしても、実際に困ることになる入居者へのお詫びは欠かせません。不便な思いをさせることになり迷惑をかけてしまったことをきちんと口頭でお詫びしましょう。これは、壊した物品自体の原状回復とは別の問題であり、最低限のマナーといえるでしょう。
同じビルの入居者同士としての今後の関係性を考えても、「修理費用はちゃんと支払うのだから文句はないはず」という態度は決して取るべきではありません。貸主へのお詫びだけで済ませてしまわないよう注意しましょう。

今回のまとめ

他入居者の専有部へ立ち入ることは基本的にはないとはいえ、廊下などの共用部に面する部分や、外壁に取り付けられた看板、店舗前に設置された立て看板類を傷つけたり壊したりしてしまうことはあり得ます。物件の賃貸契約締結時に加入しているはずの火災保険には、借家人賠償責任保険特約と個人賠償責任保険特約がほとんどの場合付加されていますので、そうした場合はそれによって支払われる保険金を修理費などに充てるのが基本です。金銭的な責任をしっかりと果たした上で、直接的に迷惑をかけた入居者に対しても誠意を持ってお詫びすれば、以降も入居者同士の良好な関係を保ってビジネスを継続していけるでしょう。

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