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2021.03.20

オフィス・事務所の賃貸契約で保護されている賃貸人の権利とは


オフィスや事務所を借りるときに必ず必要となるのが、賃貸借契約です。契約を結ぶことによって、貸し手側(賃貸人)と借り手側(賃借人)の双方に権利と義務が発生します。お互いに相手の権利を尊重し、義務を果たさなくてはなりません。賃借人は賃料を支払うことによって、オフィスや事務所を使用できますが、決してなんら制約も受けずに自由に使えるわけではありません。当然、賃貸人の権利を侵害せずに使用することが求められます。それでは、賃貸契約によって賃貸人はどのような権利が保護されるのでしょうか。賃貸人の権利について説明しましょう。

【目次】
1.賃借人は賃貸人の権利を侵してはいけない
2.賃貸契約で保護される賃貸人の2つの権利
3.今回のまとめ

賃借人は賃貸人の権利を侵してはいけない

賃貸借契約を結ぶと、賃借人には賃借権が生じます。事務所やオフィスであれば、そこを使って事業を行う権利を手にすることができます。しかし、いくら事業のためだといっても、賃借人は土地や建物の持ち主の所有権を侵害するような使い方はできません。土地や建物を勝手に売却したり、無断で第三者に貸したりすることはもちろん、決められた目的以外の用途で使用することも契約違反となります。
また、善管注意義務といって、建物を破損しないよう大切に使用する義務が賃借人には課せられます。これも、所有者や賃貸人の権利を侵害しないための義務です。

賃貸契約で保護される賃貸人の2つの権利

賃借人には、所有権を侵害しないようにオフィスや事務所を使用する義務がありますが、このほかにも、賃貸契約の中には保護されるべき賃貸人の権利が2つ含まれます。よく考えてみれば、当たり前の権利なのですが、改めて確認しておきましょう。

賃料の支払いを求める権利

貸借契約は、賃料を支払うことによって、ある決まったものの使用を認める契約です。これによって、賃貸人は賃料の支払いを賃借人に対して請求する権利が生じます。ごく当たり前のような気もしますが、不動産の賃貸をめぐるトラブルで最も多いのが、賃料の滞納であることも事実です。賃料の滞納に対して、賃貸人は契約を解除して、建物の明け渡しや未払い分の支払いを求めることができます。賃借人が支払いに応じない場合は、差し押さえや訴訟によって回収することも可能です。
やむをえない事情があるケースもあるでしょうが、賃料の滞納は賃貸人の権利の侵害にあたります。滞納しないということは、賃借人として最も大切な義務なのです。

修繕を行う権利

オフィスや事務所に雨漏りしたり漏電したりしている個所があり、業務に支障をきたす場合、賃借人は賃貸人に対して、修繕を求めることができ、賃貸人は事情がない限り、修繕に応じなくてはなりません。このように、使用するのに必要な修繕を行うことは、賃貸人の義務なのですが、同時に権利でもあります。
例えば、事務所が部分的に破損したとき、「業務に支障がないので、当面、修繕せずにこのまま使わせてほしい」と言っても、賃貸人が「修繕が必要だ」と判断すれば、賃借人は拒否できません。ただし、賃貸人が修繕を行うことによって、賃借人が使用の目的を達することができなくなる場合、賃借人のほうから賃貸借契約を解除できます。

今回のまとめ

賃貸借契約を結ぶことによって、賃借人はオフィスや事務所を使用する権利を得ます。この賃借人の権利は法律によって保護され、賃貸人も尊重しなければならないのですが、一方で賃貸人にも保護されるべき権利があります。賃借人は相手の権利を侵害しないよう、賃料をきちんと納め、正当な要求には従わなければなりません。オフィス・事務所の賃貸契約に限りませんが、気持ちよく事業や営業を続けていくには、相手の権利を尊重する姿勢も欠かせないのです。

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