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無許可で賃借人がオフィス・事務所を増改築していた場合の対処法
オフィスでの作業効率や来客に与える印象を考えた場合、増改築の必要性が出てくるケースは十分にあり得ます。ただし、賃貸オフィスの契約には、「原状回復」という基本ルールがつきものです。もし借主が貸主に無断で増改築を行ってしまったら、貸主は借主に対し、どんな行動を起こすのでしょうか。ここでは、賃借人がオフィスを許可なく増改築してしまった場合に、賃貸人が検討する可能性のある対処法について解説します。
【目次】
1.原状回復に必要な費用の請求
2.無許可の増改築で契約解除はあり得る?
3.無許可でも物件にとってメリットのある増改築だった場合は?
4.オフィスの改修等はあらかじめ許可を得てから行おう!
5.今回のまとめ
原状回復に必要な費用の請求
原状回復とは、物件を契約時の状態に戻す借主の義務であるというのが、かつての共通認識でした。しかし現在は、普通に使用していてやむを得ず生じる経年劣化などに対しては、貸主側の費用負担が当たり前になっています。
ただし、賃貸オフィスを勝手に改築し、常識を超えた変化や破損などをもたらした場合、貸主は修繕費を賃借人に請求することが可能です。そのため、賃借人が無許可でオフィスを増改築した結果、物件の価値を著しく損ねてしまえば、修繕に必要な費用を賃借人に請求したいと考える賃貸人もいるでしょう。
無許可の増改築で契約解除はあり得る?
無許可で増改築をした借主が、オフィスの賃貸借契約を解除されることはないのでしょうか。過去には、店舗の大幅なリフォームを無断で行った賃借人に対し、契約解除と建物の明け渡しを求めた判例もあります。このケースでは、再三の注意・警告などにも耳を貸さず、公道にまではみ出すほどの増改築があったことなどから、「信頼関係の破壊」が認定されたということです。
賃貸物件の契約で、貸主・借主の関係が大きく損なわれることを「信頼関係の破壊」と言います。このように、悪質な借主に対しては、法的手続きが取られる場合もあります。
無許可でも物件にとってメリットのある増改築だった場合は?
オフィスの貸主は、現在の借り手との契約が切れた後にも物件の価値を保持しなければなりません。そのため、無断でリフォームされ損害を受ければ、元に戻すための経費を請求する必要も生じます。
しかし、結果的にそのリフォームが、利便性を高めるなど、物件の価値を高めたと貸主が判断した場合、それは同じ経費でも「有益費」と呼ばれる必要経費に転じます。有益費を支払う義務は貸主にあるため、有益費と認められる範囲では、借主への修繕費用請求はなされないでしょう。
ただし、オフィスの増改築を行うには、貸主の同意を得るのが前提です。
オフィスの改修等はあらかじめ許可を得てから行おう!
賃貸オフィスは、賃貸借契約書に則って使うことが重要です。リフォームできる範囲などが決められた契約なら、その範囲を守ることが最優先となります。契約書を読んだだけで判断がつかない時は、リフォームを行う前に貸主や管理会社にあらかじめ問い合わせることが鉄則です。設備などに不具合があり、どうしても改修の必要があれば、オーナーか管理業者に相談してみるのも良いでしょう。借主がそのような義務やマナーを果たさなければ、違約金支払いや修繕費負担を求められることもやむを得ないと言えます。
今回のまとめ
オフィスの快適性は業務効率を左右しかねないので、リフォームの必要性が生じることもあるでしょう。しかし、賃貸借契約書に違反した増改築を行えば、違約金等のペナルティが生じるリスクもあります。リフォームやDIYの可能性がある場合は、契約上増改築ができる物件をあらかじめ紹介してもらったり、契約前に交渉したりするなど、事前の確認を怠らないことが重要です。